天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

著者 :
制作 : 村上 龍 
  • 集英社
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本棚登録 : 7796
レビュー : 1057
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087484922

感想・レビュー・書評

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  • とても純粋な恋愛小説。
    あまり恋愛小説に良い印象は持ってなかったが、本作は少し違った。
    解説にもある通り、あまり物語に大きな仕掛けなどせず、凡庸さに徹したことが理由なのかなと思った。

    物語としてはバッドエンドで、切ない読後感だったが解説を読んで、著者が伝えたかったであろう希望を感じ取ることができ、良かった。

    シリーズの他の作品も読んでみようと思う。

  • 村上龍さんの「解説」にも似たようなニュアンスで触れられていたと思うが、非常にオーソドックスな恋愛の物語といった印象。ただ、それぞれのエピソードやセリフが非常にリアルというか、ドキッとするシーンが多く、一気に読んでしまった。

    --p.26
    「あんたまさか、これで美大をあきらめるつもりじゃないだろうね」
    --

    受験に落っこちたばかりの親のかっこいいセリフ。千住さんの親もたしか東京芸大に子供を入れるときに似たようなセリフで発破をかけたみたいなエピソードをどこかで読んだ記憶があるが、非常に男前というか、堂々としていていいと思う。

    --p.67
    正直言って、僕の中には夏姫への嫉妬がはっきりとあった。夏姫自信への嫉妬というより、それは、いまだに受験生である僕から見れば遊んでいるとしか思えない大学生活への嫉妬であり、金銭的なことで悩まなくてもいい夏姫の境遇への嫉妬であり、そして、会うたびにびっくりするほど大人っぽく、女らしくなっていく夏姫を、いつも取り巻いているであろう男どもに対する嫉妬であった。
    --

    もし自分が同じ立場だったら、全く同じ感情を持つと思う。なんというか、恋愛における嫉妬というのは、同性(にどのように思われるか)を意識したものであるので、そのあたりがうまく表現されていてドキッとした。

    --p.70
    「ねえねえ、どっちがきれいだと思った?」
    夏姫はふざけたような調子で訊いた。その中に潜んでいるかすかな真剣さに気づかないふりをして、僕はとぼけた。
    --

  • 先が何となく想像できる展開ではあったが、切ない気分が味わえた。
    死とは、誰もが経験することだけど、きっと意外と真剣に考えていないものなんだろうな。確率的にいっても。

  • 少女漫画みたいなストーリー。
    読んでいてあまり感情移入が出来ず、父やヒロインの死の場面も、唐突だなあぐらいの感想で、どこか冷めた目で読んでしまった。
    映像作品は一切見ていませんが、小説よりも映像で見た方が感情移入しやすそうな内容だと思いました。

  • 10年以上前にこの作品を読んだと言ったら、後輩に「号泣もんですよね!」と言われたのですが、全く泣けなかったし共感も出来なかったので、きっとあたしにはまだ早いのかもしれないと思いました。
    でも今また読み返してみても号泣も共感も出来ませんでした。
    どうやらあまり相性が良くないみたいです。
    作者がとびきり綺麗な恋愛を描こうとして酔っぱらいまくってしまった末の作品、というような気がしてならないです。春妃視点だったら違ってたのかな。そうでもないかな。歩太も春妃も夏姫もなんとなく生理的に受け付けませんでした。
    とりあえずこの作品でいちばん可哀想なのは春妃と夏姫の親だなぁと思ったのが新たな感想です。そう考えると春妃って大人のナリした子供ですね。止めることができたのは春妃だけだろうに、一緒に流されちゃったんですもんね…。

  • 切ないラブストーリー。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    そのひとの横顔はあまりにも清洌で、凛としたたたずまいに満ちていた。
    19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。
    高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持はあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない―。
    第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。
    みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛した大型新人のデビュー作。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ...えっ?何これ?
    すべてが唐突でご都合主義すぎじゃない?

    残念ですがこれが読後の最初の印象。
    人がたくさん死にすぎるし、それが全部唐突すぎるし現実味がない。

    一目ぼれ、はなくはないと思うし
    その人とあとで偶然出会って知り合いになると言う展開もないわけではない。

    でもなんだかあまりにご都合主義。
    ヒロインと元カノの関係も、なんだか下手なドラマみたいで...

