能登怪異譚 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 76
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087480467

作品紹介・あらすじ

市助には8人の子がいた。その子らが夜ごと寝間を抜け出して、朝まで箪笥の上に坐っている。そのうちに市助を除く家族全員が夜な夜な箪笥に上がるようになって-。(「箪笥」)。能登を舞台に玄妙な語り口で綴る9つの不思議な物語。独特の画風で人気の村上豊の挿画27点とともに贈る恐怖と戦慄の半村フォークロア。

感想・レビュー・書評

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  • 2019/8/6 読了
    薄い本ながらも読み応えがあった。

  • イラストがいちいち話の落ちを先取りして、ネタばらしをしている。もう2ページ後ろに置けばいいだけなのに、これが最大の怪異だ。

  • 傑作「箪笥」。これは読んでおくべきだ。語り、視点、ロケーションの変化など実に技巧的ですばらしい作品だ。次の「蛞蝓」まではまだ良かったが、後がひどい。だんだんつまらなくなってくる。「箪笥」だけのために買うのはよいと思う。

  • 能登の言葉を活字で読む経験は僕にとっては特別なもの。細部まで再現された能登弁。能登といっても2,3キロ離れるとまた微妙に違うんだけど、そこへの配慮も感じる。よく調べたなあ。しかも物語りがまたいいじゃないか。半村良、やっぱりすごいな。もっと読もう。

  • 夏に気楽に読むにはうってつけの能登を題材にした怪談。
    方言で語られているが非常に読みやすく、挿絵が恐怖を
    煽って効果的だった。

  • 全編能登の方言で書かれている。挿絵も味がある。怖い話が中心。

  • 能登を舞台とした民話調怪談。
    能登弁で書かれていて、慣れていないとちょっと読みにくいが、それがまた地方の怪異を醸し出し、ジリジリと怖さが滲み寄ってくる気がする。村上豊さんの絵も昔話を彷彿とさせるのだが、話はバサリと突き放される冷たさがある。
    「箪笥」の理由のわからない怖さが良い。情景を思い浮かべてみるとホント怖い。

  • 石川県能登地方を舞台に、方言で書かれた怪異譚集。「箪笥」が怖いという感想を見かけて読んでみました。
    ・箪笥
    怖いと言うか、不思議な話。
    ある家で、何故か家族が夜中になるとみんな「箪笥」の上に乗っている。その不気味な光景に、北前船の水夫をしていた家の主は逃げ出す。数年後にひょんなことから戻ってみると、「とうとの箪笥だ」と言って、箪笥を担いで近づいてくる家族が……。
    何故箪笥に登るのか、登った人にはその心情が分かる。あんたもいっぺんあがってみろ、と語りては箪笥の上から語り掛ける。

    ・蛞蝓
    若干グロテスク。
    奥さんに任せてあった蔵の中に蛞蝓が大量発生。怒った旦那は奥さんを、蛞蝓を退治してどろどろの粘液が残ったその蔵に閉じ込める。しばらくして、奥さんはどろどろに融けてしまった。旦那の手足にも粘液が付き、その部分が何やら固くなってくる。奥さん殺しの疑惑を向けられたのもあり、旦那は海の中に逃げ込むが、海の中では固く変質した部分が気持ちよく解れる。やがて旦那は奇妙な海の生き物へと変わってしまい、海の中を漂っている。

    ・縺れ糸
    山奥に人の良さそうな老夫婦がいた。この老夫婦はいつも、縺れた糸を糸巻きに巻いている。その老夫婦の財産を狙うものがいるが、優しい青年が撃退。この青年はついでに糸巻きの手伝いをしようと、絡まった糸の玉をはさみで切って持ち帰る。
    しかし位置と上手く巻けない。そして老夫婦は忽然と姿を消していた。

    ・雀谷
    雀の墓場である場所を見つけた二人の少年。一人派田舎に残り、もう一人は上京。やがて上京した方が老いて寝たきりになる。病人の頼みを受けて、彼の身内は「雀谷」の写真を撮りに行く。田舎に残った方に「雀谷」の場所を聞きに行ったのだが……。

