スローグッドバイ (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2005年5月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784087478167

作品紹介・あらすじ

さよならから始まる恋人たちの物語。
失恋して心を閉ざした女の子、セックスレスに悩む女性、コールガールに思いを寄せる男性など、「恋する人たち」をやさしい視点で描いた10編の物語。著者初の恋愛短篇集。(解説・香山リカ)

みんなの感想まとめ

恋愛の短編集で、さよならから始まる人々の物語が描かれています。特に表題作の「スローグッドバイ」では、元恋人との別れを通じての新たな関係の築き方が心に響きます。復縁を期待する読者の予想を裏切る展開があり...

感想・レビュー・書評

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  • 恋愛の短編集。タイトルのスローグッドバイは別れた元恋人とのさよならデート。復縁してハッピーエンドかなと勝手に思っていたが大はずれでした。

  • 石田衣良さんの作品はおしゃれだ。
    それが失恋の話であっても、現代にはびこる社会問題であっても時にはギャング間の抗争さえおしゃれに描かれる。
    読者はその軽快でおしゃれな文章とストーリー展開に引き込まれながら著者が投げかける命題について思考する。
    本作品で描かれる10の恋の物語、現代に生きる人々の悲喜交々がやはりおしゃれな文章と展開で描かれている。

    この作品は私にしては珍しく再読した作品。
    以前は何歳の頃に読んだものか覚えていないが、IWGPシリーズのまことの活躍に胸を躍らせていた頃かもしれない。
    とにかく若い頃には間違いないだろう。
    石田節の文章とストーリーに酔って堪能していたはず。

    ところが今60も半ばを過ぎて読む本作は70年代、80年代頃に流行っていたカラフルでポップなポスターを眺めるのに似ている気がした。
    どこか自分とは随分離れたところの話を聞いているだけのような感覚、実感があまり伴わない。
    表題作の「スローグッドバイ」に描かれているおしゃれな別れ方、当時のトレンディドラマを真似た若者の間ではもしかしたらあったかもしれないけれど、それは極一部のお金に余裕のあるお坊ちゃま、お嬢ちゃま達の間での事。

    齢を経て知るのは、人間の生活、恋でも仕事でも友情でも、そんなにおしゃれなことは起きない。
    実生活ではすべての事が泥臭く、格好悪く、必死にもがくようにして進んでいく、という事。

    好きな作家であってもその作品を読む読者の年齢と経験は作品の評価への大きなファクターかもしれない。

    本作品中で一番しっくり読めたのは「ローマンホリデイ」
    老人ホームで暮らす72歳の女性が21歳の孫娘の名を借りて掲示板で知り合った主人公の若い男性とメールのやり取りをする。
    彼女の頭の中には映画「ローマの休日」のグレゴリーペックとオードリーヘップバーンの恋物語と若いころに親しんだ古い銀座の街並みが今でも息づいている。
    メールのやり取りをする中で、自分は孫娘の年齢の女子になり「ローマの休日」の感想を語り合い、ローマの町を、銀座の街を自由に散策する。
    事実を知った主人公はそれでも彼女を受け入れメールのやり取りを続ける約束を取り付ける。
    そんなしゃれたストーリー。

    歳を取り「老人」と呼ばれる範疇に入っても、人は自分の中に若さを持っている。
    老人ホームのベッドに横たわっている今の自分を切り取って「老人」とみられるのは本意ではない。
    世の中の動きに関与することのなくなり世の中から忘れられた老人ではなく、生まれてこの方恋もして夢も持っていた途切れることのない歴史を持ち、それをいつでも振り返ることができる、いつでもその時の自分に戻れる「老人」という呼び名でくくら
    れるのではない「自分という人間」なのだ。
    過去のあの時の自分は今の自分そのものなのだから。思い出つまりは自分の歴史の中で活躍した自分は過去の誰かではなく今の自分なのだ。
    それを受け止めたり共感してくれる人や社会があったら体力は弱っていても「若き日から今までの歴史を持った自分」を自覚して生きることができるように思うのだが。

    ただ多くの歳老いた人々は自分の中にある歴史を振り返って今ではない自分に戻っても、それを表現することなく、だから当然受け止め共感してくれる人を持てず自分の中での振り返りだけになってしまい、「今だけ」を切り取られた老人になってしまうのではないだろうか。。


    そうやって「老人」となって埋もれてしまう事ににこの72歳の女性は現代の武器で抵抗した。
    こはれからの時代に先進的な役割を果たすべきITの一端が、歳を経た女性に力を与える素晴らしき副作用。
    主人公と彼女は時代を超越した恋人であることができた。
    情報社会の中でとかく途切れがちになるアナログな人間関係は少しだけデジタルに形を変えて息を吹き返すのかもしれない。

  • 男の人のやさしさが、じんわりと心に沁みる短編集でした。
    どれも都会的で、さわやかな印象で、表題作の「スローグッドバイ」は特に好きです。
    こんな素敵な別れ方もあるんだと思いました。
    お互い嫌いになったわけじゃなく、才能を信じて応援してくれる、こんな前進のしかたもあるのですね。


