- 集英社 (2005年4月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784087478099
作品紹介・あらすじ
斬られても、斬られても、守りたかったひと。
斬られ権佐――愛するひとを救うために負った刀傷から来た呼び名。彼は捕物の手伝いをし数々の事件を解決する。だが娘が犯罪に巻き込まれ――。愛の強さを描く感動時代小説。(解説・藤水名子)
感想・レビュー・書評
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家業は仕立て屋ながら与力の数馬の小者を務める権佐。その顔と体には88か所の斬り傷があった。女医のあさみの仕事を支えながら八丁堀で起こる事件の解決に満身創痍で奔走する権佐だが、やがてそれも限界に達し…。
権佐が扱う事件はほとんどが蓋を開けてみれば人々の心の弱さからくる他愛ないものばかり。捕物帳として読めば読み応えは正直言ってあまりない。だがそれに向き合う権佐の姿勢には人を惹きつけるものがあって、あさみが“おっこちきれた”(江戸の流行語で“ぞっこん惚れた”の意)と言って周囲を驚かせたその真意も分かる気がする。
しかもこのラストのもっていき方、こうやって締めくくられては…まいった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
純粋に(?)時代小説を手に取るのは、生まれて初めてだった。
少年時代に好きだった漫画の原作ということで読んだ隆慶一郎(「一夢庵風流記」ほか)は、時代劇というより一種の冒険活劇。少年漫画のまんまの世界観だった。
映画の原作だった「たそがれ清兵衛」(藤沢周作?山本正五郎?)は、筆者名すら自信をもって挙げられない。
好きな作家が書いた時代劇、宮部みゆきやら佐々木譲やら百田直樹やらは当然面白かったけれども。
時代小説を時代小説として選んで、購入したのは初めてだった。
古書店の百円本コーナーで探し、なんとなくあらすじに曳かれただけで買った一冊だったが、思いのほか楽しく読めた。
権佐の精々しいまでの愛、
彼に心底惚れたあさみ、
父の無念と愛情を信じ最期の言葉を胸に秘めて育ったお蘭、
あさみに横恋慕しつつも一線を越えることなく見守り殉じた数馬、
みな、いとおしい。
★3つ、7ポイント。
2019.12.02.古。
※ただしやっぱり、主人公の死で幕を閉じる物語は、手放しで「好き」とは言えない、幼い自分(苦笑)。
※買った本書は、百円本コーナーであるので当然だが、ぼろぼろな一冊。
もちろん、時代小説に疎い身には筆者名にも見覚えなし。
だけれど、先日書店で気まぐれに宇江佐さんの名を探してみたら、10冊近くの著作が並んでいて、本書もそのうちの1つに含まれていた。わりと人気のある作家さんだったのね。
時代小説初体験にしては、当たりを引けたらしい♪ -
江戸時代の町並み、空気感、人々の暮らしが温かく描かれています。
ただ、引っ掛かった点がひとつ。
権佐が娘に「母親のそばにずっといてやってくれ」と頼んだことで、娘の将来を縛ってしまったんじゃないかな。
女性が自由に生き方を決められる時代ではなかっただろうけど、それでも、お蘭にはもっと違う道や夢があったかもしれない。お蘭の耳に残っている言葉は、彼女を束縛し続けたように思ってしまいました。 -
書評で、「なでしこ御用帖」が本書の続編だとのことなので、では本編からと思い、読んだら驚いた。物語は本書で完結しているのだもの。
仕立屋の父のもとで仕立て仕事をする権左にはもう一つの仕事がある。八丁堀の吟味方与力菊井数馬の手先として捕物の手伝いをすることだ。
長崎帰りの町医者あさみが白昼に暴漢に襲われる現場に居合わせた数馬と権左があさみを守り、権左は体に八十八ヶ所の傷を負い、瀕死の中あさみとあさみの父麦倉洞海の必至の手術によって命拾いし、あさみは権左の妻となった。
回復したとは言え、体に自由のきかない権左と弟弥須の周りで事件が起き、権左と弥須の推理が冴える。
何と言っても権左とあさみ、そして二人の子お蘭の家族がいい。そして取り巻く弥須、次郎左衛門、菊井数馬らのキャラクターがまたよく、六話の連作短編としての一冊の完成度がとても高い。最終話「六根清浄」のエピローグが殺伐とした事件を描いた本書の中で、とてもおだやかな読了感を生む。 -
体中に傷がある権左が、岡っ引きをつとめて江戸の町と家族をまもる時代小説。医者でもある妻のあさみがいい感じ。体の傷は、かつてあさみを助けるために侍たちに斬られたものだが、命をとりとめたものの傷が原因で作中後半に床に伏せるようになり、身を挺して娘を助けて死ぬ。結構面白かった。
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好きだ
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カッコイイです。
そして熱い。
心意気をいつまでも忘れずにいたい。 -
刀傷を背負い、不自由な体で与力の小者をつとめる権佐。
女房のあさみは女医師。
事件が起きれば権佐が悪を追い、
あさみが消えゆく命を助ける。
江戸・八丁堀を舞台に描く人情味あふれる連作集。 -
まあまあ面白い。
異形の男を主軸に据え、短編の連作を紡いだ上で、主人公の死をもって物語を昇華させる。なかなかの腕だと思う。
ただのめり込むほど面白いかと言われると???
この曖昧感こそこの作家が今一つ突き抜けていない理由ではないかと感じる次第。 -
L 斬られ権佐1
惚れた女あさみを守ろうとして瀕死の重症を負った岡っ引きの権佐。あさみは長崎で医者の修行をした蘭医の娘だった。そのあさみは自分を守って傷ついた権佐を看病し権佐の嫁になると宣言する。88箇所の傷も持ちながら奇跡的に生還しあさみと所帯を持った権左佐は再び与力菊井数馬の小者を勤めだす。
あさみに岡惚れしていた数馬と権佐との関係。仕立物屋の父、母と弟。あさみと娘お蘭。
あったかい人間関係と無数の傷と己の寿命がいくばくもないことを知っている権佐。
家族や周りがいいだけに権佐の最期に号泣。権佐、猛烈にいい男。
権佐亡き後のあさみとお蘭の話も切ない。 -
3月29日 読了
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あさみへの思いを忘れられない(これ,結構あけっぴろげ,かつ強引)一方で,その夫である権佐が好きで心配でたまらない数馬がよいです。
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切ない。切ないけど、いいお話だ。太く、短く、潔く生きていくって、こんなに切ないものだね。だけど一所懸命生きた証がここにあるのだから。
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惚れた女を救うため夢中になって負った刀傷が八十八。相手がよほど鈍らのへたくそだったんだねぇ。秋山小兵衛みたいだったらもうそれでお話が終わってます。深川八丁堀が舞台のはずなのに、そんな風にぼろぼろになってしまった体はちゃきちゃきとはいかず、人間健康が一番だと妙に納得してしまう色を持っている。そんな「江戸っ子でい!」とはとても言えない薄暗い雰囲気が最後に生きてきて、死をもって終わっても読後感はさわやかである。
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身体に八十八か所の刀傷を持つ、本業は仕立て屋で裏では小者を務める「斬られの権佐」が主人公の、連作短編集っぽい長編。いきなり傷だらけで登場。小者稼業で活躍しつつも、後遺症ですでにあっちこっち弱まってます。んで、後半はほとんどヨレヨレ。ある意味、斬新なキャラの主人公ではあります。
著者プロフィール
宇江佐真理の作品
