白蓮れんれん (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478600

作品紹介・あらすじ

「筑紫の女王」と呼ばれた美しき歌人・柳原白蓮が、年下の恋人、宮崎龍介と駆け落ちした、世に名高い「白蓮事件」。華族と平民という階級を超え、愛を貫いたふたりの、いのちを懸けた恋-。門外不出とされてきた七百余通の恋文を史料に得て、愛に翻弄され、時代に抗いながら、真実に生きようとする、大正の女たちを描き出す伝記小説の傑作。第八回柴田錬三郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 朝ドラ「花子とアン」の蓮さまのモデル、実在した柳原白蓮を描いた伝記的な小説。
    94年の作品で、第8回柴田錬三郎賞を受賞しています。

    白蓮は26歳で、51歳の伊藤伝右衛門と結婚するところから。
    華族のお姫様で、天皇の親戚にあたる女性がお嫁に来ると地元は大騒動。
    白蓮はごく若い頃に決められた相手と結婚していたが離婚し、今度の結婚も、選挙資金に困った兄の決めたものだった。
    売られた花嫁などと新聞に書き立てられもする。

    炭鉱王として知られた伝右衛門は、白蓮のためにお金は惜しまない。
    だが、子供はいないので白蓮の産んだ子が跡継ぎになるという仲人口は嘘で、正妻に子はなかったが妾の子が同居し、養子もいて、ややこしい家族だった。何よりも伝右衛門はすでに子供を作れない身体。
    白蓮が女子教育に腕をふるえると期待していた女学校は、既に郡のものとなり、伝右衛門は口出しを許さない。
    失意の中で、名流婦人として暮らすが、心は満たされないまま。

    帝大法学部の学生・宮崎龍介が登場するのは本の半ばほど。
    二人が残した手紙700余通を遺族から借り受けて、印象的な部分はそのまま載せています。
    真摯な人柄の理解者と出会い、運命的な恋心のほとばしる様、才能溢れる女性ならではの当時の言葉遣いが色っぽく響きます。
    少々メロドラマ的な筆ですが~
    ややこしい時代物を熱っぽく、面白く読ませます。

    大正三美人と呼ばれた一人、九条武子との交流も。
    雑誌のグラビアに揃って登場したこともある。
    どちらも夫とうまくいかず、隠れた恋人がいた。
    九条武子は、恋人のことは隠し通すのですが‥
    (村岡花子は友人としては出てきません。東洋英和時代が描かれていないせいもあるけど)

    大事件となった駆け落ちの後、引き離されて苦難の道をたどる宮崎と白蓮。
    4年後にやっと一緒に住み始め、その後は支えあった、落ち着いた暮らしであったようです。
    そうなると、もう関心がない?みたいな終わり方ですが~
    まあ、そうですかね?(笑)

  • 朝ドラの「花子とアン」がやってたあたりから、本屋で平積みになってるのをよく見かけてました。
    だけど「流行ってる時に買うのもなあ」と思い、手を出してませんでしたが、白蓮さんのことを調べる度に興味深く、買ってみることにしました。

    さすが林真理子さん、読みやすくおもしろく、一気読みでした。
    でも白蓮さんもかわいそうな人だけど、最後には幸せをつかんだ。
    この中で一番かわいそうなのは初枝さんじゃ…。
    「一体どうしたのよ…」と最後に思ってしまいました。

    しかし男は浮気三昧、妾がいたって当たり前、みたいなのに、女が不倫して逃げたらこの騒ぎよ。
    この頃に比べたら、今はグッと女性が生きやすくなったなあ。

  • この時代に良い所に生まれたら、普通に恋愛することも容易ではないんだなと思った。
    元々目立っている人(今で言う芸能人みたいな)が不倫して世間が大バッシングするというのは今も変わらないけど、家柄で結婚するような時代の人にとってはその不倫が本当に初めての恋愛かもしれなくて、今のそれとは意味が違ってくるなと思った。

