泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 479
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477856

感想・レビュー・書評

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  • 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」
    タイトルの付け方が魅力的過ぎてそれだけで星3点。


    上級な大人の女性のお話。
    私にはなんとなくまだ早い。
    「うんとお腹をすかせてきてね」が好き。
    濃厚な食事をさせてくれる人と恋愛がしたいです。


    何を濃厚と置くのかはまた別の話でね。

  • 自己憐憫に酔いしれている女たちの話。

    ヘドロみたいな一瞬をすくいとって、
    一筋の光も射さない後味の悪さ。
    登場人物たちの、嫌悪感すら覚える頭の悪さ。
    「愛にだけは躊躇わない」?
    「浅ましい欲求にだけは躊躇わない」の間違いでは?
    読書中、1度も人肌恋しくならない恋愛小説は、
    読んでがっかりする。

    そして読了後にタイトル「泳ぐのに安全でも適切でもありません」に戻る。
    そう、こんな関係は「安全でも適切でもない」。
    彼女たちは自分の侵しているリスクは承知しているのだ。
    そこに傷つく他人がいることには目を背けたまま。
    他人に安全な場所から引き摺り下ろされることを嫌う人間には、
    たまらなく醜い物語。
    なんて秀逸なタイトルだろう。

  • 江國香織さん、二冊目。
    いろんな形の愛のお話。

    この人は本当、不倫の話が多いなぁ…。
    でも、結構好きかも。
    江國さんを読むまでは不倫なんてあり得ない、不倫をする奴は人間じゃない最低野郎だ、汚らわしい、などと思っていましたが、価値観がガラリと変わりました。
    もちろん不倫はよろしくない。
    相手のことを考えるとしないほうが良いに決まっている。
    でも結婚していても、誰かを好きになったらその時はどうしようもない。
    どうしようもないというか、もう止めようがないんだと思います。
    だから、まあ、当人たちが納得してるなら、それはそれで一種の愛の形であり、良いのではないかとくらいには思えました。

  • 失恋した後に読んで、よかった。
    江國さんの小説に出てくる女性は、例外なく全力で彼のことを愛してると思う。
    私もそういう愛し方がまたできるようになるのかなぁ。
    愛し方、というか、身の入れ方?
    いつか別れることを考えると、どうしても一歩引いてしまう、
    そんなの人生もったいないよね、ばかみたいだ、

  • 最初の4話くらいは「江國香織ワールド全開やなぁ」という印象で、
    彼女の感性のままに書いているんじゃないのか?と思っていたけれど、
    その後はいい意味で「あぁ、やっぱり江國香織だなぁ」と思わせる物語でした。

    この気持ちをうまく表現することはできないけれど、
    大好きでとても大切なきらきらひかるに通じるものを感じました。
    どの主人公たちも、自分の気持ちに一生懸命突き進んだんだろうな。
    誰に理解されなくても、そこには“あたし”の“あたしたち”の世界が存在するのよ。
    その世界で生きているのよ。


    ただ、最後の1話を読むタイミングだけ誤ったな…。
    この人の描く少し歪んだ恋愛のお話は、あたしの胸にぐいぐい刺さる。
    江國香織は短編を描きたかったと語っているが、
    これらの物語、ぜひ深く長編で彼女たちのことをもっと知りたいと思った。

  • 何度も読んでるけど、今回初めて「りんご追分」が身にしみた。現実として存在するものに、じわっと涙させられることって、確かにある。切なくて苦しい瞬間なんだけど、優しさとか、感情がまだ自分の中に残ってることの確認になって、安心もする。

    そんな瞬間を記録するように、私も小説が書けたらなぁ。トライトライ

    「うんとお腹をすかせてきてね」は詩に見えた。これも初めての感覚。

    改めて言うまでもないけど、自分の状態次第で、読み方って変わるもんだなぁ。こうやって感想を記録しておくことも、だから大切なんだな。

  • これはもう山田詠美の解説に言いたいことが凝縮されていて、わたしが言葉を紡ぐことは無意味だとすら感じる。

    とりわけ、人が打ちのめされるのはひどい暴力や暴言などではなく不意打ちの何かである、という部分。心が弱っているときや泣いてしまいたいとき、実際にその行動に移させるのは、傷つけられる鋭い言葉や手ひどい仕打ちではない。

    読書の際に目に入ったほんの一行やカーラジオから流れてくる音楽。そういうもの。突然涙があふれてとまらず、自分が泣きたかったことにようやく気付く。「りんご追分」はそういう物語だ。

    この短編集の中の女性たちはみな幸福だとは言い難い。誰もが恋をしているけれど、決して幸せな恋ばかりではない。どこかに泣いてしまいたい気持ちが積もっていて顔が歪んでしまう。

    泣きたいほどの幸福もあるけれど同時に失う恐さも知ってしまっているから目を背けてはいられない。そうか、恋愛は泣きたくなるものなんだな、と今更ながらわたしは気付かされる。
    (20110705)

  • その物語の間に状況に変化が起きたり、
    主人公が何か行動を起こすということはなく、

    既にある<状況>にいる登場人物(主に女性)の
    その瞬間の、あるいはそこに至るまでの内面を綴った短編集。

    どちらかと言えば、好みではないタイプ。

    私は短編でも、そのこ何らかの行動や事件があって欲しい。
    つまりは<筋書き>がちゃんと欲しい。

    ベースラインだけが素晴らしいような曲ではなく、
    ちゃんとポップスとしての主旋律が欲しいのだ。


    しかもここで描かれる多くの<状況>が不倫の恋。
    そこの心情を描くのに倫理観(社会性)の描写がスッポリ抜けおちて、「盲目的なまでの恋をした自分」を語っているのが、なんだかDQNの万引き自慢を聞いているようなイライラがあった。

    端的に言うとですね、他人の夫に手を出しておいて、
    「人生という川は、泳ぐのに安全でも適切でもありません」
    って言われても、そりゃあお前の料簡が悪いよ、って言いたくなるのさよ。

  • 境遇も立場も異なる女性を描いた短編集ですが、全員が幸福で絶望しているように感じます。満ち足りていて行き詰まった生活の閉塞感が絶妙。食事の描写が上手いところも好きです。

  • 久々に江國香織の小説で共感できた。
    そしたら女性として認められた気持ちになった。
    10人の女性のそれぞれの恋愛を描いた短編集。
    年齢も設定もバラバラ。
    静かな映画を観ている気持ちだった。
    どの女の恋愛も魅力的だった。
    昔は「犬小屋」の主人公のような甘ったるくて風変わりな女が嫌いだったので、
    どうしても江國香織が描く女が好きじゃなかった。
    むしろムカムカすることもあった。
    最近は、自分の中のそういう部分を認められるから
    すごく面白いと思って読めるようになったのかなぁ。
    常識で恋愛することはないなって、改めて思わせてくれる。
    非常識の中にこそ、幸せがあるのかもしれないのです。
    だから、私は他人に恋愛の相談をしたくない。
    話は聞いてほしいけど。(笑)
    十人十色。
    恋愛は特にそうなのかもしれないね。
    このすばらしいタイトルも話にぴったりなので☆5つ!

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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