泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 5785
レビュー : 480
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477856

感想・レビュー・書評

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  • 全く違う境遇ながら、どことなく通じる女性たちの短編集。
    まれに心地よく時にざわっとする独特の空気感が魅力。

  • 登場する女性の誰もが、言葉にし尽くせない想いを抱いている。彼女たちにものすごいドラマがあるわけではない。ただただ、自分を潤してくれる水を欲している。それで一歩踏み出してそれを得るんだけど、やっぱりどうしようもなくわだかまる感情は死なない。ずっと曇り空。そんな短編集。
    山田詠美による解説が良かった。

  •  初の書き下ろし短編小説! というふれこみのこの本からは、確かにおろしたてのような刷りたてのような匂いが致した。新しい本ってみんなそう? でも、それだけじゃないと思う。

     どこかそっけない文章(必ずしも悪い意味ではなく)。変に感動させようとしないから、うるさくなくて安心。
     書かれていることは、恋愛沙汰などは殊に、私にとっては絶対に他人事なのだけど、それがちゃんと他人事のままで遠くにいてくれる、正しい距離感の本だった。
     すごい恋をしているかもしれないけれど、ある意味どうでもいいこと、他人の話なんだから遠くて当たり前で、その当たり前の距離を勝手につめてこない、一定に保ってもらえる本。
     同情するところは一つもない。卑屈さのかけらも感じられない。いちいち心に残ったり染み入ったりしない、ちゃんと通りすぎていってくれる、質の良い他人事だった。

     安全でも適切でもない人生を、躊躇することなく泳いできたおんなたちが、いっぱい出てくる。多くはこれからもそのまま泳ぎ続けるのだろうな、という予感をふくんだ小説たち。の集まり。

     なぜか、圧倒的な不幸を感じた。彼女たちは幸せと同じくらい不幸だと思った。それも、彼女たちが素晴らしい幸福を訴える時ほど、「不幸だな」という感じは強まった。
     失恋の話の方が、不思議とほっとしてしまう。

     おんなのひと、それも恋愛や家庭がからんだ時のおんなとは、どうしてこうも怖いのであろう? 同じ性別だとは思えないくらい、まるで化け物のようである、おんなという生き物は。

     溺れそうなくらい濃密な恋愛とか、溶け出しそうな心地の、不幸。
     とても綺麗。でも、中は結構どろっとしている。

     短篇小説にはすぐに終わりが来るが、彼女たちにとってはこれから先も、脳みそが溶け出すような午後にさえ、決して、決して躊躇しない人生が続くのだろう。

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    レビュージャパン掲載書評
    『溺れそうなくらい濃密な恋、溶け出しそうな心地の、不幸。』

  • 期待はしていなかったが、けっこうよかった。特に男といっぱいご飯を食べる話は官能的で、あとフランスでアメリカ男と交渉を持つ女の話は印象に残った。

  • 東京や神奈川の、日常のゆるやかな切片。

  • 1話ずつが短いので、すきま時間にさらっと読めた。

    主人公のキャラも、生き方も違うのに、やっぱり登場人物がみんな江國っぽいのが不思議。

  • 表題作を含む、10個の短編集。

    江國さんのように、一見スマートに見える登場人物が多く登場するのだけれど、
    その実それぞれ不倫をしていたり、家族の形を成していなかったり、
    欠落した部分を抱えている人が多いです。

    でも、それは禁止されていることではなく、安全でも適切でもない、という警告を
    されているようなもの。

    登場人物はそれぞれ、自分に責任をもち、リスクを受け入れて、
    そんな安全でも適切でもない人生を泳いでいる。
    その一瞬一瞬を切り取ったと言える一冊でした。

  • 「瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、私はやっぱり瞬間を信じたい。SAFEでもSUITABLEでもない人生で、長期展望にどんな意味があるのでしょうか。」(あとがきp.221)

    かっこいい。

  • 江國さんは、読めるけど、どうしてももう一度読もうとは思えない。

  • 初、江國さん。
    後に他の作品も読み、物事を捉える視点に感服することになった。

    タイトルがとても好き

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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