- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087487923
感想・レビュー・書評
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この文章では、いろんな色の描写が出てくるんだけど、不思議なことに、色彩だけではなく、匂いやそこに吹く風のそよぎまでもが存分に体感できるように感じられる。読後、解説にも似たような記述があって、やはりそうなんだと思った。どうしてそうなるのか分からないが、この人の文章は、間違いなくそういう感覚を引き起こさせる。5に近い星4つです。
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情熱的で、甘く切なく苦い大人の恋。
かなり昔の作品。十数年ぶりに再読しましたが、やっぱり何度読んでも作品の持つ雰囲気にいつの間にか引き込まれてる。
染織家の飛鳥と動物カメラマンの一馬。どちらもすごく魅力的。
一馬が暮らすアフリカの大自然とそこに生きる野性動物の描写が素晴らしい!
飛鳥と一馬の恋の行方にやきもきしたりハラハラしながら、アフリカの大自然、染織の魅力も感じました。
胸を抉る辛い現実にも、どこか冷静な自分を客観視している飛鳥が痛々しい…。苦しくて、寂しくて、悲しくて、滂沱の涙。
今までに読んだ恋愛小説の中でも特に記憶に残る1冊。 -
叶うならば。
ラストを変えてしまいたい。
でもそれができないからこそ、こんなにも心に残るのでしょう。 -
(注:はげしくネタバレです。これから読む人は読まない方が...)
「村山由佳ならこれ」というツイ友の勧めで読んだ本。家には他に何冊かあるけど、読まず嫌いw。
25歳の草木染め作家が奥さんと子どもを失くした中年のカメラマンと、東西の壁崩壊当夜のベルリンで出会い、8ヶ月後、ケニヤで劇的な再会をして...っていう物語。ところが、主人公が高校時代にカレシを奪った同級生の編集者が偶然このカメラマンに夢中で...。
こうやって書くと陳腐な話だけど、はっきりとイメージが浮かんでくるアフリカの自然や、ドライバーとの交流、カメラマンの助手/義理の弟の描写はさすが。
でも、一度だけ男女の仲になった編集者が妊娠して、産んだ子どもに知的障害があったからカメラマンが責任を感じて...っていう終わりはちょっと安易だし、書き込めてもいないし、後味が良くない。
実際にはあるかも知れないけど、小説で描く必然性があるのかやや疑問。「重さを押し付けられた」っていう感想があったけど、同意。
でも主にアフリカの情景を楽しめました。なんでこれ、映画化されなかったんだろ。登場人物考えると面白いかも。飛鳥=満島ひかり、一馬=内野聖陽、祥子=黒木華、浩司=柄本佑とか? -
久しぶりの村山ワールドに浸れて良かったです。
登場人物が魅力的でアフリカの風景や染色の豊かな色彩も相まって純度の高い恋愛物語でした。 -
「海外で出会った日本人男女が恋に落ちる」話、いや、そもそも恋愛小説自体あまり得意ではないのですが、この作家さんの「星々の舟」が良かったので読みました。
やはり最初は恋愛小説独特の「オシャレ感」にどうにもなじめず、読み進めるのに苦労しました。ですが後半に向けて次第に、引き込まれていきました。
過去のたった一つの選択が、未来の自分に大きな影響を及ぼすこともある。
そして、何でもかんでもただ「言えばいい」わけではないんですよね。 -
30年近く前の小説。だいぶ前に買った本を本棚の中で発見したので読んでみた。恋愛小説だが、アフリカの魅力が存分に伝わってくるし、色彩の表現も際立っている。
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「君は、飛ぶ鳥は風に支えられているんだと言った」…
「鳥はね。風を抱いているんだ」
飛鳥は、一馬に支えられていると感じ、一馬は、飛鳥に抱かれているような安心感、信頼感を持っていて、より離れがたい感情を思うとさらに切なさが迫ってきた。
(中略)
「同じことに笑い合ったり、同じことに泣いたりしながら、一緒にゆっくり年をとって最後によく似た顔の爺さんと婆さんになりたかった。てっきりそうできると思っていたのにな……」
たとえ壁があったとしても、
愛するひととは、こんな人生を歩んでいきたいと思った。 -
どの選択が正しいのか分からないけれど、選ばないといけない時は来る。甘い恋愛と現実を美しい描写で描いた一冊。
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いつか再読したい