あなたには帰る家がある (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087487381

感想・レビュー・書評

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  • 心が暗くなる小説。
    真弓も綾子も秀明もナスもみーーんな他人の目線から物事を捉えられないから他人を理解できないというか理解しようとしていない。

    でも人間関はそういうものなんだろうなと思えた。自分の経験した範疇でしか考えられないし。だから人間関係には衝突や軋轢がつきもの。
    最終的には誰も幸せになっていないような終わり方だった。山本文緒さんはほんと手厳しいけどこれが人生の現実なんじゃないかって思いました。

  • 身内が早くに亡くなったから家族というものに憧れる。
    老後面倒を見てくれる為の子供が欲しい。
    自分の名字が死ぬほど嫌だから変えたい。

    そういう何かしらの明確な目的がある人は別として、そうでない人が結婚に落ち着こうとする理由がマジでわからない。

  • おもしろくて一気読みしてしまった。
    いるいる、こんな人~と思いながら、読み進んだ。
    佐藤夫婦のバトルもおもしろかった。
    専業主婦なのに家事をしない妻に対するイライラもわかるし、育児を一緒にしようとしない夫へのイライラもよくわかる。
    お互いおもいやりを持てばいいのにね。

    登場人物にひとこと。
    佐藤真弓 最初は共感できなかったけど、よく頑張ったと思う。
    佐藤秀明 優柔不断・・・。
    茄子田太郎、本当に嫌な奴だけど、最後に同情した。
    茄子田綾子 いい人なのかもしれないけど、嫌いなタイプです。

  • やっぱり山本さんは上手い!!それぞれの家庭の事情が、だんだん明らかになって、予想通りの修羅場へ。

    他の人も書いている様に、初めは嫌いだった茄子田(夫)が、一番家族を大切にしていて、後半は気の毒でもありホッとした。
    逆に、初めは主婦の鏡と思ってた茄子田(妻)が、途中から恐ろしかった。

    それにしても、佐藤(妻)が「眠れるラプンツェル」の汐美ちゃんの隣の部屋の奥さんだったとは!!
    こういう形の小説、ドラマみたいで素直に面白い◎

  • 数年ぶりに再読。文章がするすると入ってきて一気に読了。

    題名から不倫の辛さかがメインテーマかと思いきや、「女性の仕事と家庭の両立」「主婦と主夫」が核のようだ。
    社会的役割分担とか、家庭内役割分担とか。

    登場人物がそれぞれに、わがままで、傲慢で、自分勝手で。
    それでいて愛おしい。

    文章は山本さんらしい水々しさが好き。でもちょっと物足りなく感じてしまったのは、年をとって小難しい本ばかり読むようになったからかもしれない。
    言葉はシンプルだけど、何かを問いかけるこういう小説も、たまにはいい。

  • 結婚して一年半。佐藤真弓は働きに出たいと思い始めていた。毎日献立を考え、子どもの世話だけで明け暮れる日々。夫は何時間かけて作った食事をものの10分で平らげてしまう。最初の頃はおいしいと言ってくれたが、今はそんな言葉もない。佐藤秀明は中堅のハウジングメーカーで営業をしている。その前は映画配給会社で契約社員として働いていたが、できちゃった結婚を期に、義父の紹介で今の職場に入った。毎日続く残業とノルマ。失敗したら泣けばいい女を鬱陶しい反面羨ましいと思う。帰ればスーパーで出来合いの惣菜とパジャマ姿の妻。彼女は働きたいというが、単に主婦に飽きたのだ。

    なんだか、考えされられる作品だなあと思いました。出てくる登場人物の気持ちどれもが、正当性があるように感じて、でも譲り合う余裕がなくて。真弓の立場になれば、働きに出たいと思うし、夫にも家事を手伝って欲しいと思う。でも、秀明の立場になれば、義父の立場を立て、ローンのために毎日残業して。嫌な客でも、誠心誠意対応しなきゃいけない。帰れば、もっと手伝え、気持ちを分かれと攻められる。
    つらいよね。
    これを読むと本当に核家族ってどうなんだろうって感じます。何をするにも基本的に人手が足らない。同居であれば、面倒が増えるけど、手ごまも増えるしね。やはり、ここは気楽に婿養子か?と本気で考える今日この頃です。
    物語に関して言えば、重苦しい内容なんだけど、なんだか嫌いになれないよね、ってのが読後の印象。佐藤夫妻も、茄子田夫妻も、同僚も、上司も、客も、みんな悪役なようで悪役でなくて、ただ、表裏一体なだけで。一つずつパズルが組み合わさって、人が繋がり、物語の全貌が見えたとき、ああ、それでもなんとかなるもんだって思ってしまう。ちょっとずつ変わることができるんだよね。大事なのは愛されるより、愛せ。想われるより想え。自己責任だ。人の所為にしないだけで、すっきりすることもある。
    淡々と進む作品であるけど、考える以上の深さが後味を変える作品。★×4つで。

  • 理解できない。タイトルからして危険信号だったがその通り。
    人間相関図を書いたら笑い出せる設定に、ちょっと上手なネット小説並の表現力。
    フェミニズム書きたいことはわかるけれど、他にもっとマシなテーマの選び方とか、キャラ設定とかないのかな。その辺特にわからんなー。

  • 昼ドラになりそうなドロドロ感と若干の非現実的な話。
    最初は繋がってなかった人間関係が少しずつ少しずつ繋がっていくのが面白い。
    ハッピーエンド?
    アンハッピーエンド?
    なんか分からん終わり方やったけど山本文緒らしいっちゃぁ、らしい(笑)

  • 10/12/24読了 覚悟ってことかね。でも覚悟って何だ。少なくともクリスマスに積極的に読むべき本ではなかった。

  • 母親世代の家庭での男女の役割、女性が仕事をすることなどについて。
    昭和おじさん達の露骨なセクハラがあったかと思えば、女が自動的に結婚、退社、母親として家庭を守るのが役割なんてとんでもないと憤る女性がいたり。不倫をしてみたり。
    1990年代辺りと比較すると今は男女の区別だけで役割が決まるとは決して明言しないけど、どれほど変わったのかな。色々な選択肢があるぶん、価値観の合う人をパートナーとしたい。

    大人しい昭和の女性像である綾子が、まさかサイコな展開を繰り広げるとは思わずおもしろかったな。
    生保レディーが契約してくれたお客さんにブランド物の名刺入れを自腹で購入したり、家のセールスマンとお客さんが飲みに行った挙句お客さんの家で寝てしまう、上司が新入社員にクドクドと怒る、今では考えられない時代だなあ

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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