ガダラの豚 2 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087484816

作品紹介・あらすじ

大生部一家はテレビ局の特番取材で再びアフリカへ旅立つ。研究助手の道満、スプーン曲げ青年の清川、大生部の長男納、テレビのスタッフ6名。一行はケニアとウガンダの国境沿いを北上してスワヒリ語で「13」という意味の不吉な村、クミナタトゥに着いた。村民に怖れられる大呪術師バキリの面会に成功した一行は最大の禁忌を犯す。バキリのキジーツの少女を攫ったのだ。危機一髪。ケニアを後にする。日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • あぁ面白かった!

    呪術というなんだか怖い様な不気味なものとケニア人のおおらかさと素朴さと…現実的な?日本のテレビ撮影クルーの様と、妙に落ち着いて的をついてるのにトンチンカンな大宇部教授一向。この混沌とした感じが良かった。
    ラストに向かうドキドキワクワクと、ヘリコプター登場で助かった時の安堵感。
    すっかり初・中嶋らもさんにヤられてる。

    次はどんなことになるんだろうか?早く続きを読もうとッ!

  • 全3巻の2巻目です。
    どんどん面白くなってきました。
    科学で説明できないことも、もちろんあると思います。その説得力がじわりきますね。お話の中では呪術師が大事な役割を担っています。怖いくらいです。
    アフリカの現状はどうなのでしょう。とても気になります。
    ということで、3巻読まなくちゃね。

  • すぐ読み終わってしまった!呪術ってほんとに存在するのか興味しか湧かないし、一巻でしおりちゃんが死んだ描写があやふやだったから、生きてそうな感じがしたけどまさかだった
    すごくスピード感があって一巻とはまた違ったスリル感を味わうことができた。同じ題材でこんなにも話を展開できるのには驚き!

    バキリ恐ろしすぎ!一巻から言われてるとおり『目に見えるものが全てではない』この呪術に関してはまさにこの通りだなと。
    目の前には、たくさん色んなもの摩訶不思議に起こる、しかし裏でバキリの言うとおりに動く者が存在しそれを知るまではやはり呪いが呪術といったものなのだろうかと疑心暗鬼に陥る。環境がそうさせるのかな。
    日本でもいくらメディアに踊らされないようにしようと個人が動いても仮にテレビ漬けの周りの友人、知人がいたならばその友人の言葉は、知らぬ間に友人の言葉として自分の頭に入ってしまう。やっぱり沢山の知識を得て自分に必要かそうでないかをきちんと選択することが重要なのかな

  •  主人公の大生部家族がテレビの企画で、アフリカを旅する二巻。

     一巻でも思いましたが、内容がとっても詳細だと思います。アフリカの文化や風土をしっかりと描いているのは、もちろんなのですが、それが説明臭くないのもまたすごい。

     登場人物たちが実際にその文化に触れ、生き生きと反応している、そういう感じが読んでいて伝わってきます。海外ロケのドキュメンタリー番組を見ているような、そんな面白さがあります。

     そして、作品の肝となる呪術の描写もバッチリ。アフリカ特有の呪術文化の解説をしっかり入れつつ、それでいて不気味さもしっかりと描いています。読んでいて、どこまでがトリックでどこまでが呪術なのか、分からなくなってきます。

     さらにはアクションあり、逃避行ありと、とにかく詰め込めるものを詰め込んだ感があって、それが読んでいて楽しいです。これだけ内容が濃い話を文庫一冊分で、区切りよく次の巻につなげているのもすごい……。

     最終刊の次巻もとんでもない展開になりそうで楽しみです。

    第47回日本推理作家協会賞
    1994年版このミステリーがすごい! 5位

  • 感想は三巻に

  • 大生部一家の三人と、スプーン曲げ青年の清川、大生部の研究助手を務める道満光彦、そしてディレクターの水野は、テレビの特番取材でアフリカへと旅立ちます。コテコテの大阪弁を操るケニア人のムアンギを通訳に加えて、彼らはかつて大生部が訪れた呪術師の村クミナタトッゥへと向かいます。ところが、道中ブンゴマというところへ立ち寄った大生部は、呪術師のオプルに占ってもらったところ、この先悪魔に出会うことになると予言されます。

    ようやくクミナタトゥにたどり着いた大生部は、もっとも強力な呪術師といわれるオニャピデと再会します。しかしオニャピデは、この村の近くにやってきたバキリという呪術師によって、村人たちが苦しめられていることを明かします。一方道満は、かつてこの地で布教活動をおこなっていたスコット神父の日記を発見し、スコットがバキリの呪いを受けて命を落としたらしいことを知ります。

    やがて大生部は、オニャピデの静止を振り切って、バキリとの面会を果たします。大生部たちが来ることをすでに知っていたバキリは彼らを迎え入れますが、七年前に手に入れたという強力な呪術の道具「バナナのキジーツ」だけはけっして大生部たちに見せようとしません。しかしスコット神父の日記を読んでいた道満は、バナナのキジーツについての一つの仮説に思い至ります。彼は自分の考えを確かめるため、その日の夜清川をともなってバキリの小屋へと侵入します。

    前半は、「暗黒大陸」のイメージをアフリカに抱きがちな日本人に対する強烈な皮肉になっていますが、ムアンギのキャラクターのおかげで、重苦しさや冗長さを感じさせません。後半はいよいよ物語が佳境に入り、緊迫感が高まって一気に読めました。

  • アフリカ呪術編。予測不能のすごい展開。傑作。
    旅行ドキュメンタリーを見ているような生々しさ、科学と非科学、宗教、大多数の日本人の持つアフリカ観の表層さ、沢山の要素が混ざりあってスピーディーに駆け抜ける。さらに後半であっと驚く展開に。

    ガダラの地で悪霊にとり憑かれた男が言った。なぜここに来て私どもを苦しめるのか。私どもを追い出すなら、あの豚の群れの中につかわしてください。豚の群れは崖から海に飛び込み死んでしまった。

  • 吐くほどおもしろい

  • 面白い!
    久々にこんなに熱中して読んだ。民俗学的な要素も盛り込まれつつ、でもコミカルにテンポよく話が進んでいくところが読みやすい。
    呪術の効果とはその文化に根付いてこそのものなのか。娯楽としてのマジックや、または催眠術との違いは?本当の霊能力とは?あとは呪術がその文化・慣習の中で果たす役割とは。そしてその正しさとは。複合的に「超常的なもの」についての問いを投げかけつつも、本筋はアクション混じりの?ミステリーとして話が進んでいくのが不思議な感覚でとても面白い。

  • アフリカ編。ラスボスが登場する。呪術と理屈の狭間が面白い。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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