神鳥イビス (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087485318

感想・レビュー・書評

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  • 正直、中盤までは全くと言っていいほど盛り上がらない。珠枝の足跡を辿りつつも何も得られず、結局高崎の電話で情報収集をするので退屈。葉子のことも好きになれない。
    それが奥多摩に行ってからがらりと変わる。茶店が突然古びる描写や、どんなに歩いても鳥居に着いてしまうシーンでは背筋が寒くなり、村での阿鼻叫喚の図にはあまりの怖さにページをめくる手が止まらなかった。
    どこまでも追ってくる朱鷺も恐ろしいけど、描かずにいられない葉子と珠枝も恐ろしい。負けてたまるか、と立ち向かい続けようとするのを見て、ようやく葉子が好きになれた。

  • この作品と、赤江瀑の「禽獣の門」を続けて読むとちょっとした大型鳥類恐怖症ができあがるのではないかと(笑)

  • 篠田さんの初期?の作品。そういえば篠田さん、初期はこの作品のようなミステリーホラーが多かった。あらすじ、明治に生きた美人画家。その画家は狂死、彼女の足取りを調べた映画監督も謎の飛び降り死。美人画家が残した絵には恐ろしいモノが書かれていてその謎を主人公2人が調べに行くストリー。途中までは面白かった。ただ化鳥がこの世のものではないのに攻撃されると負傷することで私の中で一気にフィクション感が。。。フィクションだけどもしかしたらありうるかも?という篠田さんの作品が好きなのでちょっと残念。

  • 2022.08.13 朝活読書サロンで紹介を受ける。
    ホラー。明治時代の女流画家。27歳で亡くなる。
    朱鷺は全国にいた。奥多摩にもいた。朱鷺を食べていた村が全滅する。

  • 読み終わったもの備忘録。

    確かに朱鷺って、天然記念物で絶滅したばかりに悲劇の鳥になっているけれど、赤い脚はちょっと迫力あるよね。

    というところから、繰り広げられるミステリー。

    篠田節っちゃんお得意の怖さ。

    今ならCG使って、かなり怖い映画化ができそう(期待)

    男性に素直になれない主人公と、ガサツだけど優しい男の展開が少し古臭く感じるけど、そこがまたいい。

  • イラストレーターとバイオレンス作家が夭逝した画家の描いた「朱鷺飛来図」の謎を追います。2枚の違った絵に見えるというこの絵の描写が物凄くリアルで本当に怖いのです。彼らは画家の足跡を追い、迷い込み、朱鷺の因縁と怨念に追われるのですが、モノトーンの世界の中にポンと入ってくる朱鷺のピンク色がおどろおどろしく一気に読まされてしまいました。鳥の嘴や爪がトラウマになりそうです。二人のキャラも良かったし、これで何もかも終わったわけではないというラストも悪くないです。ただもう少しこの先も読ませてもらいたかった気はします。

  • 先に女性監督が戻ってきているので、どうせ主人公たちも戻れるんでしょうとあっちの世界での事は怖くなかった。
    物語はあそこで終わったけど、では件の女性監督のその後はどうだった?そう考えると怖いのはここからなのかも。

  • うわあ。
    怖くて一気読みしたのに、
    終わらない。
    怖いよ。

  • 民話的な香り漂う作品。
    雰囲気良し、題材良し、恐怖描写良し。
    で、満足かと思いきや…。やっぱり男性キャラのアクが強すぎてそこが鼻についた。キャラクター小説ならいざ知らず、恐怖メインならそこはニュートラルであって欲しい。ストーリー展開で恋愛に発展するんだろうなぁ的なのいらないし、最初は反発してた男女が最後には結びつく展開は手垢がつきすぎていてうんざりです。
    それを差し引いても「朱鷺飛来図」の謎が明らかになるシーン等ゾクっと要素は好み、楽しめました。

  • イラストレーターの葉子は仕事に行き詰まっていた。人気もあり今まで順調にこなしてきたが 30を過ぎてから美少年美少女を描くのに抵抗を感じるようになってきた。
    新しい事に挑戦し殻を破りたいと思った矢先、ある絵を元に小説の装丁を描いて欲しいとの依頼が来たが…。

    女版オタクと言われてしまったイラストレーターと、ハードボイルド作家には見えないむくつけき男のコンビが謎多き画家の足跡を追う。
    咲き乱れる牡丹の花に飛来する朱鷺の群れ… 美しい薄紅色の絵画に魅せられた二人は追跡の果てに何を見たか。
    異色ホラーとのこと、確かに最初から不気味な空気が漂っています。二人の様子がシリアスさの欠片もないので
    読み始めはちぐはぐに感じたが、後半はそんな姿にほっと一息つけて、かえって良かった。
    上手い作家さんは読者の想像をかきたてる。神々しくも恐ろしい風景が目に浮かぶようです。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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