- Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087478754
作品紹介・あらすじ
1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。感動の長編小説、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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皆さんのレビューから読みたくて。シーマ、カーチャ達と一緒に1960年代のプラハで出会ったオリガ先生らの半生について謎解きをしていくワクワク感と、波瀾万丈と一言では言い尽くせない歴史に翻弄された女性たちの物語の凄まじさ。すごい本を読んでしまったな。本当に。
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『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を先に読んでおいて良かった
こちら同様にソビエト学校体験を時代的背景としながら、スターリン時代の闇にまでせまっていこうとさらに深く掘り下げた内容になる
物語は1960年頃、ソビエト学校在学中に舞踊教師オリガ・モリソヴナの影響を受け、ダンサーを志した過去を持つ主人公が、30年後に元同級生らと、少女時代に垣間見たオリガの謎を解き明かしていくという展開である
ある意味、ミステリーとしてもグイグイ引き込まれる
その過程でロシア革命からスターリンの粛清、死後の批判という激動の時代が描き出されている
タイトルからは想像もつかない深い内容であった
ノンフィクションという形式では書ききれなかったこと、『嘘つき…』で描こうとしたことをさらに深めようとしたとき、フィクションという表現を選択するしかなかったと米原氏は巻末で語っている
とは言うものの、多くの参考文献の羅列(コミンテルン、スターリン、フルチショフ、ベリヤ、ラーゲリ…)を見れば、限りなくノンフィクションに近い内容だと納得
さすが米原さんハンパじゃない
日本人から程遠い世界で、国や運命に翻弄されながらも、命を賭けた人生をただただ必死で生き抜いた女性たちの力強く美しい物語だ
ラーゲリ(強制収容所)での劣悪な環境下での悲惨な生活、人とみなされない家畜並みの扱い、貧相な食生活と過酷な労働…
何よりも彼女らの心がボロボロと崩れ行く様は、心をわしづかみにされるほど痛くて苦しい
何度もこみ上げてるものがあるが、それ以上に彼女らの生きる力にこちらが救われるほどだ
それを表したのが大好きな以下の場面…
〜オリガは独房に入れられ、尋問される毎日
とても普通の精神状態ではいられない
ここでは逮捕された直後にまず、刃物と刃物になり得るもの全てが奪われる
あれだけ人を殺しまくっていた当局は、それを囚人が自力ですることを極端に嫌がった
生死さえも自分たちの支配下に置こうとした
そんな中、オリガは意地でも自殺を遂げて見せようと刃物を手に入れるべく必死になった
ある時靴ひもを引っ掛けるための掛け金が靴に残っているのを発見
毎日毎日床石に当てて少しずつ研いでいく
こうして自分で刃物を手にした瞬間、とてつもない解放感を味わった
自由を獲得したと思った
生死は自分自身で決める
自殺なんかするものか
絶対生き抜いてやる〜
乱暴な容疑で、簡単に収容所送りとなる
理不尽な罪で、処刑される
スターリン時代の粛清の犠牲者達の話である
もちろん話のスケールは大きく、内容的にかなり重厚であるのだが、一人一人の各登場人物の人生も等身大で書かれており、小説としてもとても読みやすい
誰もが多かれ少なかれ挫折もあり、隠して生きていかなければいけないもの抱え、才能がありながらも時代に翻弄されてしまう…
しかし全てを受け入れ頑張って生きている
時代背景とは違い登場人物達は、ユーモアを大切にした個性あふれる面々、またカラッと明るく救われること!
また、何が素敵かって皆がそれぞれ足りないところを補い合って、思いやりを持って支え合って生きている
日常で感じ得ない心が洗われるような感覚に
ロシア情勢、プラハの春、ユダヤ人問題…
日本では積極的な情報収集をしないとわからないこの時代の出来事
この本を通して新たに知ることができて良かった
巻末の池澤夏樹氏との対談もかなり興味深い
共産主義ながら自由?
そう、米原さん曰く、プラハの学校は日本の学校より自由だったとのこと
〜日本はみんなが同じが当然で、それから外れると劣等感を持ったり、不幸だと考える
だから違うのが許せない〜
池澤氏は「実は日本は社会主義の極みの国だとよく言われる」とおっしゃる
なにをもって自由というのか考えさせられる
また、今日本でコロナ差別という言葉が生まれてしまっている
人と違うことを厳しく排する
そういう国民性の悪いところが表面化している
他にも、ロシアでは芸術に対する才能に対するひがみや嫉妬がない
皆がその才能を手放しで喜ぶ
また応援して支え合う
西側の国は、芸術は商品になり、人が足を引っ張り合う
競争社会の悪い部分である
読んで良かった!
