ベター・ハーフ (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478518

感想・レビュー・書評

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  • 結婚は逃げられない罠なのか?
    それはちょっと哀しい。

    唯川恵さんの作品はこれで4冊目。
    私が感じる作風、20代30代の女性の行動心理にはとても深いが、その他の世代の女性にはちょっと辛口。
    また結婚という制度にも辛辣。若い女性のせつない恋愛心理描写は抜群。

    あらすじをすこし。

    結婚式当日、ウエディングドレス姿の花嫁控え室で夫になる人の元彼女が、手首を切って騒動が始まる。
    こんなことがあっても結婚式は止めない。こだわった豪華なせっかくの結婚式だものと。

    当然新婚旅行もギクシャク。成田離婚かと思うと、皮肉な事情で結婚生活が始まってしまう。
    詳しくは書かないが離婚の危機の数々をくぐりぬけ、そして10年。女の子も一人儲け、こんな夫婦はざらにいるのではと思わせるよの姿。ここらへんの筆力はうまい。結婚40年のばあチャルからみてもそんなことあるあるという事象がつぎつぎと、笑ってしまった。

    しかし時代だからというのか、不倫が大手を振っている風潮(フィクションでも現実でも)にはちょいとあきれる。
    また、だいたい結婚する前に多くの人とよく付き合って、よりよい人に巡り会いたいとなど無理な注文。絶対後ひくだろう。男女の恋愛トラブルが起こるのは必須。
    自由な現代だけど大変だね。すっかり、いじわるばあさんモードだけど(笑)

    で、主人公永遠子と文彦は結婚を継続できるのか...。

    ベストではなくベターな関係。
    それでも結婚する?
    古くて新しい問いかけの、現代における答えの一端が見えて妙に納得する小説だった。

  • 悩んでて元気の無いときに読みたい本。もったいなくて、読み進めるのを敢えて休憩したり。どうしようもない登場人物たちに自分を投影しながら、彼らががんばり、なんとか進んでいく姿に元気をもらいました。悩みがやっぱり同じで、でもなんとかなるんだ、と希望をもてました。バブルの描写も気持ち良く、唯川さんの男女の本音の書き方はやっぱりすごいし、とにかく大好物な本でした。

  • 結婚って終わりじゃないんだと改めて考えさせられた作品。夫婦とは家族とはを悩んだら、また読もうと思う‼

  • 私達くらいになるとわかるけど、結婚して3~4年じゃわからないわねと貸して頂いた本。先に読んだ主人が「新世界より」より夢も希望もなくて怖かったというのでどんな話かと思ったけれど、私にはちょっと目からウロコなくらい夢と希望のある話だと感じた。これが男女差なのかな。
    お互いの間を埋めるものが憎しみや無関心や軽蔑であっても一緒に時を過ごすうちに少しずつの依存が重なってかけがえのないものになっていく、不思議だなと思うけど血縁の無い人間関係なんてそんなもんかなとも思う。そこを描くのか、と、いちいち出来事とか感情がリアルなだけに真実味もあって本当に面白かった。
    と、同時に私も安心して結婚生活を送れる気がした。結局最後がハッピーエンドだったからね。おもしろいなー。
    自分が千賀とか里佳子になる可能性もなきにしもあらず、とは言えそれはそれでやっぱりみんな乗り越えていくんだよね。
    結婚て普通に特に浮き沈みもなく過ぎる人もいるのかもしれないけど確実に想定外の出来事が2倍に増えた。それに環境要因まで入るんだから社会人って大変だー。

    結婚前の人には絶対にお勧めしないけど、既婚者は結婚をつづける自信になる気がする。

  • バブル最盛期に湯水のようにお金を使い超豪華な挙式披露宴をした一組の夫婦の、その後十年を綴った作品。

    これはめちゃめちゃおもしろかった!!
    のめりこむように読んじゃいました。

    すっげぇリアルでドロドロ(笑)バブル絶頂期の札束が飛び交う世界から、株が大暴落してどんどん落ちぶれて行く人たち。
    リストラや不倫や親の介護、最初は小奇麗な仕事しか嫌だと言っていた主人公永遠子が最後には野菜の袋詰めの仕事をするところなんて、なんかもうすっごいリアル。
    離婚の危機も何度もあって、そのたびに双方ともに「別れよう」って決意してるのに、なぜか別れずずるずると十年すぎるのも、なんていうかリアル。
    そこには見栄とか手間とかあって、子供が出来てからは子供がいるからって感じで。
    ほんと、これを読むと「子は鎹」なんだなぁって思う。
    永遠子が二人目を流産するくだりでは、ちょっと怖くなりましたが。
    うひゃぁ。私大丈夫かしら。ドキドキ。ほんと、妊娠出産って奇跡だよなぁ。

