贋作『坊っちゃん』殺人事件 (集英社文庫)

  • 集英社 (2005年3月18日発売)
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本 ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784087478037

作品紹介・あらすじ

「坊っちゃん」の裏に浮かぶもう一つの物語。
東京に帰った「坊っちゃん」は、山嵐に赤シャツの自殺を知らされ、再び松山へ。そしてもう一つの物語が明らかになる。漱石の作品世界を再構築した物語。第12回朝日新人文学賞受賞作。(解説・三浦雅士)

感想・レビュー・書評

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  • 赤シャツが共産党員で、山嵐が自由民権派
    だった?!!

    『坊っちゃん』のすべてがひっくり返ります。
    なぜバッタ事件があったのか?
    なぜ足音事件があったのか?
    すべてが解き明かされます。そういうことだったのかと納得させられます。

    大胆な解釈のもと次々と新説?が披露されます。これはもはや探偵小説の名を借りた〈論文〉です。
    なぜ赤シャツは殺されなければならなかったのか?犯人は誰なのか?

    うらなり、マドンナ、のだいこ、狸…
    オールキャストで贈る一大エンタテインメント。
    あなたはきっともう一度『坊っちゃん』を読みたくなるでしょう。

    …と、以前も似たようなことを書いたことを思い出しました。
    柳さんといえば『吾輩は猫である』の謎を解いた『漱石先生の事件簿』もおすすめです。

  • 『漱石先生の事件簿』が面白くて続けてこちらの作品を。
    赤シャツが自殺した、と言うところから始まる面白発想。あの『坊ちゃん』の登場人物たちが、実は社会主義とか民権運動とか明治時代の大きな波に巻き込まれていたんだ、と言うちょっとスケールの大きい展開となっていた。
    これはこれで面白いけど、私は『漱石先生の事件簿』くらいゆるっとした感じの方が好きかもw
    お馴染みの山嵐や、マドンナ、うらなり!。。達の登場にはウキウキ感あり^ ^

  • 坊っちゃんが再び、かの地に戻ってきた。
    今度はどんな事件が?
    文体が、前半と終盤でなんとなく違うような気がして、違和感を覚えました。私が夏目漱石に疎いからですね苦笑

  • 「坊っちゃん」の素地を上手いこと活用して別仕立て。
    明治の時代世相を見事にはめ込んだ感がある。

    日本はパロディの文化は根づきがよくないが、もっと評価されてもいいと思う。
    パクりでもなんでもない。元ネタがいいから生きるのだ、という懐の深さが欲しいよなぁ。

  • あの「坊っちゃん」がこんな話になるなんて。 
    殺人事件の犯人を暴くだけでなく、社会主義やら民権派やら絡んできてゴタゴタ。

  • この方の作品で、このようなタイプは予想外。いい意味で裏切られた。最初の一行を見て、「こうきたかぁ〜(笑)」読むテンションが上がる。

  • タイトルどおり『坊っちゃん』のパスティーシュ。
    実は『坊っちゃん』のラスト、赤シャツ・野だいこをとっちめに山嵐と大騒ぎした翌日、赤シャツが死んで発見されていた! 3年後東京に出てきた山嵐にそれを聞かされ、自殺扱いのそれが殺人ではないかということで調べに同行させられる。
    そこで明らかになるのは、赤シャツの死だけではなく、『坊っちゃん』に書かれていた出来事の真実! あれは実は自由民権派と社会主義派の暗闘のあらわれであった! みたいな。
    『坊っちゃん』の登場人物も次々登場。
    文体模写だけでなく、本家の『坊っちゃん』自体を読み替えさせる(ムリヤリな部分もあるが)つくりとか、うまくできていて面白かった。

  • 坊っちゃんのオマージュ作品。推理小説です。
    原作に忠実だけど完全に別物に仕上がってる。その構成力たるや…!
    バッタ事件のくだりなんかは余りに一致しすぎる裏付けに思わず鳥肌。悲鳴上げそうになったくらいだ。
    最初は頼りなかった坊っちゃんが名推理を発揮してラストはとてもかっこいいのがたまらん。
    けど山嵐と絡むとかわいい。山嵐は誰が書いてもいい男。
    原作を一通り読んだら是非ともその流れで読んで欲しいです。

  • 2010/6/7 Amazonより届く
    2011/8/26〜8/27
    夏目漱石の坊っちゃんをベースにしたミステリ。第12回朝日新人文学賞受賞作。
    松山を去って東京に戻った三年後、坊っちゃんは山嵐と偶然出会い、赤シャツが彼らが去った翌日にターナー島で自殺したことを知らされる。山嵐に誘われ、自殺の真相を探りに松山を訪れた坊っちゃんは、調査を始めるが、三年前の出来事に関して衝撃的な事実が浮かびあがってくる。

    歴史上の人物を探偵役にした作品を発表してきた柳氏であるが、今作品では古典的作品の登場人物を探偵役とし、その作品を活かしてもう一つのストーリーを組み上げる。なかなか斬新な作品。
    ただ、坊っちゃんを読んだのがあまりにも昔なので、ストーリーを忘れてしまっていたのが今ひとつ乗り切れなかったところか。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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