知って良かった!
心に響いた!
(圧巻過ぎる小説を前に拙い言葉しか出てこないのです…)
男性の社会派ルポライターにはない、日常を懸命に生きる女性たちの姿に多くの人が共感するのではないか
この時代を知らない若者達にも読んで欲しいなぁと老婆心ながらに…(笑)-
ハイジさん、こんにちは(^^♪
これは読みごたえのある良いお話ですよね。
あの感動を今再び、という思いで読みました。
まことに惜しいの...ハイジさん、こんにちは(^^♪
これは読みごたえのある良いお話ですよね。
あの感動を今再び、という思いで読みました。
まことに惜しいのは小説だということ。
でも小説という形にしないと言いたいことも言えなかったのでしょう。
宜しかったら「ラーゲリから来た遺書」もお読みください。
そちらはノンフィクションです。感動の質が全然違いますよ。2020/08/31 -
nejidonさん
コメントありがとうございます。
残暑の厳しい毎日ですね〜^^;
はい、大変読み応えありました!
読んで心から良かったと言...nejidonさん
コメントありがとうございます。
残暑の厳しい毎日ですね〜^^;
はい、大変読み応えありました!
読んで心から良かったと言える一冊です。
「ラーゲリから来た遺書」早速Amazonを確認してみました。
非常に興味深いです。
時間はかかるかもしれませんが、ぜひ読んでみたいと思います。
いつも良書をご紹介下さいましてありがとうございます(^ ^)2020/08/31
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小さい頃、世界をあるがまま受け入れていた。物事の機能も社会の仕組みも人間関係も、その複雑さを理解する経験も知識もなかったから。それでも、何故か理解出来ずに引っかかる記憶がある。あの時、母親はなぜ悲しんでいたのか、なぜ、先生は休暇から戻って来なかったのか。この小説は、人生のそんな謎解きを求めた内容。部隊はソ連、共産主義下。当たり前に粛清や拘束が行われた時代。あるダンサーでオールドファッションの先生を巡り。
悲しくも明るく。運命を受け入れながら、強く生き延びた人々。米原万里の半生と重なるが、フィクションである。この作家の小説は、生き様も性格も全てが物語に反映されていて、迫力が違う。
暫く積読していたが、読んで良かった。ロシアの話だからだろうか、冬によく合う小説だった。 -
米原万里さん(1950~2006)だからというそれだけの理由で、一切の予備知識なしで読んでみたが、何とも見事な一冊だった。
話の重厚さといい展開の素晴らしさといいもう感嘆のひと言だ。
現在と過去が一人称と三人称で分けて語られる。
フィクションとはいえソビエト連邦崩壊という歴史的事実が背景にあるためか、私たちが知りえない時代の生々しさは、ひしひしと胸に迫るものがある。
対照的に明るいのは少女時代の思い出と現代を生きる主人公たちで、双方とも際立っている。
国家に運命を握られる恐怖と絶望と悲嘆と、今を生きる登場人物たちの明るさ。
読みながら喜怒哀楽の感情が激しく揺さぶられるという稀有な体験をした。
舞台は1960年のプラハのソビエト大使館付属普通学校。
「シーマチカ」と呼ばれる日本人女性・志摩が語り手だ。
彼女の通うソビエト学校の舞踊教師はオリガ・モリゾヴナ。
この教師の凄まじい罵倒語の披露場面から物語は始まる。
オリガの罵倒は反語法と呼ばれる、言っていることとは逆の意味が言いたいこと。
結婚歴5回で自称50歳、特異な外見のオリガは、それでも生徒たちに絶大な人気だ。
やがて時は流れて1992年のモスクワ。
通訳をしている志摩は偶然、劇場展示物の中にオリガの写真を見つける。
どうやら名前も違うらしい。一体オリガは何物だったのか。
そしていつもオリガの傍らにいたフランス語教師は?