  • 先日の飲み会(合コン)でとても話のうまいうてうての男に会いました。

    朝までカラオケ行って、帰りの始発電車で二人になったので、
    「なんでそんなに話がうまいのか?」聞いたところ、
    手帳と思っていた革張りのなにかが分厚い本だということが分かった。
    年間で約100冊は読んでいるらしい。

    そういわれてみると、何事にも詳しかったり、話が面白かったり、
    物事の理解がはやかったりするやつは、みんな読書をしている。

    ということで、ミーハーなので、僕も読書を始めようと思う。
    それも今年の抱負とする。今年っていうか今年からの。

    「スローグッドバイ 石田衣良」
    2006年の9月頃に読んだ。
    どこかかけ離れているが、どこか現実的で、恋愛がしたくなった。

  • 普通の人たちの恋愛がテーマになっている10篇のお話です。どこにでもいそうな2人の、出会いや別れが描かれています。山あり谷ありではないですが、さらっと読めるお話ばかりです。
    『ローマンホリデイ』というお話がワタシは好きです。

  • どの短編も割とセックスばかりで、んー。まぁ恋人同士はみんなするからわざわざ避けるのも変なんだけど、んー。

    スローグッドバイはIndigoの忘れて花束のPVを思い出した。お互い思いあいながらの別れは、別れが完全に不幸なものとして捉えられることがないから好き。

    ローマンホリデイとスローグッドバイは星4!
    この人の作品は服とか家具とかの描写が細かくて、とても情景が思い浮かべやすい反面、名前を知らないものが出てきた時に一気に話に入り込めなくなる感じがした。

    • moboyokohamaさん
      ローマンホリデー、私もこの10編の中で1番良かったと感じました。
      ローマンホリデー、私もこの10編の中で1番良かったと感じました。
      2020/08/29
  • かなり好き。みんなそれぞれにそれぞれの恋愛をしてるんだなぁと思う。自分の恋が特別で、他の人のとは違う、と思っていたけれど、みんなそれぞれにちょっとずつ、他人から見たら不思議に思えるような恋愛をしてるんだよね、きっと。

  • 確かあたしの石田衣良さんデビュー本!結構切ない短編集だけどすき。あたしの出身大学が舞台なんだろーなぁというお話もあり。

  • 洗った小豆のような本

    泣いたような艶やかさを持ちつつ、黒く美しく咲いているようだった。
    粒同士のきらめきが互いを反射するように、集まっているから魅せられるものがある。


    時に物語の終わりを破壊を用いて終わらせる人がいる。たぶん、羨ましく思ってる。
    ガラスであれば光を弾き煌めき美しく、プラスチックであれば粒の個性に惹かれ、木片であれば可動域の広い鋭さに目を奪われる。
    幸せを柔らかさと捉え、その反対側を破壊と捉えるのであれば幾分か飲み込める幅が増えるのかもしれない。

    微量の悪意とスパイスのきいた知性。

    膝の上でくつろぐ君の体温を感じながら、窓の外の音をこねる。
    強すぎない風が柔らかい匂いばかり運んできて、鼻から下がだらしなくなる。

    砂糖が沈む珈琲が喉を通る時、ふと"ローマンホリデイ"を思い出してしまいそう。
    見知らぬ人との繋がりの多くを減点法で見極める平らな私に、線を書き加え奥行きを追加してくれる。
    歳を重ね、人と関わるということは分子の立体構造のようにある程度の安定性と三次元的な構造を組み立てなければならないのですね。

    抱いたこの感情からアクを抜き、炊きつづけてみようと思う。

  • 色んな人の恋の話。
    最後のさよならデートは悲しいけどなんかいいなと思った。

  • 「どの恋人たちも決定的な理由や運命的なひらめきで恋仲になったわけではないし、殺したいほどひどい理由で別れることになったわけでもない。
    気がついたら隣にいたから、と好きになり、季節が変わったから、と愛が冷めたりしている。
    おそらくはこれが、二十代から三十代はじめの恋愛のリアルな姿なのだ。」

  • 心にグッサリ突き刺さってくる話もあれば、正直どうでもよい話もあり。分量は後者の方が少し多いか。

  • 比喩表現の美しさ、文章のテンポ。文章力でいえば、石田衣良さんは作家さんのなかでもトップレベルだと(個人的には)思う。

    特に短編だと洗練されていて、引き締まった無駄のない文章は読んでいて本当に惚れ惚れする。

    ちょっと大人な物語であるものの、登場人物たちに共感できる点が多く、楽しかったり悲しかったり寂しかったり、さまざまな感情を一冊の小説のなかで感じることができた。

  • いろんな方の感想を見ると『ローマンホリデイ』の評価が高くて、確かに良い物語だった。それ以外にも、you lookや真珠のコップ・線のよろこびなんかも良かった。
    ただ、僕とはしては そうなるまでの心の動きや関わりが好きなんだけど、この本では がっつりそうなってるのが大人のラブストーリーだから なのかなと思ったり...

