泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 5860
レビュー : 490
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477856

感想・レビュー・書評

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  • 江國さんのお話は殺伐としていておしゃれでドライだ。近いはずなのに遠く感じたり、二人でいるのに孤独だったり、世界中から二人だけ疎外されていたり。ほんのり温かいけどいびつだったり。ドラマのようにカッコいい。(決して真似は出来ないが…)縛られていない分、自由。自由は濃い責任と孤独を生み出す。

    泳ぐのに、安全でも適切でもありません
    りんご追分
    うしなう
    動物園
    犬小屋

    が好き。

  • 愛し過ぎると壊れてしまうのかもしれない。
    なんだか痛々しかった。

  • 生きてゆくということは、日常をうまく泳いでいくようなものですね。それが正しい方法かどうかは、誰にもわからないけれど…
    この本の題名の意味が、ずーっと気になっていて、やっと理解できたような気がします。

  • 色々な生活、人生、女性達で愛するということを通して描かれていました。
    愛にだけは躊躇(ためら)わない、躊躇わなかった10人の女性達。
    どの女性の気持ちも分かります。
    同じ女性からか、微妙な細かい描写なども物凄く心に伝わってきます。

    印象的な作品は、
    「うんとお腹を空かせてきてね」の中で
    あたしたちは身体全部を使って食事をする。
    同じ物を食べて同じ肉体を作り、それをたしかめるみたいに・・・
    これは自分では無意識だけれど、夫婦だったら本能的にもしかしたら
    しているんじゃないかと思ってしまいました。
    だからよく夫婦が段々似てくるというのが分かる気がします。
    お腹を空かせて沢山食事をしている男性の姿も私としては嫌いではないのもこの作品の中で共感したところかもしれないです。

    「うしなう」ではまさに私世代にどんぴしゃの作品でした。
    それぞれの主婦にそれぞれの過去があり、そして現在の家庭がある。
    過去に何があっても、現在に何かあってもそんなに踏みこめられない。
    でもその時に出会うた友達同士でなんとなく困っている人に元気づけたりしているところが羨ましい感じがしました。

    「動物園」はなんだか切なかったです。
    夫婦同士は何でもなかったのに、子供がいた為に・・・
    こうゆう男性も世の中にはいるのかなと思いました。
    そうなると女性も少し寂しいですが、子供はとても可哀想だなと。
    夫婦の形は色々あるけれど、やっぱり傍に居るのと居ないのでは違うと思うので。

    この本のタイトルでもあるように人生を泳ぐのには、安全でもなく適切ないけれど、それがこの本では多方面から書かれていて、それぞれの愛の行方についてそれを読者に想像させているような余韻で終わっているのが何とも心地良かったです。
    これが愛だ!という決め付けではなくて、こうゆう問い方の部分も必要だと思いました。
    私の愛は果たしてどれに当てはまるのだろうかとも考えてしまいました。

  • 感服。大好きで、もうほとんど信じられない。。
    フレーズが目に飛び込んでくる。読んでいて愛おしい気待ちに溢れ溺れてしにそうになってしまう。
    うんとお腹をすかせてしてね と 動物園 が好き。

  • ふとした瞬間が詰まっている短編集。 女性たちの日常を淡々と、さりげなく綴っているのだけれど、そのなかで「体の一部のように大切な人」、「かつて体の一部のように大切で、今はいない人」の気配が濃厚に纏っていて、あまりにも日常であるだけに、そこはかとなく哀しみをたたえている。 それでも惹かれてしまうのは、そのどうしようもない想いに、どうしようもなくなった彼女たちが、痛ましくて美しいからだと思う。それは一瞬だけれども、ひときわ煌いていた。

  • *愛を通して人生を切りとる傑作短篇集。
    安全でも適切でもない人生の中で、愛にだけは躊躇わない―あるいは躊躇わなかった――10人の女たち。愛することの喜び、苦悩、不毛……。第15回山本周五郎賞受賞の傑作短篇集*

    リアルでクールで気怠くて愚かしい。なのに、それすらも愛おしい、そんな大人ならではの世界観。ささっと読めて、また読み返して。すごく残るわけではないけれど、何かがすうっと入って来るような読後感。

  • 江國香織さんの小説にでてくる女はいつも自由で軽やかだと思う。
    どのような寂しさ、苦しさ、喪失感、絶望のなかにあっても、でも彼女たちは自由だ。くるくるとターンを踏みながらまたすぐにどこかへ出かけて行ってしまいそうな軽やかさを感じる。

    10この短編。10人の女性。どれも20ページ足らずの短い話だが、そこにはギュッと濃縮された瞬間が詰まっている。安全でも適切でもない瞬間に、瞬間を、ざぶんと飛び込み全力で泳ぎ切ろうとする女性たちがいる。愛することを躊躇わない彼女たちに、その刹那的なきらめきに、私は敬意を表したい。

    江國香織さんのあとがき。
    >瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、私はやっぱり瞬間を信じたい。SAFE でも SUITABLE でもない人生で、長期展望にどんな意味があるのでしょうか。

  • 色々な愛のお話。
    食べることとセックスがやたら密接な印象。
    食べる、寝る、愛する、欲。
    どの主人公の女の人も、みんな正直だ。
    いろんな愛の形があって、全部が正しくないようで正しい。
    生き方は、愛し方は自分で決めていい。
    そんな強く儚い人たちの愛の話。

  • 江國香織さんの文章はとても読みやすく、短編集ということもありサクサク進めます。分かりやすい文体、あっさりとした物語なのに読後の気持ちがすっきりする感覚が癖になります。透明な水のように、見る角度を変えると見え方も変わるような、そんな作品です。著者の『号泣する準備はできていた』など、他短編集もぜひ読んでみてください。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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