かつてのクラスメイトと少女時代の謎を追っていくうちに、様々な事実が明るみに出る。。
不思議なタイトルの意味するところは、最初の10数ページで判明する。
そしてそのオープニング部分が伏線となり、残り500ページ弱で回収する形だ。
その回収部分がミステリー仕立てになっており、次々に明らかにされる新事実にページをめくる手が止まらない。
何層ものからくりを経てラストまで読み終えると「ああ、そうだったのか」とじわりと涙が出る。
ソビエト連邦という、実に奇妙で不思議な国の歴史と社会構造が明らかになるにつれ、ラーゲリの詳細も語られる。
スターリン存命中の体制下では、否応なく粛清されるものと粛清するもの、粛清を逃れるものとに分類される。
たとえ逃れたものでも、いつ粛清される側にまわるか分からない脅威がたえずある。
国家というものに常にアンテナを張り巡らす学校生活など、今の日本ではとても考えられない。
では日本での「志摩」は幸せかと言うと、それもまた違う。
ラストに近い部分で語られる志摩の話と、それを受けた「カーチャ」の言葉には胸が痛むものがある。いつだって誰だって、生きるために何かに抗い受け入れ、闘っている。
社会が崩壊しようが、取りこぼされまいと闘う人の生き方は、いつも凄まじいほど真剣なものだ。
ちょうど、オリガの反語法のように。
池澤夏樹さんとの対談が巻末にあり、米原さんの次なる作品へのアイディアが語られている。
惜しい方を亡くしたものだが、こうして作品に出会える幸せを残してくれたことには感謝しかない。-
こんばんは(^-^)/
この本いいですね♪
もう随分昔に読んだのでほとんど忘れていますが、心に残る本でした。
オリガ・モリソヴナ...こんばんは(^-^)/
この本いいですね♪
もう随分昔に読んだのでほとんど忘れていますが、心に残る本でした。
オリガ・モリソヴナが謎めいて魅力的でした。
米原さん好きになりそうと思ったら…
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」も買ったのですが読んでないまま本棚で眠っています(〃∀〃)ゞ2019/08/21 -
けいちゃん、こんばんは(^^♪
いつもポチをたくさん付けていただいて、ありがとうございます。
ええ、すごく面白い本でしたよ。
いつもあ...けいちゃん、こんばんは(^^♪
いつもポチをたくさん付けていただいて、ありがとうございます。
ええ、すごく面白い本でしたよ。
いつもあまり小説は読まないのですが、今年の夏の楽しい思い出になりました。
あまりレビューが長すぎるので、実は書き換えようかと思っていたところに
コメントが入っていてびっくり!!
「嘘つきアーニャ」は私もまだ読んでません。
レビュー数がすごくて、読む気がなくなってしまいまして・笑
でもそのうち、気が向いたらこっそり読むかもしれませんよ。2019/08/21
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1960年代前半をプラハのソビエト学校で過ごした主人公が、ソビエトが崩壊したのちに当時の教師オリガの人生を辿っていく物語。簡単には明らかにならない謎めいたところが面白くて、夢中になって読んだ。
過去を調べていくと、スターリンの大粛清のことが出てくる。
「ソ連人でスターリン時代の粛清に無関係でいられた人なんて皆無じゃないかなあ」というセリフがその凄まじさを物語っていて、それはソ連人の口からさらっと発せられたものだけど、軽く流せなかった。本当にどんな世の中だったんだ。
逮捕から強制収容所での生活は、もちろん酷くて恐ろしい。だけど耐え抜くことにばかり気持ちが行っていたから、のちに鏡張りの部屋の場面でやっと、17年も人生を奪われるのがどれほどのことか、と思い至って心を抉られた。
それでも教え子たちに強烈な印象を与えていた彼女に憐れみは似合わない。精一杯生きたかっこいい女性だと思った。 -
あまりの見事さに、一気読みし終えた直後に、また一から最後まで読み直ししてしまった作品。こんな読書経験は初めてでした。
物語の主人公は、ダンサーになる夢破れ、子供を抱えながら離婚を経験した過去を持つ、40代半ばの志摩。彼女は、1960年代前半の少女時代をチェコのプラハにあるソビエト学校で過ごしたこともあり、1990年頃にはロシア語翻訳者として生計を立てていました。