    ・蟹婆(かにばあば)
    人を食らうと言う「蟹婆」、そして謎の「目なし蟹」の話を聞きに東京から来た女性記者。「あの人に話をきけ」とたらいまわしにされた挙句、一見の家に辿り着いた時には既に帰れない時間。辿り着いた家ではカニ料理が出てくる。それを食べながら話を聞いているうちに、女性記者は弾だなと目が霞んでくる。出された料理にそういう作用があった。やがて倒れた女性記者を、村人たちが取り囲んで食す。「蟹婆」の伝説は、飢饉のときに止むを得ず人食いをしたことから広まった話。

    ・仁助と甚八
    夜道を歩いていた仁助と甚八。互いが互いのことを脅かし合って怖がっているのかと思いきや……。最後は仁助と甚八が、一人多い。

    ・夫婦喧嘩
    女房に先立たれた春吉は、周りから見合いを勧められるが断り続けている。ある夜、春吉をせっつきに来た者が、女の声を聞く。それは権三郎の女房だと春吉は言う。しかし権三郎の女房は亡くなっている。奇妙に思っていると男の声がして、二人は言い争いを始めた。春吉によれば男の方は権三郎だと言う。しかし二人は既に亡くなっている。亡くなっている二人が夜な夜な、夫婦喧嘩をしている。どうやら女房の方が病気の旦那を手に掛け、苦心の自殺をしたらしい。春吉は幽霊になっても争う様子を見て、もう結婚はいいやと思うのだった。

    ・夢たまご
    拾ったお金で、怪しい男から「夢たまご」を買った少年。食べるとしばらく夢を見ていられるというたまごを少年は食べる。大人になった少年はひと気のない村で再び夢たまごを食べる。そして、気が付くと老人になって、寝たきりになっていた。病床の男の元へ、少年時代にあったたまご売りが姿形そのままに現れる。たまご売りは「少年時代たまごを食べてから、男の人生のほとんどは夢をみていただけ(寝たきりだった)」と告げる。

    ・終の岩屋
    中に入ると「消えて」しまうという岩屋。そこを死に場所にしようと思い立つ者が多くいる。その岩屋の近くには一件の宿。その宿は「これから死にに行こう」とするものが最後に寝泊まりする場所になっていた。
    宿の者も、岩屋に入ったら最後、どうなるかは分からないと言う。

  • 箪笥
    蛞蝓
    縺れ糸
    雀谷
    蟹婆
    仁助と甚八
    夫婦喧嘩
    夢たまご
    終の岩屋

  • 能登の言葉?
    最初、とっつきが悪かったんですが、すぐに気にならなくなって。

    短編集って沢山読むと、「あれ?この話、どんなのだっけ?」
    ということがよくありますが(え?私だけ?)これは忘れられない
    話のオンパレードです・・・とここまで書いて、ふと思った。
    翻訳ものを読むことが多いのですが、原題と邦題が違うものが
    かなりあります。ひょっとすると、その邦題が今ひとつなのかも。

    登場人物たち自身は淡々と生きているだけで怖い思いを
    していない話って、こちらの怖さは倍増しますねー。

    ■箪笥 
    なんで箪笥の上にいるのかわかんないのが怖いっ
    しかもね・・・

    ■蛞蝓 
    ナメクジと言えば塩。でもこの、蔵での女房の描写はやりすぎ・・・

    ■縺れ糸 
    神の恩賜で暮らす老夫婦にいらぬおせっかいを・・・
    芥川でありそうな掌編。

    ■雀谷 
    象塚ってありますよね。雀も・・・っていうのは大枠で。
    更に外枠が・・・

    ■蟹婆 
    目のない蟹ってだけでもう・・・
    こういう村って実は本当にあったのでは・・・
    どこかにまだあるのでは・・・うきゃ。

    ■仁助と甚八 
    これはかなり技巧的な作り。
    読んでて、どちらがどちらか、だんだん惑わされます。

    ■夫婦喧嘩 
    犬も食わないってやつですね。
    される方は溜まりませんが、話としてはこれだけが微笑ましい・・・

    ■夢たまご 
    「邯鄲の夢」ですか。輪廻転生って案外こういう仕掛けかも。

    ■終の岩屋 
    ある意味、モーロワの「タナトス・パレス・ホテル」。
    あれより、死なないのが更に深い。

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