異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)

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レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477924

感想・レビュー・書評

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  • おもしろいなあ。高野さんは何を読んでもいいけれど、私はトンチキなスチャラカ話が一番好きだ。これなんか本当にいい。愉快で、笑えて、ちょっと切ない。

    八王子の長屋に住み暗黒舞踏にはまっているフランス女性とか、「日本のマイケル・ジャクソンになる(意味不明)」と言うザイール青年とか、登場するガイジンさんもユニークだが、そもそも、こんなにいろいろな人と出会っていく高野さんこそ実にヘンな人だ。

    「私は子どもの頃から『まじめだ』『おとなしい』『協調性がある』などと言われて、優等生路線を歩み」と書いてあって、なぜか笑ってしまう。 「このままで行くと、大学を卒業し、どこかの企業に就職し、『まじめだ』『おとなしい』『協調性がある』と言われて、会社でほどほどに重宝され、やがて時は過ぎて、定年を迎える……。そんなシナリオが目に見えた」 そこで大学生の高野さんは「冗談じゃない」と思い、「これまでの平凡で従順な自分は、そういう人間を好むくだらない日本と一緒に、水洗便所のウンコのようにジャーッとどこかへ流して」しまおうと、海外へ出ようと決めたそうだ。海外の旅は「水洗便所のレバー」らしい。

    旅をする時、まず現地の言葉を勉強するのが高野さんのポリシーで、しかもリンガラ語とか習おうとするから、ちょっと他ではない出会いがあるわけだ。

    コンゴ人のジェレミー・ドンガラさんとの縁を綴った第二章がとても良かった。彼のお兄さんが作家で、ひょんなことから高野さんはその小説「世界が生まれた朝に」を翻訳し、それをワセダの卒論とし、小学館から出版する運びとなる。

    何年か連絡が途絶えていた後、突然ジェレミーさんから結婚式にただ一人の友人として招待され、高野さんは驚く。堂々たるエリートに見える彼も、十年に及ぶ日本での生活で孤独な異国人だったのだ。このときの高野さんのスピーチがいい。コンゴのドンガラさんの家を訪ねた時、歓待してくれた彼の家族のことがあたたかく語られている。コンゴを知らない新婦のご両親や親戚の方が「安心した」ととても喜んでくれたと書いてあって、ほろっとする。ジェレミーさんは目を真っ赤にして、空手で鍛えたバカ力で抱き締めてくれたそうだ。高野本屈指の名場面ではないだろうか。

    第八章で登場する盲目のスーダン人「マフディ」は、最近高野さんプロデュースで「わが盲想」を出版したアブディンさんのことだね。これは近々読もうと思っている本の一つだが、これを読んでますます楽しみになってきた。

  • 今まで読んだ高野秀行さんの作品で、最も私が気に入っている作品。 1980年代の東京、高野氏が出会った、8人の奇妙な外国人の姿を描いた、ノンフィクション的な香りのする短編集。

    普通からはズレてるけれど、愛らしい人、おいおい、こんなんやってていいの?と、心配になってしまった人、一生懸命なのはわかるんだけど、ちょっと・・・と、言いたくなる人、そんな色々な外国人が登場する。 小説なんかより、ずっと感動的な、数々のエピソードにも心を動かされてしまったのだけれど、この作品が、巷に転がっているエッセイと一線を画しているのは、著者の登場人物達に対する視線。  ネガティブだとすら思える面を含め、彼らを、おおらかに、包みこむ、人間としての器の大きさが滲み出ている、本書を通じ一貫して感じられる著者の視線が、とても快い。

