分身 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 12614
レビュー : 1028
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087485196

感想・レビュー・書評

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  • 【あらすじ】
    札幌の女子大生・氏家鞠子は、テレビに出ている自分にそっくりな女の子を見て驚く。アマチュアバンドのヴォーカルとして出演していたのは、東京の女子大生・小林双葉。全く違う環境に育ったふたりだったが、その出生には驚愕の事実が隠されていた!遺伝子操作、体外受精、クローン…。自分は一体何者なのか?それぞれのルーツを探りはじめたふたりが導き出した答えとは。壮大なスケールで描かれた医療サスペンス。

    【感想】

  • 「自分は母親から嫌われているんじゃないか」と思うようになった少女が、自分の出生を探る物語。

    この作品で良かったと思う点は2つ。
    1つは、「鞠子の章 その一(p.9-29)」の全部。
    「自分は本当にこの家の子なのだろうか?」「親から本当に愛されているんだろうか?」というのは子供の抱きやすい疑問だと、以前精神分析か心理学系の本で私も読んだことがある。しかし、普通は「あなたは本当にその家の子で、ちゃんと愛されているんだよ」というオチになるのが一般的だろう。

    ところが、本作では、「あれ?本当にこの子愛されてないんじゃ…?そういう結論になるんじゃ…?」という不安と揺れを、本作の主人公である鞠子と共に味わい、「これから先どうなるんだろう」という期待を膨らませることができたのが良かった。

    もう1つは、些末なことと言えば些末なことかもしれないが、生物学的な知識が増えたのも思わぬ収穫だった。

    一方、やや期待外れだったのは二つ。
    1つは、登場人物がやや記号的で、「こういうトリックや展開にしたいから、こう動いてもらおう」という登場人物の動きが、私の主観では多く感じた。
    「このキャラクターが魅力的だからどう動くのか見ていたい」とか「こんな面白い考え方をするなんて」というのが弱かったように思う。
    そういう点では、鞠子の父親の立ち位置は面白いと感じたが、深く掘り下げる前に物語が終わってしまった。

    2つ目は、お助けキャラが、ほとんど全てやってくれていた点が不満だったかもしれない。このせいで、主人公2人の苦難を共にする感覚を持ちにくかったように思う。周りにお膳立てしてもらって最後美味しい所だけ貰ったなという印象が残ってしまった。

    以上、ここまで述べてきたことをまとめると、要するに、私が「鞠子の章 その一」部分を読んで勝手に期待した、人間ドラマや葛藤がやや弱く、種明かしの部分についても、背表紙に書いてある作品紹介もといネタバレを、途中でうっかり読んでしまったせいで心底驚いたというのが無くなってしまい、★3の評価になってしまったというだけである。

    正しく、本作に仕込まれたトリックと種明かしのみを期待すれば、十分に楽しめるかもしれない。ただ、その際、登場人物の名前と役割を、簡単にでもよいので書き留めておくのがお勧めである。

  • まったく同じでも、ぜんぜん違う人間たちのお話。

  • 鞠子と双葉、2人の視点で物語が語られるので飽きない。届くようで届かないもどかしさが、頁を進めさせた。最後は早足で帳尻合わせた感あるけど、科学に対して何か言うような趣旨の作品でもないし、この辺が妥当かな。というとこか。
    17/3/17

  • 大学卒業時に友達から蔵書を大量にもらった中の一冊。
    積読状態のものを読破。

    面白かった。
    長篇だが途中で飽きさせることはない。
    ただ、割と序盤の方で、おおよその核心が予想され、
    かつ、それ以上の大きなどんでん返しがあるわけでもなかったので、
    少し物足りないと言えば物足りない。

    最後の結末を描き切っていない点については、
    小説としては美しいが、
    物足りなさを補う意味でももう少し描いて欲しかったか。

  • 生殖医療という理系出身の作者の得意な分野の話です。途中まではぐいぐい引き込まれるように読めたが、多くの方がレビューで書かれているように、最後がちょっと唐突な終わり方でしたね。それでも母の愛を(血は繋がっていなくても)強く感じさせる希望のあるラストだったと思います。

  • 人間はなぜこれ程までに欲深いのだろう。足るを知るということはないのだろうか?なぜ科学や医学は発展し続けなければならないのだろうか?

    本作は現代医学の倫理的部分に切り込んだ作品。読んでいて背筋がゾクゾクするのを感じる。なぜ彼女たちは生まれてこなければならなかったのか。これからどのように生きていけばいいのか。考えるだけで胸が張り裂けそうになる。個人的には、伊原、氏家清、下条。この3名が心底許せなかった。

    作品全体としては、巧妙なミステリーと重厚な人間ドラマが融合し読み応えがあった。さすが東野圭吾だけあって、物語は頭に入って来やすいので軽く読み流しても十分に楽しめる作品だ。ただ深く読もうとした場合、一度読んだだけでは感想を整理できないかもしれない。あまりにも複雑で切なくそれを整理するには時間がかかると思う。

  • 中々面白かった。

    メインとなる登場人物2人の物語が、1章ずつ交互に書かれているので、途中までは臨場感があり、今後どうなっていくのかという期待からページをめくるスピードがぐんぐん加速していきました。
    ただ、最後はちょっと残念。物語の核心部分が、表現が難しいんだけれど、すごく現実的なので、筆者の現在の医療への警笛というかそういう真面目な部分でのメッセージ性が異質なものとして現れてしまった印象でした。

    発行されたのが1996年と約20年前で、その当時の医療技術がどの程度だったのか知りませんが、先端技術分野ではこういった「倫理観との葛藤」のようなものと常に向き合う必要があるんでしょうね。そしてそれを取り巻く利権などももちろんあるでしょう。
    そういった部分が、物語の真相が分かっていく上で表面化するときにどうしても現実的というか、なんだか物語の熱を冷ますような材料として影響してしまったんじゃないかなと思いました。

  • ん〜、期待値が高すぎたのかな?
    双葉と鞠子がついに同じ北海道に!な辺りまではすごく面白く読めたのに、クライマックスが物足りなかった感じ。

    原作どちらが先かわからないけど、漫画の「スパイラル」と既視感があって、まさかこっちも「才ある大切な人が何か事故や疾患に掛かっても拒絶反応のない移植等が可能なようにするためのスペアとしてのクローン」設定じゃないだろうなと読み進め、結局そうだったので、つい落胆。
    そこに至るまでの、徐々にピースが揃っていく臨場感はとても素晴らしかったんですけど。

    一番最後の終わらせ方もなんだか唐突に美しくしすぎてて、しっくりこない。
    鞠子のお母さんの不可解な態度の真相も取って付けたような印象を抱いてしまいました。
    中盤までが本当に面白かっただけに一層残念。

  • いまいち興味が持てる内容ではなかった。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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