    韓国ドラマ的なベタな展開、って言う印象でした。
    (あまり見たことないので違ってたらごめんなさい)

    でもそれはそれで、そんな韓国ドラマが逆に新鮮で人気が出たことからも分かるように、
    彼女のこの本もそう言う魅力はあるのかも知れない。

    でも何と言うか...
    登場人物への扱い方が、雑に思えて仕方ない...

    主人公、歩太のキャラもなんだか掴めないし。
    その母親も元気なのかそうでないのかよく分からないし。
    元カノはモテる設定であるようですがそんな魅力的に感じないし。
    恋のライバル、ナントカ医師は典型的なアホ男すぎるし。

    何よりヒロインがあんな扱いだからなぁ...
    このヒロインだけは毅然としていて魅力的だっただけに、ラストの雑さに唖然...

    それも含めて、なんだかきれいに書こうとしすぎてる感じ?
    とにかく話を終わらせようとしたのでは、とさえ。

    新人賞を取ったと言う話ですし、まさに賞のために書かれたような印象でした。
    読者のため、じゃなくてね。
    枚数制限ありますもんね、賞には。

    ただ、その賞を取った時も、選考委員の五木寛之さんはこう評したそうで。

    「よくこれだけ凡庸さに徹することができると感嘆させられるほどだが、
    ひょっとすると、そこがこの作家の或る才能かも知れないのだ」と。

    「尖った才能というのはほどほどのもので、鈍さはその上をゆく才能だ」と続く、そうです。

    そしてそう言われたことを、作者はこう語っています。
    「真正面からの直球勝負って、衒いを覚えて、する人があまりいない、できる人がいないんです。
    でも私は、その気になればできちゃう(笑)。」

    ...へー。
    「私は出来ちゃう(笑)」って...(笑)
    いやこれ以上は作品関係なくなるのでやめておきます(笑)

    でも、そうは言ってもですよ。
    この作品は映画になったそうで、映画として見ると泣けるかも。
    ただそうなるともう少しラストへの前振りが欲しかったなぁ...
    突然すぎるからなぁ...

    でも続編もあるそうなので読んでみよう!
    こっちは評価高そうだし、それでこの作品の印象も変わるかも...

    こちらは何と言っても20年近く前の作品ですし、まだ粗削りなのかも...
    続編に期待します(● ´艸`)

  • その恋は、暖かな春の一目惚れから始まった。

    シリーズが完結した機に再読。中学生の時に初めて読んで、自分も二十歳過ぎたら、こんな本気の恋をするんだろうと考えていた、少し恥ずかしい記憶が蘇ってきた。
    王道といえる恋愛小説。子どもの時は主人公・歩太に感情移入していたが、春妃の年齢になって読んだ今回は、歩太の真っ直ぐすぎる想いに、彼女同様、戸惑いを感じた。読み直したことで、本当に主人公の等身大の気持ちが描かれていたんだなと思った。
    シリーズでいうなら、この話はプロローグ。これだけだったら、よくある純愛ものだが、この後が描かれることで、深みを増して単なる恋愛小説の枠を越えていくのではないだろうか。

  • 乗り越えて温めて始まった恋の終わりがあまりに突然であっけない。

    なんで?
    なんで??
    って何回も言ってしまった。
    でも現実もこれくらいあっさりと残酷にやってくるものだろう。その時わたしは耐えられそうにない。誰もきっと耐えられない。
    かつてそこにあった愛の思い出だけがかろうじて人を支えることができるのかも。

    面白かったけど、歩太の気持ち考えたら悪夢みたい。
    早く夢から醒めたい。切ないというより苦しい。

    こんな終わり方はいやだ

  • 有名な恋愛小説なのは知ってましたが、実は今まで未読でした。

    非常にオーソドックスな恋愛小説でした。
    いい意味でも、悪い意味でも。
    ラストも好きな方はすごく好きな終わり方でしょうけど
    ダメな方はダメでしょう。
    ラストは中盤で読めてしまいますし、終盤へのもっていき方に
    若干無理は感じるのですが、そこはみずみずしい文体と感性で
    上手くまとめられています。

    映画化もされているようですが、逆に映像化したら
    つまらない内容だと思います。
    これは文章のみで楽しんだほうがいい物語でしょう。

著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

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