  • 女の、女に対する黒い感情や、憧れ、嫉妬、憎悪、仲間意識なんかがとても丁寧に描かれている。
    男が絡んできた時の女のあり方は、本当に醜くて美しくて潔くて執念深い。

  • 最後の龍介の言葉「うちに来てからは幸せな人生でした」という一文で気持ちよく読了できました。また瀬戸内寂聴の解説も読み物として楽しめました。「この小説を書くため作者はこれだけの資料を隈なく見るのである」に単純に頭が下がります。

  • 不遇の結婚生活を送っていた柳原白蓮が年下の大学生と駆け落ちしてしまう白蓮事件を題材にした話。たしかに思い描いていた生活ができなかったことには同情するけど、自分の気持ちを和歌にこめて歌集を出したり豪華な暮らしをしたり、別にそこまで不幸じゃないんじゃないかなあと思ったり。今よりぜんぜん不倫とかに対して厳しい時代に愛を貫いたことには素直にすごいと思ったけど、もっとうまくいかないことがあってもよかったんじゃないかと感じてしまった。なによりも対照的にラストでは、初枝の悲惨な末路が描かれていてかわいそうになった。白蓮は「私は決して諦めなかった」と言っていたけれどあんまり共感できなかったなあ。まあ事実ならしょうがないかもしれないけど。

  • 白蓮が福岡の炭鉱主と結婚して、活動家の宮崎龍介とかけおちするまでを描いた小説
    普通に恋もできない女の大変さ、女の嫉妬や心の機微を描かせたら林真理子は抜群

    龍介と逃げたあとの白蓮の物語も読んでみたい。
    平和運動したり、おもしろそう
    これは林真理子じゃない人の方が良さそう

  • 朝ドラでは主人公の花子よりも気になっていた白蓮さん。
    この作品では福岡の炭鉱王に嫁いだところから離婚して新たな家庭を築くところまでが描かれている。
    時代と身分に翻弄され、本当の意味で人を愛することを知らず、我慢とあきらめの毎日、苦悩に満ちた前半部分から、心から愛せる人と出会い逃避行するという大胆な行動に出るまでの、女としての心の移り変わりが見事に表現されている。
    そして実際に燁子が記した和歌や手紙が要所に挿し込まれているが、これがとても美しい。単なる恋愛小説で終わらず、明治大正の時代背景や文化を感じ取ることもでき、日本庭園の眺められる和室で温かい日本茶を啜りたくなった。

  • 白蓮こと柳原燁子が伊藤伝右衛門のもとに嫁いだところから駆け落ちするまでの話。
    いろいろ戦って、最後は年下の宮崎龍介とともに生きることにしたのは本当に好きな人が出てきて、最後までたとえ彼が今すごい病気を抱えても。

    最後の白蓮の死のあと宮崎が「うちに来てからは幸せな人生でした」という言葉に全てが詰まっているなと思う。

  • 朝ドラ「花子とアン」で白蓮のことを知り、興味を持って読んでみた。ドラマでは描かれていなかった白蓮の背景の詳細もわかって興味深かったです。この時代の女の人は大変だ。女性の価値って?女の幸せって?と考えさせられます。
    白蓮の心の動き、本音っぽいところ、面白かった。林真理子が書いたから読みやすい感じ。林真理子は現代小説だと軽くて軽薄な感じすらして鼻につくけど、ちょっととっつきにくい時代物を楽しく読ませてくれるのはさすが。

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著者プロフィール

林 真理子(はやし まりこ)
1954年、山梨県山梨市生まれ。山梨県立日川高等学校を経て、日本大学藝術学部文芸学科を卒業。
コピーライターとして活動後、1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が、デビュー作ながら話題になる。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。
現在、直木賞、講談社エッセイ賞、吉川英治文学賞、中央公論文芸賞、毎日出版文化賞の選考委員を務めている。

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