越境者たち 上 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477993

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい。
    作者がマイノリティーに向ける、優しい視線。どこまで本当の話なのだろう?とこの作者の本を読むたび、いつも思う。

  • 6年ぶり再読。上下巻読了。いま読み返しても、ここで書かれる反「民族」論、反「日本人論」、賭博論は色褪せないと感じた。オーストラリアを舞台にヴェトナム移民マイキーとニュージーランド移民ウルフの物語を軸に。それだけに、その後の「越境者的ニッポン」(講談社現代新書,2009年)で見せた知的怠惰--言いがかりみたいなそうに決まってるという思いこみに、そうに違いないを重ねていく--にはどうしてしまったのだろう、という思いを抱いてしばらく離れてしまっていた。結末は苦い。一個の確固たる男が、誰に言われようと自分の意志で賭博し、打たれ、堕ちていくのを、たとえ誰がなんと言おうとも止めることはできない、それをわかっている、わかっていたはずなのに、傍で見てれば明白なのに、当人になると止められない。まるで、負けて罰されるために賭け続けるかのように。それはまた人生のアナロジーなのかもしれない、ある意味では。◆人間の「差異」などというものは、じつは「想像」上のみに存在する 上巻p.79◆少数者が住みづらい社会とは、また多数者にとっても住みづらい社会である 上巻p.80◆マイキー、死ぬなよ。何が起こっても、死んじゃ、駄目だぞ。生きてさえいれば、なんとかなるんだ。きっと。必ず。絶対に。 下巻p.227◆多くの場合、博奕では、敵が勝利したのではない。自分が負けただけなのだから。 下巻p.265◆博奕では、本来の動機も目的もすっかり忘れ去り、ただ闘っているという現実のみが最重要な課題となってしまう瞬間が、必ずあるものなのだ。 下巻p.208

  • オーストラリアのカジノを舞台にしたギャンブル小説。
    ギャングの曰くつきのカネを洗浄するためにカジノに通うベトナム人ギャングOB。がギャングに通う目的がマネーロンダリグから賭博に変わった時、人生が奈落の底に向かって堕ちていく。
    今後足を踏み入れることはないとは思うが、ギャンブルは怖い。ハイリスクローリターンに感じる。

  • 森巣無頼文学の最高作品と個人的には思います。
    SPA紙上でこれが連載してたこと自体も凄い。

    森巣さんはそもそもオーストラリアを本拠地とするプロ?ギャンブラー。
    (本当にそんな人いるのってのはおいといてね)

    でも、内容は切った貼ったのギャンブル小説なだけでなく、
    人間論に踏み込んでいて決して薄っぺらい小説ではなく、深い。

    著作を読んでると、ネタの使い回しが目立つが、
    コレ一作だけよめばそれも気にならないwww

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著者プロフィール

1948年生まれ。オーストラリア在住の博奕打ち、兼業作家。著書に『越境者的ニッポン』(講談社現代新書)、『無境界家族』『無境界の人』『越境者たち(上・下)』(以上、集英社文庫)、『神はダイスを遊ばない』(新潮文庫)、『二度と戻らぬ』『非国民(上・下)』『蜂起』(以上、幻冬社文庫)、共著に『ナショナリズムの克服』(姜尚中氏との対談)、『ご臨終メディア』(森達也氏との対談、ともに集英社新書)などがある。

「2011年 『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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