ねじの回転 下 FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478907

感想・レビュー・書評

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  • 恐怖の死の病の蔓延と軍部の衝突。正史から大きく逸脱してゆく歴史。
    どうする、マツモト。
    度重なる歴史の遡行。正史なら断罪されて死を迎える事を知りながら時間遡行の中に閉じ込められた安藤、栗原の苦しみはいかばかりか。
    苦手な分野でしたが、上巻よりスピード感があり、なんとか読了。

  • 時間遡行というワードが某刀剣ゲームをやってる自分に刺さって気になってた作品。恩田さんは『夜のピクニック』をむかーし途中まで読んだくらい。
    一周しただけじゃわからない複雑さ。冒頭の伝書鳩の話してたのって……?そもそも2.26をやり直すのはなんで?(アメリカの思惑と言うより表向きの目標みたいなもの)その辺再読したらスッキリしそう。
    できすぎくんな安藤さんを主人公だと思って読んでたので辛い…でもそれがイイ、みたいな最後。2.26事件はなんか軍部のクーデター、怖い時代だ〜くらいの浅い認識しかなかったけど、官軍になってたかもしれない、無念のうちに亡くなった将校が沢山いたんだと改めて歴史を知れて良かった。
    上巻でなんかありそうな男マツモトが怒涛の活躍。あのときのアレもアレもお前かー。で、最後お前の子孫がアルベルトと作ったのが時間遡行技術ってことは、アルベルト〜!?次読むときは彼にも注目ですね。
    イケメン将校栗原の時間遡行している今すら一本の歴史、このまま続けるんだという考え方や、「シンデレラの靴」の二人乗り自転車で轍をなぞるけどズレ過ぎたり木にぶつかるようならやり直させるという「確定」「不一致」の説明、魔法の国が時間遡行をやり過ぎてついに魔法発見前まで遡って滅びていた話。SFの難しい話をそうかも!と思わせる描写のうまいこと。恩田さん好きです。
    次はここでも上げてる人が多い宮部みゆきの『蒲生邸事件』読んでみたい。

  • 上巻はなかなか入り込めず、細切れに読み進めていった感じだが、下巻は一気読み。
    またいつか読み返してみよう

  • 10年ぶりくらいの再読。読んでいくうちに、そうだった!これこれ!と思い起こされ、あぁやっぱりなんて面白い作品なんだ!と最後までノンストップでドキドキワクワクさせられた。最高の一冊。

    何のための遡行プロジェクトなのか判明する時の鳥肌といったらないし、これまで割といい子だった石原がまさかの行動により不一致を起こした瞬間もジトりとした恐怖が沸く。
    そして懐中連絡機を持ったマツモトの口調や喋り方、こんなにゾクゾクするものはない。置かれた環境が人格を作るのだとまざまざと感じられる。

    何といっても目を離せないのは栗原中尉。彼の冴え渡る勘と研ぎ澄まされたカリスマ性には心を奪われてしまう。必死にもがいて巧みに誘導してきた彼の、最後の不一致での叫びに胸を締め付けられないものはいまい。


    こんなに面白い物語をこれから初読できる人たちが羨ましくてたまらない。



  • 三島由紀夫に熱中していた時期があり、「憂国」「英霊の聲」から二・二六事件に興味を持ったが、ちゃんと調べたことはない。
    で、たとえば宮部みゆき「蒲生邸事件」をラジオドラマで聞いたり、久世光彦「陛下」、柴田勝家「ヒト夜の永い夢」、奥泉光「雪の階」を読んだりした。
    北村薫「鷺と雪」、武田泰淳「貴族の階段」はいずれ。
    同じく押井守「機動警察パトレイバー 2 the Movie」やOVA版「二課の一番長い日」が好きだが、鈴木清純「けんかえれじい」は未鑑賞。
    と、中途半端な状態。
    せっかくだから年に一度関連作に触れようと思い、本作を読み、途中で五社英雄監督の「226」を見た。
    まあ、だからといって雰囲気以上に理解できたわけではないが、本作は結構楽しめた。

    「タイムマシーン」とか「パラレルワールド」とか「ループもの」という言葉は使わず、「シンデレラの靴」とか「確定」とか「不一致」とか「つまむ」とか「聖なる暗殺」といった、繰り出されるキーワードが絶妙。
    あと、「クロノトリガー」とか「ドラえもん」とかで育まれたセンスに感謝。

  • 下巻は、歴史の誤差を正そうとする動きと確定のやり直しを避けたい人たちとの思いが入り乱れ、時空のブレが生じる瞬間が多くなる。
    ハラハラするような、でも結局、シンデレラの靴はどうなったのかよくわからず、モヤモヤした感じで読了。

  • 下巻は始めからフルスロットル。fragment5はジョンが望んだ未来か…「よその国で戦争するということをアメリカはもっと思い知っておく必要がある」為に、、
    「二・二六事件」で岡田総理や鈴木侍従長が亡くなり、陸軍と海軍が戦闘したり、陸軍同士で戦闘したり、石原莞爾が東条英機を射殺したり……IFが凄すぎる。。
    上巻からわりとボサっとしているマツモトがかなりの重要人物でした。特別な4台目を持って外にいるときのマツモトのキャラが変わって口調がそれまでと違うところ、命のやり取りという極限状態での人の変なテンションという感じで腑に落ちます。実際にその場にいないと感じられないことはあるのでその後のマツモトの行動も納得。幼少期のマツモトのとこに行ったのはマツモトなんだろうけど、あれは再生プロジェクトが1回目ではないことの伏線だったのか。
    “正しい「二・二六事件」”は確定しましたが苦い読後感です。ラストの出会いが良い方向へ繋がりますように。読み応えある作品でした。


    襲撃された教育総監渡辺錠太郎って、渡辺和子さんのお父さんですよね…「置かれた場所で咲きなさい」のさ。。

  • んー、消化不良で読了。
    で、どうしたかったのか?を理解できないまま終わってしまった。

  • 最後は
    微笑ましい反面
    ゾッと寒気がした。

  • 2021年11月8日購入。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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