ガダラの豚 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087484809

作品紹介・あらすじ

アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 初めての中嶋らもさん。
    この前に読んだイヤミス本のおかげ?でモヤモヤした気分が抜けない後には、爽快な感じで楽しめる本でよかった。
    大生部、逸美、納、道満…登場人物も魅力的。
    Ⅱのアフリカ編も楽しみだ。

  • ミステリアスな長編小説。これまた本当に面白い本。早逝した中島らもが残念でしかたがない。

  • すでに事件が起こっているのか、これから起こるのかもわからんけど、面白いから不思議。推理作家協会賞受賞作たる部分がどうなるのか楽しみ。

  • 超能力ブームに乗ってテレビで人気を博した民族学者の大生部多一郎は、七年前にアフリカで娘の志織をうしないました。彼の妻の逸美は、今も心の奥底に傷を抱えています。そんな彼女の心の隙に乗じて、「聖気の会」という新興宗教が付け入ってきます。沢井心玉尊師が引き起こすさまざまな奇跡を目の当たりにして、逸美はしだいに「聖気の会」にのめり込んでいくようになります。

    そんな彼女の目を覚ますため、多一郎はある番組で知り合ったミスター・ミラクルを自宅に連れてきます。ミラクルはプロのマジシャンですが、最近はテレビで超能力者のインチキを暴くことにで知られていました。彼は逸美の目の前で、沢井がおこなった奇跡を再現して見せます。さらに、沢井の自宅に忍び込み、あたかも空中浮遊をしているかのように見せかける装置を発見するにいたり、ようやく逸美は目を覚まします。

    商売の邪魔をされた沢井は、逸美のもとにヤクザを差し向けますが、たまたま大生部家を訪れたテレビ局のプロデューサー馬飼に助けられます。彼は、多一郎、逸美、息子の納の三人と、最近人気の超能力少年・清川慎二がアフリカへ冒険旅行に出かけるという番組企画を携えてやってきたことを明かします。

    第1巻は全体が、物語の序章のような感じです。物語のテンポがよくて、すいすい読めました。

  • プロローグはなかなか読み進められなかったのだがらⅠ部が始まってからはページを捲る手が止まらなかった。

    新興宗教に嵌まらないために知識をつけたいと思って宗教題材の本をよんでいるのだが、その目的も忘れ娯楽として楽しんで読んでしまった。
    奥さんが悲惨なことになる前に助け出せたのがよかったのかなと。

    テレビの"スーパー"、"ハイ"、"ロウ"の部分の描写は今でもそのような状況が続いていることにやるせない思い
    そうであってほしいから抜け出せないとちょっと困ったことになりそうだなと
    以前、後進国とよばれている国に行った時に日本で出始めのiPhoneを使っている若者をたくさんみたのを思い出した。
    後進国の人はそうであってほしいという浅はかな考えを壊してくれたのも思い出した。

    新興宗教への洗脳の仕方はどこも変わらないのかなと
    人間を極限状態(睡眠をとらせない)にし、罵倒することで自我を削りそこに新しい人格を形成させる
    薬物を使い酩酊状態にする場合もある
    お香で気分を高揚させたりする場合もある。

    間辺さんはたぶん薬物盛られてるなーと思った苦いやつ

    良いところで終わったので続きがとても気になる


  • 面白いと聞いて読んでみた。そこまで私の中にはヒットしなかったかな...3作全て読みたいが。中島らも氏、壮絶な人生を生きたんだろな感が、題材である宗教、薬物やケンカのシーンからも窺える。オウム真理教の前にも新興宗教ってネタになるほどあったのだな。宗教と洗脳、学として興味ある。

  •  全三巻の第一巻で、おそらくまだ導入部なのでしょうが、すでに十分面白いです。

     まずはなんと言っても登場人物が個性的。アル中の民俗学者に、娘を亡くしたショックから塞ぎ込みがちになり、新興宗教にはまるその妻。関西弁を操るその宗教の教祖に、超能力や奇跡のトリックを次々と見破る手品師……etc.

     あと、関西弁の使い方が絶妙です。先述したように新興宗教の教祖が関西弁を話すのですが、これの力の抜け具合がなんだか妙に心地良い。思いっきり詐欺をやっているのになんだか憎めないキャラなのです。これも中島らもさんの妙なのでしょうか。

     中島らもさんといえば自分の中では、アル中の作家さんというイメージがありました。なので、小説もむちゃくちゃというか、感覚的な作品なのかな、と勝手に考えていたですが、全然そんなことなかったですね(笑)

     手品や超能力に対する知識、カルト宗教のやり口などの細かいディテールが非常にしっかりしています。だからこそ、妻が宗教にはまっていってしまう描写も、自然と入ってきますし、それがまた、主人公家庭の抱える問題を読ませる上でも、機能してくるように思います。

     一巻でまずは一区切りついたかと思いきや、ラストでまさかのアフリカ編突入! ここからアフリカでどんな話に持って行くのか、まったく予想できません……。いろいろな意味で次巻以降も楽しみです。

    第47回日本推理作家協会賞
    1994年版このミステリーがすごい! 5位

  • 感想は三巻に

  • なにが始まる!?って感じが良いし、このあとあんなにも面白いⅡがあると思うだけで何回でも読める

  • 「思っていたのと違う(笑)」という嬉しいほうの意外性がある。最初は話の方向性が掴めず、どういう読み方をしていいのか迷いながら読み始めたけど、一旦軌道に乗ればスイスイ進める。ここからディープな話題になっていくのか、一体どうやって3冊も話が続いていくのか想像がつかない。読みづらそうなカバーとは裏腹に、中身はユーモア要素がたくさん散りばめられたミステリー。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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