仕事もようやく軌道に乗った時、些細な思い出のよすがと、ソビエト連邦崩壊という大きなきっかけから、自分がダンスに魅入られるきっかけを作ったソビエト学校時代の名物舞踊教師「オリガ・モリソヴナ」の足跡を辿ろうと思い立ちます。かつてのソビエト連邦の「本国」であり、衛星国チェコの実質的な支配国だったロシアの首都モスクワへ単身向かったのです。
踊りの天才だけど、奇抜なファッション、恐ろしげな顔、極めつけるかのようなガラガラの濁声を張り上げながら、おおげさな褒め言葉を使う事で逆に罵倒するという「反語法」を駆使して子供たちを厳しく指導していた老婆のオリガ・モリソヴナ。
モスクワの外務省資料館から始まった志摩の調査は、28年ぶりに再会を果たした親友カーチャをはじめとして多くの人たちを巻き込んで、志摩たちの子供時代の記憶とも密接に絡まり合いつつ、謎が謎を呼びながら、予想だにしなかった展開と広がりを持ってモスクワ中を舞台に進んでいきます。
志摩たちの舞踊教師であったオリガ・モリソヴナ。
志摩たちの知るオリガ・モリソヴナとは明らかに別人だけどよく似た医者のオリガ・モリソヴナ。
オリガ・モリソヴナを彷彿とさせるモスクワの美しい踊り子バルカニヤ・ソロモノヴナ。
志摩とカーチャが在籍していた学校のフランス語教師で、志摩に会う度何度も「中国の方?」と質問を繰り返していた上品な老婆エレオノーラ・ミハイロヴナ。
志摩たちの二年上級生で、オリガとエレオノーラの両方を「ママ」と呼んでいたバレリーナの卵だった東洋的な顔立ちの美少女ジーナ。
志摩の初恋の相手だった、人生を諦めたようにみえる冷たい眼をしていたレオニード。
チェコの外交官でバルカニヤの恋人だったマルティネク。
オリガ・モリソヴナを見て転倒し、後日頓死してしまった、ソビエト連邦から派遣されてきた悪徳軍人のミハイロフスキー。
ソビエト連邦崩壊を機に、彼らのことを語り始める人々や、陽の目をみた様々な資料。
果たしてオリガ・モリソヴナは一体何者だったのか。どんな人生を歩み、生を終えたのか。
三人称と一人称回想形式が入り混じる独特の文体で、志摩の幸せな子供時代の一つの象徴であったオリガ・モリソヴナや、彼女を取り巻いていた人々の、ソビエト連邦の歩んだ残酷な歴史と表裏一体だった凄まじい人生が語られていきます。
物語の最後の最後で全ての謎が明らかにされた時、波乱の時代を死に物狂いで生きた人々の、苦しみや悲しみ、それでも生きた力強さや、誰かに向ける狂おしいまでの思いの丈や愛情などが、ひどく胸にしみました。
1960年前半の少女時代をチェコのプラハにあるソビエト学校で過ごした経験を持つ、ロシア語通訳者の米原万里さん(1950-2006)による、唯一の小説です。ちなみに、米原さんのエッセイ「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」が本書のベースになっており、こちらも抜群に優れた作品です。
話の序盤で語られる志摩の思い出に散りばめられていた伏線の回収も見事で、ミステリー要素もたっぷりなので、幅広い層の方が楽しめるかもしれません。 -
生きるってこういうこと…の一冊。
読了後、この作品を読めて良かった、という思いに満ち溢れた。
30数年前のソビエト時代の学校の強烈キャラだった恩師達の半生を辿っていく謎解き物語はそれぐらい自分の心を掴みかき乱した。
スターリン時代の粛清、正直遠い異国の遠い過去の出来事、ぐらいにしか思っていなかった自分には衝撃的。無知な自分を恥じた。
粛清する者、される者、免れる者に分類されていたと言っても過言ではないことに言葉が出ない。
この恐怖の体制下、ラーゲリで背負わなくて良い罪を背負い、それでも生き抜く女性たちの姿に圧倒された。
絶望の中、それでも生きる希望を見出し、道を選び生き抜く。生きるってこういうこと…そんなことを教えられた気がする。
そして徐々に明かされていく恩師の秘密ともいえる過去のこの謎解き部分は読み手の心を掴んで離さないぐらい。
旧友と何十年ぶりの再会でも、瞬く間に学生時代のあの頃に戻れる、この誰もがうなずける気持ち、これが物語に明るさを添えてくれている感じも良かった。
謎解きと共に咀嚼し、噛み締めるあの時のあの言葉の意味…最高の拍手気分で本を閉じた。-
コメ、ありがとうございます♪
実際この過酷な時代を生き抜いた人々を思うと、言葉が出ないですね。
最高の作品に拍手です!コメ、ありがとうございます♪
実際この過酷な時代を生き抜いた人々を思うと、言葉が出ないですね。
最高の作品に拍手です!2019/04/02 -