    ラストはなんだかんだ言いながらハッピーエンドでちょっとほっとしました。
    てか、まだまだ続けて欲しかったなぁ。これ、美有が高校生ぐらいになったらどうなるのかなぁ。そこらへんも書いて欲しかったかも。

    とにかく、久しぶりに唯川恵、あたりでした。おもしろかったー!!
    やっぱりこの人は長編がいいなぁ。山本文緒と一緒で。

  • 他の方も書いている通り、本当に自己中心的で見栄っ張りで嫌な人間ばっかりでてきます。主人公とその夫も、なかなかひどいです。笑

    そして嫌なことばっかり起きます。400ページ中、350ページくらいが嫌なことで埋め尽くされていて、どこまで不幸になれば気が済むの~ってくらいです。でもその都度立ち直り、考えが少しずつ変わってゆき、なんとな~くちょっとずつもっと強固な人間になってるのかな。

    唯川さんならではの、きれいごと無しの不幸小説って感じ。笑

    これだから唯川さん好きだ!

  • 2012/6/18 読了。
    20代前半で、未婚の私にはまだまだ理解出来ない所も多かったし、結婚てこんなもんなのだろうか…と思ってしまった。
    でも自分の全く違う世界中に引き込まれて、どんどん先を知りたくなってサクサク読めた。

    現実的で、表向きは幸せそうに見えるけど、裏はすごくドロドロしてる感じ。
    素直に、誠実な恋愛がしたいー。



  • 昭和から平成へ変わるその時に結婚した1組のカップル。
    バブル崩壊から、2000年問題まで。

    結婚は入れ子の箱を開けてゆくようなもの。

    〝わからないよ、開けてみなくちゃ。〟

  • バブルの時代を生きた人は、濃密な人生を送ってきたんだろうなと思う。人生の水も甘いも全部経験して、どう落ち着いたのか。バブル後世代の私には夢の中の世界だ。
    でも、いつの時代に生まれても悩みは似たような物だなぁとつくづく感じもした。

  • 第八章 夜明けまでの美有がいなくなって、そこから喧嘩になるけど、文彦の「じゃあ、なんで結婚したんだ」に対する永遠子の返答がシンプルやけど、すごく良かったです。

  • 時事ネタがもりこまれてて、時に唐突だな!っていうのもあったけど、時代をリアルに感じられた。結婚て、恋愛と違う。男女として好きでも、家族になったら好きじゃなくなる。。気が合う、一緒にいて楽しい!が結婚後もそうだとかぎらない。。結婚は本当にスタートなんだなと感じた。

  • 結婚はそんなに甘いもんじゃないというのは別に小説に語ってもらわなくてもよくわかっている。
    作者が大真面目に結婚を語った小説なのかどうかはわからんが、とにかく主人公二人は後先考えずに金を使い、不倫やらなにやらをし、相手ばかり責めて話が終わる。それだけの話であった。
    結婚はたいへんだ~

  • 相変わらず、この人の小説に出てくる人物たちは利己的で文句タラタラで嫌な人間ばかり。
    しかも、その嫌な部分があまりにもリアルで、自分にもありそうで怖くなる。だから余計不愉快で落ち着かない。ここまで本音をつきつけられたら身も蓋もないって感じ。
    結婚に夢も希望もなくなる・・・

    それでも、ぐいぐい読まされてしまうのだが。

  • この当時、唯川恵は結婚していなかったはずなのに
    女、妻、母の気持ち、結婚のリアルそして
    男の気持ちまで鋭く描いていて
    現実をまざまざと見せつけられた。文章力がすごい!