  • ローマンホリデイ、泣かない、が好きだった
    どれも良かったな、、、地下鉄に乗る15分で1話読めるのでテンポよく読めたし話も良かった、石田衣良やっぱり好きだ

  • 文庫本発売当時の2005年くらいに一度読み、本棚に眠っていたものを再読。

    真珠のコップとローマンホリディがすき。
    スローグッバイもよかったけれど、これをよいと言うと、石田衣良さんはしてやったり顔だろうと思い、なんだか悔しくて素直によいと言えない笑
    十五分はいったい私は何を読まされてるんだ…wという気分になった。
    ハートレスと線のよろこびは起承転結の「起」だけ丁寧に描かれ、のこりが全速力のドタバタ走りで終わってしまった感じが残念。

    当時のリアルを鮮明に描写しているせいか、今現在(2022年)の大学生とかが読んでもちょいちょい単語に詰まり、ストーリーに入り込めなそう。iモードや着メロとかならまだしも、ストーリーの肝なのにコールガールやプロバイダの掲示板とか言われてもはて??では。現代小説の寿命の短さに、恋愛とは違う意味でせつない気持ちになってしまった。
    そして普通の人のリアルを描いているようで、こんな恋愛なかったなぁ、、いいなぁ、、、という気持ちにも。

    石田衣良さんの小説はどんなに重い題材を扱ってもさらっとしていて読みやすい。

  • 「ローマンホリデイ」だけで、読む価値のある作品。

    恋愛小説を好まない(特にハッピーエンドの)ので、ほかの作品は軽くて読みやすいとしか思わなかったが
    この作品だけで、プラス星二つ。

  • ずっとセックスの話ばっかりしてるな…と思ってたら、最後の短編で全てが腑に落ちて、読後感が良い感じになる不思議。


    『スローグッドバイ』
    著︰石田衣良
    2005年 集英社文庫

    『泣かない』
    失恋の後に泣けない女性と、ぼく。
    泣ける映画のタイトルが大体分かるのがおもろい。

    『十五分』
    夏の間ひたすらセックスし続けた思い出の話。

    『You look good to me』
    アヒルの子と僕の、チャットから始まる恋。
    美醜。

    『フリフリ』
    熱心に恋人候補を紹介してくるカップルに半ばうんざりした僕と潤子は、付き合う「フリ」をすることで今後の煩わしさを解消する。

    『真珠のコップ』
    コールガールとの出会いからの、本気。

    『夢のキャッチャー』
    シナリオライターを目指す彼女がどんどん高みに昇っていく。その様に、自分が置いていかれるような気がする男。

    『ローマンホリデイ』
    ネットで出会った女性と「ローマの休日」の話で盛り上がり、ついに会ってみると…
    良い話。オチも素敵。

    『ハートレス』
    仕事が忙しくすれ違いばかりのカップルの、セックスレスの話。

    『線のよろこび』
    才能を見抜く力のある女が次に見出したのは、地下鉄の職員!

    『スローグッドバイ』
    「内臓が本来の場所からずれ落ちていくように感じた」
    キレイに別れるためのサヨナラデート。
    女は物書きの男に、いつかこの事を書いて、と頼む。
    男は沢山の物語を書くと確信する女。この別れを機に、沢山の物語が湧き上がる男。
    この短編集のラストにふさわしい、全体を暖かく包み込むようなエンディング。鮮やかで強い。

  •  石田衣良の恋愛短編小説集「スローグッドバイ」を読み了える。
     脛の傷、心の闇、隠したい過去を抱きながら生き抜く男女を描く10編。性を交す作品が多いけれども、そうでない作品もある。
     サクセス・ストーリーへの執着が見られ、シナリオ・ライターとして成功してゆく「曜子」とそれを見守る「史郎」の「夢のキャッチャー」、イラストレーターとして「山口高作」を発掘するPR誌の「サツキ」の「線のよろこび」などがある。
     憶測を交す男女が、結末でどんでん返し的に和解するストーリーを含めて、最後の表題作「スローグッドバイ」を除けば、ハッピーエンドの物語である。
     「スローグッドバイ」では、2年間の同棲をしていたフミヒロとワカコが別れる事になり、さよならデートをした後、ワカコの見抜いた通り、フミヒロの「心のなかにたくさんの物語があふれていたからだ」と作家的才能の発現を描く。これまでの9編をフミヒロの作品であるかのように、この作品集を2重にフィクション化している。

  • 全体を通して読むのは2回目。(こちらに登録する前に1回読了)。どういうわけか何回も読みたくなる不思議な魅力のある短編集。古本屋で何度も思いだしたように立ち読みをしている。(Hな表現があるからという理由ではありませんが。)特に「真珠のコップ」「フリフリ」は、お気に入り。これから恋が始まる話、恋に発展する話は形はどうあれ読んでいてほのぼのとしてくる。そういう点がお気に入りなのかなと思う。感想はこんなところです。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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