MOMENT (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478594

作品紹介・あらすじ

死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望-。静かに胸を打つ物語。

感想・レビュー・書評

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  • 死を目前にした入院患者の願いを叶えてくれる青年の物語、とのことで
    天使のような心優しい青年を主人公にしたハートウォーミングな作品なのね♪と
    勝手に思い込んでいたら。。。

    いい意味で、裏切られました!

    死にゆく人のお願い事のほとんどは、温かく美しいものなんかじゃなくて
    どうしようもない業を孕んでいたり、
    親友の死を招いた相手への小さな復讐と八つ当たりだったり、
    ひとかけらでもいいから自分を誰かの記憶に留めたいだけだったり
    家族に迷惑をかけないよう、一刻も早く死ぬことだったり、
    思いがけなく苦くて、重くて。

    またその経緯を綴るのが、とてつもなく端正でスタイリッシュな文章!
    主人公の神田も、心優しい天使の面影は全くなくて
    どちらかというと理路整然としたクールでそつのない大学生であることが
    「願いを叶える必殺仕事人」という虚構を、かえってリアルに支えています。

    長期入院患者の間で、噂がさわさわと拡がっていく様子が目に浮かぶようで
    最初は「黒衣の必殺仕事人」であったのが、
    神田がバイトに来てからいつのまにか「掃除夫の必殺仕事人」となり、
    さらには「黒衣」と「掃除夫」が入り乱れるに至る構成も秀逸。

    心憎い台詞もさらっと言ってしまうあたりがちょっと信用できない感じだった神田が
    死を切望する有馬を生かそうと、手間暇かけて決行する最後の作戦が微笑ましく
    男性よりも男らしい言葉づかいの森野が神田に寄せる純情もけなげで

    続編『WILL』が気になってしまう、初☆本多孝好作品でした。

    • まろんさん
      まっき~♪さん、こちらこそ~(*^_^*)

      本多孝好さん、私もずっと気になっていて積読状態だったのですが
      勝手に抱いていた印象とはぜんぜん...
      まっき~♪さん、こちらこそ~(*^_^*)

      本多孝好さん、私もずっと気になっていて積読状態だったのですが
      勝手に抱いていた印象とはぜんぜん違っていて
      甘すぎず、かといって突き放しすぎてもいなくて
      上手いなあ、と感心してしまいました。
      葬儀屋さんの森野が、言葉は荒っぽくて男性的なのに
      心のうちはかなり純情乙女なのが可愛くて、
      森野を主人公にした『WILL』が楽しみです♪
      気になる作家さんが多すぎる。。。本読みにとっては最高の幸せですね(*'-')フフ♪
      2012/11/08
  • 「MOMENT」本多孝好 著

    【あじわい】
    deleに続いて二冊目として選択した本多さんの著書。deleは一話完結の連作に対して、MOMENTは一話ずつが最後の章で重なり合う連作です。

    また、dele は、主人公に探偵要素を込めているため、小刻みに展開するリズムです。
    一方で、MOMENTは、主人公が一般的な大学生であるため、描写に日常を感じます。

    【著書の舞台】
    病院です。
    入院、退院、または、残念ながら最期が近づく患者もいます。
    舞台となる病院には、最期の願いを叶える使徒が存在するという噂があります。

    【テーマ】
    ひととして、最期が近づくとき、MOMENTを迎えるとき、何を願うのでしょうか?

    それは、自身の願いなのでしょうか?
    はたまた、大切な誰かの願いを叶えるために、その願いを自身の願いと読み変えて祈るのでしょうか?

    ------------
    著書を通じて、私たちは、何人かのMOMENTに対峙しあいます。

    その擬似体験を通じて、今だからこそ、自身のMOMENTを想像、描くことができることを認識できます。

  • 大学生の「僕」は病院で清掃員のアルバイトをしている。入院患者の間でひっそりと囁かれる「必殺仕事人」の噂…それは死を前にした患者の前に現れ、願いをひとつだけ叶えてくれると言う…

    その姿は「黒衣の男」とも「清掃員」とも言われ…

    うーん。必殺仕事人ならやっぱり藤田まことさんの方がいいなぁ。この必殺仕事人は優しすぎる。

    古本屋さんで購入したこの本、何気なく開いてみたら本多さんのサインつきでした。

    以前にも買った漫画がサインつきだったり、たまにこんなハプニングがあります。嬉しいけど…サインしてもらった本をブックオフに売るのってどうなのよ(笑)

  • WILLが面白かったので姉妹編というこっちも読んでみた。葬儀屋の森野さんご無沙汰っす!

    WILLの方が読みやすくて好きだったかな。
    こっちは結構救えない感じで終わるイメージ、。

  • 死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望…。静かに胸を打つ物語。

  • 物語は『死ぬ前にひとつ願い事をかなえる』という役目をおった必殺仕事人の話。4部から構成されてますが『FIREFLY』がとくに好きですね。死を前にした人間は、死ぬ前に何をお願いするのか。な~んか、じ~んわりとして、よかった。とくにセリフの言いまわし方が好きです。伊坂に似たオサレな感じがします。全体的に会話っぽく進んでいくので、あっという間に読み終えてました。主人公の幼馴染の森野(葬儀屋)がかわいくイメージしてよいのか、そんなにかわいくないイメージなのか、どっちで捕らえるべきかがわからなかった (´▽`)

  • 舞台は病院。
    死が間近に迫った患者たちに伝わるとある噂。

    それは、死に際に一つだけ願いを叶えてくれるというものだった。

    人は死に直面したときに最後に何を願うのか。


    「病人の願いを叶えて、心温まる」系かと思ったら、意外とゾワっとするところも。

    死に際だからといって、みんながみんな優しくなれるなんて、そっちの方が珍しいんじゃないかなと思う節があったので、これはリアルな感じが良かった。

    それでも綺麗な話は良いな。3編目が好きだ。

    ファミレスの場面とか、なんか素敵だった。

  • 死を前にしたときの最後の願い。そしてそれを叶えたいと思う病院でアルバイトする掃除夫の大学生神田。
    それはささやかな復讐だったり、未練だったり、神田君が噂の必殺仕事人の振りをして叶えてあげられる事柄はある意味納得ができたのだけど、この病院には本物の仕事人が暗躍していたことを彼は知ってしまった。許されるべきではない行為が行われていると。う~ん、考えさせられました。

    もし自分の命があと僅かだと知ったら、私はどっちの仕事人に何をお願いするんだろう……

  • 2014-2
    設定自体は面白いんだけど、なんか物足りない。
    不完全燃焼な感じ。
    死を前にして人は何を考えるんだろう。。。
    そして、看護師はそんな簡単に患者さんの情報を流さないぞとか思ったり。

  • 病院で清掃のアルバイトをしている男子大学生が末期患者の最後の願いを叶えていくお話。
    重い。重い。全て重い。
    その人の人生を背負っているのだから重いのは当然かもしれないが、そんなに裏ある!?ってほどに重い。
    私はまったく軽いのしか思いつかないな。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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