  • これ読んだの二回目だった。

    結婚後の現実的な作品だった。

    バブルの匂いがちらついた。

    女性って強いしいつまでも成長するんだな

  • 結婚してからのある夫婦を短編でつづっている。
    結構いろいろと問題が起こる夫婦がその時の危機をのりこえて、夫婦生活が続いてく。
    二人の気持ちのすれ違いがちょっとオーバーながらも実感できたりして。
    結婚15年目の私は”こういう気持ちはあるある~”と面白く読めました。

  • 一応、ハッピーエンド?

    夫婦って何?
    家族って何?
    親子って何?
    と、まぁ色々と考えた1冊。

    結婚とは“入れ子の箱を開けていく”作業らしい、、、。
    アタシと相方君の作業は今、どの辺りなんやろう?( ´艸`)

  • 結婚こえーよー

  • 結婚してからの生活を坦々と書いただけなんだけど、小説になってるんだなって。。
    あっさりしてて、新鮮な感じがした(笑)

  • 90年代はがきんちょだったためか、世の中の動静なぞ何も覚えてない。
    しかし、なんともまぁ、濃い10年だったんだなぁ、と。

    こういうの読むと、結婚する気が失せてく。
    そして、最低限一人でも十分生きていけるくらいの職を得てやる、という気になってくる。
    やるきでるなぁ笑

    まぁ、でもストーリーそのものより、90年代という時代背景のほうが興味わいたかも。
    新書とか読むより、小説のほうが雰囲気掴みやすいね。

  • どんなに辛く苦しいものだとしても
    私も早く結婚したい

  • 多分この本を読んだ年齢で感じ方が全然違うんだろうなって思う。

    今よりもっと若い時なら永遠子や文彦の身勝手さが受け入れられなかったと思う。

    自分が結婚したときに読み返したい一冊です。

  • 結婚て怖い。
    この人の性格だからか
    誰しもこうなっちゃうのか
    どちらだろう。
    後者だと思いたい。

    気に入った言葉

    「ふと残酷だなと思った。
    澄み切った空は、どこか人を突き放しているようにみえる」

    ☆3つ

  • 最高であるはずの結婚式。
    夫となる男の浮気相手に踏み込まれ
    最悪のスタートとなった結婚生活。

    バブルに踊らされ、浮気、破たん
    そして離婚を決意したとたんに判明した妊娠。。。

    ひと組の夫婦を描いた小説。

    「ベストじゃないけど、ベター
    最高ではないが、まぁまぁのパートナー」
    そんな相手なら結婚生活は成功なのか?!

    あまりにもリアルだけど、なんだか読んでいて
    後味のよくない感じ・・・

  • 自分を傷つけたくないから相手を傷つけて自分を守ったり、他人や世間や他人のものさしで自分の幸せを計ったり・・・永遠子も文彦もかなり利己的だったが、リストラや不倫といった出来事に、キレイゴト的な解決ではなくて、二人で受け止めていっている。夫婦になって他人と一緒に生きるってこういうことなのかしら。
    最後・・・本当にいろいろな出来事があって、永遠子が口にした「文彦が好きだったから、一緒に幸せになりたかったから」という言葉は感動しました。

  • 結婚式当日に夫の浮気が発覚したがそのまま別れられず、結婚生活を続ける二人。結婚は入れ子のふたを開けるようなものって言ってたけど、浮き沈みのイベントはあるものの結局水平線でうーんって感じでした。

  • この夫婦、お互いによく文句を言って、不倫ばっかりしてるなあ、っていうのが、第一の感想。でも、子育てや親の介護などを通して、家族がだんだんあったかくなっていく様子から、応援したい気持ちがわいてくる。

  • バブルを知らなくても、この女の気持ちは今の女にだって当てはまる。当時の事件とか合間合間に挟まれているのに、作品自体が古く感じないのはセレクトされた事件が、再び起こらないとはいえないものだからじゃないのか。
    とはいえ、日経平均4万円弱には思わず笑ってしまった。私もバブルを生きてみたかったと思う。

  • バブル絶頂期に結婚し、そこからどんどん崩壊していく夫婦のお話。
    結婚生活の全てがこんなに波乱万丈ではないかも知れないけど、
    トラブルが勃発するごとに描かれる
    夫、妻それぞれの心境がとってもリアル。
    結婚しない方が幸せなのかな、って思わせる一冊。

    唯川さんの文章はとっても読みやすくて、
    あっという間に読み終わっちゃう。

  • 自分が選択しなかった道ばかりをうらやましがる。

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