    ユーモアを適度に交え語られる、東京で暮らすオカシイ外国人の姿を読んでいると、普段気付かなかった東京の一面が見えてくるから不思議。

    ささくれた心に、潤いを与えてくれる、不思議な魅力を持った一冊。

  • 高野さんの著作は結構読んでいるけど、その中でも読みやすかった一冊。読みやすかったということは、時間をかけずともさらっと読めるという意味。異国の人々と高野さんとの出会いと別れが描かれている一冊であるが、その舞台は東京であり、冒険先ではない。ということで高野さんからアグレッシブさはあまり感じられない。素の状態に感じられた。小説とエッセイの中間にあるお話のようだったが、高野さんの本にはよくある形なので、そこまで特筆すべきものはない。しかし、異国の人々を通して、日本を見つめなおす機能は確かに機能していたように思う。

  • 世界津々浦々を訪れてきた冒険家の、でも適度に肩の抜けたあたたかい文章で綴られた、彼が東京で出会った外国人の話。
    高野さんを知ったのは「謎の独立国家ソマリランド」
    これは滅法面白い本で、日本でのソマリランドの知名度を一気に高めた訳ですが、行動力と伝達力(あるいは、洗脳力…?)が両方備わっている高野さんだからこそ、あれだけ面白い本がかけたのかなと思っています。
    「異国トーキョー漂流記」は「謎の独立国家ソマリランド」よりもだいぶ前に書かれた本ですが(なにせ携帯電話普及前のエピソードもある)、その面白さは変わってません。
    また、どうして、面白い人の周りには面白い人が集まってくるのか。登場人物のキャラ立ちは凄まじいかぎり。ちょっと変わった知的好奇心を満たしたい時、抜群の安定感で応えてくれます。

  • 今回も面白かった。高野さんの魅力は“吸引力”だなあとつくづく思う。
    何も物怖じせず屈託なくチャレンジするし 常に好奇心に満ち満ちていて
    「この人のそばにいると何か楽しいことがありそう」と思わせてしまう人。
    高野さんの語りは関西人かと思うような自虐ネタを大いに含んだお笑い話満載で飽きない。
    様々な外国人たちの目を通して知る東京。それは大笑いだったり、目からウロコであったり
    奇妙であったり、なんらかの哀愁がただよっていたり本当に色々。
    日本人であり井の中の蛙であることを実感。
    高野さんの本を読むと自分なりでいいからもう少し視野を広げて行きたいな~って思わされる。
    今度は幻の獣ムベンベの話を読みたいな。

  • 文化や価値観が違うって、どういうことなのか。
    それは新しいことを知る喜びでもあるし、相容れない哀しさでもある。
    逆に、国は違えど、分かる分かる(笑)と思ったりすることも勿論ある訳で。人間って面白いなあと思う。

  • 高野秀行さんは若い頃から人と違って視点で世の中をみていて視点が面白かった。
    世界の様々な場所へ実際に行く行動力も持っておられ、やっぱり行動することが一番大事なんだなと感じた。

  • 異国の人と一緒に過ごし、慣れた東京が異国トーキョーを見える

    高野さんが80~90年代に東京で出会った、外国人との交流を書いた本作は、およそ普通の人は誰一人出てこないが
    きっと彼らからは日本や日本人のことを変わった国や変な人と思われたりする事もあるのだろうと思う
    日本人にとって日本は普通の国だけど、世界から見ればそうではないということに気づいた

    高野さんのように新しい事に恐れずに挑戦できるようになってみたい

  • 東京での話なのに、知らない日本を見てるみたいで面白かった。
    友人の国際結婚で両家の距離感を埋めるのに一役買った話はあたたかい気持ちになった。形式に縛られず心のこもった、かつ気取らないスピーチができるのは高野さんらしいなぁと思う。人と人を繋げることができるのは長所ですよね。
    人生が交差するのを見せてもらう中で、人との仲は会った回数では決まらないんだな、というのはすごく感じる。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。辺境地をテーマとしたノンフィクションや旅行記等を多数発表している。主な著書に『アヘン王国潜入記』『未来国家ブータン』など。『ワセダ三畳青春記』で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。『謎の独立国家ソマリランド』で第35回講談社ノンフィクション賞、14年同作で第3回梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。

「2018年 『間違う力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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