こんにちは(^-^)/
この本私も読んでいるよ!でも、随分前だからほとんど覚えていないわ(〃∀〃)ゞ
すごくしんどい人生だったって...こんにちは(^-^)/
この本私も読んでいるよ!でも、随分前だからほとんど覚えていないわ(〃∀〃)ゞ
すごくしんどい人生だったって事は覚えているけどね。
この本がすごく良かったから「嘘つきアーニャ…」もすぐ買ったんだけど、読んでないまま(笑)2019/04/10 -
けいたん♪こんにちは(o^^o)
うん、あちらで共読を発見してうれしかったよ♪
名前に苦労したけど、すごくひきこまれた♪
人生を辿って...けいたん♪こんにちは(o^^o)
うん、あちらで共読を発見してうれしかったよ♪
名前に苦労したけど、すごくひきこまれた♪
人生を辿って明らかになるあの時のあの言葉…それがたまらなかったなぁ♪
「嘘つきアーニャ…」も知らないことばかり…。平和ボケの私にはガツンときたわ〜。2019/04/10
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おもしろかったおもしろかったおもしろかった。
★10個くらいつけたい。
米原万里さんは『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読み終わったその瞬間から、いやもはや読んでいる最中からとっても信頼できる作家さんで、この人の本ならば間違いないだろうとすぐに本書を購入したんだった。
でもその厚みになかなか時間を割く勇気が出ず、おもいがけなく寝かせすぎた挙句、突如として重たい腰をあげたのだったが!はたして!なんということかしら!ああ、神様!あたしゃ感動のあまり震えが止まらなくなるよ!これは反語法ではなく、ほんとうのきもちです。
活字が苦手な漫画や映像を好むひとにも、きっと楽しんでもらえる一冊だとおもう。
過去と未来。現在。
この小説は3つの時代を交互に行きかう。
主人公・志摩は少女時代プラハのソビエト学校にいた。そのとき出会った先生たちの謎を、当時の親友・カーチャとともに解き明かしていく…。彼女たちが相対した真実は、スターリンによる大粛清、ベリヤの性的虐待など歴史的背景までも巻き込んでロシアと日本をいったりきたりする。
過去のちょっとしたキーワードでつながる伏線、構成力はお見事で、改行などなくても時代も視点も誰のものなのかちゃんとわかる。
読んでいるうちに、わたしまでオリガ・モリソヴナの生徒になって先生の過去を紐といているような、なんとも奇妙で心地よい読書体験だった。
主人公が中学3年生で日本に帰ってきて、外側を整えることがさも思いやりかのような日本の教育に疑問を感じるところ、「あっ」となる。
巻末の池澤夏樹さんとの対談でも、米原さんはソビエト学校時代に、誰かの能力を自分のことのようにみんなで喜んでいた、日本はそれがない、○×の同じ答えを競いあって、かけがえのない人間だと思わないように思わないようになっている、と指摘している。
赤信号みんなで渡れば怖くない精神の恐ろしさと、社会主義の、人間を商品化しない良さを説いている。
いろんな側面で、この本はいろんなことを学ぼうと思わせずに学ばせてくれる魅力がぎっしりつまっている。
ガリーナに会いに救急車で向かうシーンが大好き。
大満足です。
ただひとつ残念なのは、アルジェリアの少年と、東ドイツの少年と、ハンガリーの少年の物語を読めなかったこと。 -
2回読んだ!
1960年代にプラハのソビエト小学校に通っていた日本人の女の子が、ソビエト崩壊後にモスクワを訪れて、当時のその小学校のダンスの先生だったオリガ・モリソヴナという人気者でかつミステリアスだった教師について調べ始める。
ソビエトや周辺の国々の人たちがスターリンの粛清時代をどう生きてきたのか、それはどういう時代だったのか、どんどん浮かび上がってくる。1930年代の恐怖の時代と、主人公が親友と一緒に短い滞在期間中にさまざまな人々と出会いながら過去を紐解いていく現在と、楽しい思い出がみっちり詰まった小学校時代、と3つの時代が折り重なって厚みのある作品。
テーマは重いけれど、満ち足りた感動に包まれるのは、米原万里さんの筆の力だと思う。彼女の残した唯一の小説。
処女作であり、絶筆。
こんなにすばらしい渾身の作品を書いてしまったらもう他に書けないだろうと思われるくらいなのに、あとがきに次の作品の構想も語られていて、書かずに亡くなられたことがとても残念。