泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.25
  • (196)
  • (433)
  • (1461)
  • (160)
  • (44)
本棚登録 : 5778
レビュー : 480
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477856

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • *愛を通して人生を切りとる傑作短篇集。
    安全でも適切でもない人生の中で、愛にだけは躊躇わない―あるいは躊躇わなかった――10人の女たち。愛することの喜び、苦悩、不毛……。第15回山本周五郎賞受賞の傑作短篇集*

    リアルでクールで気怠くて愚かしい。なのに、それすらも愛おしい、そんな大人ならではの世界観。ささっと読めて、また読み返して。すごく残るわけではないけれど、何かがすうっと入って来るような読後感。

  • 江國香織さんの小説にでてくる女はいつも自由で軽やかだと思う。
    どのような寂しさ、苦しさ、喪失感、絶望のなかにあっても、でも彼女たちは自由だ。くるくるとターンを踏みながらまたすぐにどこかへ出かけて行ってしまいそうな軽やかさを感じる。

    10この短編。10人の女性。どれも20ページ足らずの短い話だが、そこにはギュッと濃縮された瞬間が詰まっている。安全でも適切でもない瞬間に、瞬間を、ざぶんと飛び込み全力で泳ぎ切ろうとする女性たちがいる。愛することを躊躇わない彼女たちに、その刹那的なきらめきに、私は敬意を表したい。

    江國香織さんのあとがき。
    >瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、私はやっぱり瞬間を信じたい。SAFE でも SUITABLE でもない人生で、長期展望にどんな意味があるのでしょうか。

  • 色々な愛のお話。
    食べることとセックスがやたら密接な印象。
    食べる、寝る、愛する、欲。
    どの主人公の女の人も、みんな正直だ。
    いろんな愛の形があって、全部が正しくないようで正しい。
    生き方は、愛し方は自分で決めていい。
    そんな強く儚い人たちの愛の話。

  • 初めて江國香織の本を読んだ。この人は、日常の中のささいな物事の移り変わりや感情の微妙な変化をうまく描き出すのがとても上手だと思った。生きていて、自分の感情をうまく表現するのは大変、感情には名前がないから上手く説明するのが難しいけど、この人の文章は自分がどこかで感じたことがあるような、どこか懐かしい気持ちを思い出させてくれるような気がする。愛にまつわる短編小説だが、そこに登場する女性一人一人の人生が実際に存在しているような気がした。時間が経って、人がどんどん変化していって、その人を好きになり続けることが難しくなってしまうのが怖いと思った、誰も悪くないから。
    あとあとがきの文章がすごく好きでした。
    「人生は勿論泳ぐのに安全でも適切でもないわけですが、彼女たちが蜜のような一瞬をたしかに生きたということを、それは他の誰の人生にも起こらなかったことだということを、そのことの強烈さと、それからも続いていく生活の果てしなさと共に、小説のうしろにひそませることができていたら幸いです。」

  • 2回目でさらっと読めた短編集。題名にまず惹かれた。
    泳ぐのに安全でも適切でもないところに飛び込んだら、どうなるのか、省みず飛び込んだから、愛にだけは躊躇わない、あるいは躊躇わなかった女たちになれたのか。

  • 重いテーマなわりにライトなタッチで書いてあるのでサクサク読めるが、おしゃれに表現しすぎて内容が心に響かない。「うんとお腹をすかせてきてね」は主人公のあたしが肥満体だったら面白いなあと思いながら読んだ
    おしゃれではあるけど、心にズシンとは響かなかった。りんご追分のトランペットは、ちょっとしみた

  • 十日間の死が自分に近くて思わず涙
    色んな愛がある

  • 短編集。
    〈うんとお腹をすかせてきてね〉がすき。何が起こるわけでもなくて、ただ6月のような湿気を感じるだけだけど、とっても「好い」としか言いようがない
    素敵すぎて身震いした。愛する人とからまりたいわ、こんな風に。

    読み終わったあと今日はもうだれとも会う用事がなくて心から良かったと思った 強烈すぎる真実を、静かに狂ったおんなたちの人生のありのままを、ほとんど過剰に摂取してしまったもの

  • 恋愛に関する短編集。どの作品も続きが気になるところで絶妙に物語が終わる。よって、物語のその後は読者の緩い創造力に委ねられている。登場人物に感情移入するまえに終わるので、絶対こうなってほしいという強い願望は浮かばない。だれかの人生を少しだけ覗き見する。ときに少し笑ったり、自分の境遇との近さを感じて少し切なくなっり、そんな本です。

全480件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)のその他の作品

江國香織の作品

ツイートする