- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087484359
作品紹介・あらすじ
本巻は、いわゆる宇治十帖とよばれる巻である。「橋姫」の巻から「夢浮橋」の巻まで、宇治を舞台に、物語は繰り広げられる。光源氏亡きあと、その子(実は、柏木と女三の宮の子)薫の恋愛、帝の第三皇子匂宮の情熱を描き出す。『源氏物語』への尽きせぬ愛をこめて、現代語訳「円地源氏」ここに完成。
感想・レビュー・書評
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第三巻は、宇治十帖。宇治といえば、百人一首にも選定されている和歌、我が庵は都の辰巳鹿ぞすむ世を宇治山と人は言うなり、が思い出されます。そして、宇治十帖はそのイメージに近いものがあります。
女三の宮と光源氏の息子、薫(柏木との罪の子)。
朱雀院の息子の今上帝と明石の中宮の息子、匂宮。
匂ふ兵部卿と薫の中将。ネーミングも素晴らしい二人の新ヒーローの愛の苦悩の物語です。
ヒロインは、宇治に隠れるように暮らす姫二人とその異母姉妹。桐壺院の第八皇子の娘達。八の宮は、政治的政略の波を受け、不遇の生涯を宇治で娘を慈しみながら過ごしました。
そして、美しい姫あり、と知った二人の貴公子の恋の鞘当てという感じ。
宇治十帖は、まだきちんと読んでないので、これからですね。これまで、宮中の女性たちが、家を背負い政治的に動いていた事を思えば、宇治のお姫様は、思い悩むし自信がないし、普通の女の子の恋愛苦悩に近いのかなと思いました。
円地さんは、この三巻を完成した後、間もなく亡くなられたようです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第3巻は、「宇治十帖」。浮舟をめぐる薫と匂宮のドラマをえがいた「宇治十帖」です。
ストーリーを把握するためには十分な内容ですが、紫上や明石の君など源氏を取り巻く女性たちにくらべると、大君、中君の姉妹にしても浮舟にしても人物像が明瞭になっておらず、いったい薫と匂宮の二人は彼女たちのどこに魅かれたのか、わかりにくいように感じました。もっともこれは原作の問題で著者の責任ではないのかもしれませんが。 -
宇治十帖が書かれています。一番の無情感が出ている話なのでしょうが、薫にも匂兵部卿宮にもあまり魅力を感じないし、浮舟などイラッとさせられてしまうのです。
ただ、漫画で読んでいたよりも、浮舟の後悔や苦悩が文章で伝わってきました。