だれかのことを強く思ってみたかった 集英社文庫

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  • 集英社
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感想 : 125
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478815

感想・レビュー・書評

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  • 約20年位前に本書の単行本を図書館で借りて読み、いたく気に入ったので、いつか買って手元に置きたいと思い続けてきた。あれから長い年月が過ぎ去り、ようやく文庫版を手に入れられた。角田光代と写真家の佐内正史が、それぞれ文章で、写真で、東京の風景を切り取る。約20年振りに感じる当時の東京は、懐かしく新鮮だ。
    2000年初期の角田作品の雰囲気…かったるさをまとった若者達、交わらないくせに時々寂しがりで、矛盾を抱えながらふわふわと生きている。あの頃の角田作品に漂う、この心許なさが大好きだった。
    佐内さんの写真に、当時の思い出が重なる。チリチリと胸が疼き、遠くまで来ちゃったなぁ…と、軽くしみじみする。
    本棚の片隅に置き、時々は取り出して、あの頃の東京に思いを馳せたい。

  • お話は東京を舞台にしているけどどこか寄る辺なくふわふわとしていて、写真もどことなく寂しい。良い空気でした。
    東京は行ったこと無いけれど、この作品もわりとそうですが生まれも育ちも東京の人は一握りなんだろうな。集まって別れて。
    始めはモノクロの写真が、最終話の前からカラーになるのも素敵でした。そうかこの頃の東京にはまだスカイツリー無いのか。

  • 佐内さんの写真が好きだ。
    そこにある空気感、というか。

    そして角田さんの言葉の繰り出し方がいい意味で引っかかる。
    「お、そこ、ひらがなでくるかー」とか。

    誰にでも当てはまるような、当てはまらないような。
    そんな瞬間が描かれている気がする。
    誰かの記憶をなぞるような、自分の記憶をなぞっているような。
    そんな感覚になる。

    一回読了して、一呼吸おいて、またタイトルを心のどこかに引っ掛けて読んでみたくなる。

  • 古本屋で偶然見つけた本。
    表題に惹かれて買ったのだが、著者のエッセイと
    東京の写真集が中身。

    写真が多いが、感動的な写真でもなく雑多な街中を
    映しており、見ていてあまり面白くなかった。

    またエッセイも基本的に男性との交際の日々を描いているが、どこか空虚で、もうちょい独りで色々やってみたら?
    と思ってしまう内容だった。

  • 佐内さんの写真と角田さんの文章が合わさって
    心地良い本だった。

    「私はだれかのことを強く思ってみたかった。
    けれど思うべき相手はいなかったし、だれかをおもうということがどんなことなのかも知らなかった。」

    タイトルにもなっているフレーズが入っている
    ・まわる季節
    ・見なかった記憶
    ・東京
    が特に印象的。

    写真を見ながらこの時自分はどこで何をしていたのか考えてしまった。

    本棚に置いておきたい一冊☺︎

  • 馴染みのない東京という街、あまり好みでない角田光代という作家、馴染みのない佐内正史という写真家。
    それなのに、タイトルに惹かれて手に取りました。
    それぞれのエピソード(ストーリー)と写真に、ほぼ知らない街にも関わらず自分の中に確かにある悲哀のような、郷愁のようなものを感じました。
    最後の書き下ろしがまた良かった。
    最後の写真を見て私は何故か、とても泣きそうになった。

  • 東京を写真家と角田光代が巡り、それを短編にしている。
    東京に馴染みがないので、いまいちだったかな…

    2017.12.30

  • 「だれかのことを強く思ってみたかった」
    タイトルに惹かれて図書館で手に取りました。
    佐内正史さんが切り取る東京の写真と角田光代さんが切り取る東京の短い文章を合わせた短編集。
    まるでエッセイのようでとても読みやすかったので、疲れているときにぱらぱら、起きてぱらぱら、眠る前にぱらぱら•••••。

    それは、だれの心にもあるような心象風景。切ないような、誰かといても孤独なような、一人で心強いような。心地よいセンチメンタリズム。

    いろいろ好きな文があるけど、『見なかった記憶』好きです。失うということが、永遠にない。確かに。

  • 冬の都会、っていいな。って思える写真と文章。

  • あんまり写真には興味ない…と思いながらこれまで生きてきたんですけれども、当作品の写真にはまさに釘付けの状態…の自分を発見したのでした。社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    ちょうど10年くらい前の東京なのかな? プロの写真家だからなのか、あるいはこのカメラマンの撮る写真が自分に合っているのかどうかは分かりませんけれども、こうした日常の一部を切り取る、みたいな写真ってイイですね…。

    角田さんの文章も写真にマッチしていて、なんというか写真からも物語って生まれるんだなぁ…みたいなことを思ったのでした。さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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