僧正殺人事件 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(3) (乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10) (集英社文庫)
- 集英社 (1999年5月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087488319
感想・レビュー・書評
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僧正殺人事件
1 「だあれが殺したコック・ロビン?」
4月2日 土曜日 正午
2 アーチェリー練習場にて
4月2日 土曜日 午後0時30分
3 よみがえる予言
4月2日 土曜日 午後1時30分
4 謎のメモ
4月2日 土曜日 午後2時
5 女の叫び声
4月2日 土曜日 午後2時30分
6 「『それは私』とスズメが言った」
4月2日 土曜日 午後3時
7 ヴァンス、結論に達する
4月2日 土曜日 午後3時30分
8 第二幕
4月11日 月曜日 午前11時30分
9 テンソル公式
4月11日 月曜日 午前11時30分
10 望めぬ協力
4月11日 月曜日 午後2時
11 盗まれたピストル
4月11日 月曜日 午後3時
12 深夜の訪問
4月12日 火曜日 午前10時
13 ビショップの影に
4月12日 火曜日 午前11時
14 チェスの試合
4月12日 火曜日 午前11時30分
15 バーディーとの会見
4月12日 火曜日 午後0時30分
16 第三幕
4月12日 火曜日~4月16日 土曜日
17 眠らない窓
4月16日 土曜日 午前9時30分
18 公園の塀
4月16日 土曜日 午前11時
19 赤いノートブック
4月16日 土曜日 正午
20 手ごわい敵
4月16日 土曜日 午後1時
21 数学と殺人
4月16日 土曜日 午後8時30分
22 カードの家
4月17日 日曜日 午前9時
23 驚くべき発見
4月25日 月曜日 午後8時30分
24 最終幕
4月26日 火曜日 午前9時
25 幕引き
4月26日 火曜日 午前11時
26 ヒースの疑問
4月26日 火曜日 午後4時
Scribners「The Bishop Murder Case」 1929年
解説 長谷部史親
ヴァン・ダイン ”黄金時代”の完成者
鑑賞 東野圭吾
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マザーグース系。ご都合主義大歓迎派なんだけど、これあまり好きじゃないやつ。やっぱりアメリカのは合わないんだなぁ。不思議。クリスティを読みたくなった。
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理系無双で特に終盤は読むのがしんどい。しかし事件そのものに直接関わりあるものではないので、読書自体に負担はなし。マザーグースにばかり気を取られてしまい、「僧正」という言葉がここまで事件に絡んでいくとは思わなかった。結末には、後味の悪さを感じる人もいるかもしれない。犯人の執着や怨念めいたものが真相と共にあらわになるところ、ヴァンスの犯人に対する冷酷ともとれる姿勢が強烈。
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チェスが出てくるミステリーの最高傑作だからいずれ読まねばとは思っていたが、こんな長編を読み切るのはしんどかった。最初の殺人が起きるストーリー初日だけで100ページを超えるのだから。これでも、作者の確立したミステリーの王道は余分な虚飾をはぎ取っている。代わりに、事件に関係あるとはいえ、ずいぶんペダンチックな説明が語られる。
チェスはたしかに重要な要素となっており、タイトルの僧正はもちろんビショップの駒のことで、犯人が手紙の署名に使う謎の名前でもある。さらに、自分の名を冠したギャンビット定跡まで発案したパーディーという容疑者の一人がいて、彼と実在の棋士ルビンステインとのマッチまで出てくる。1敗1分後の最終第3局で白のパーディーが投了した局面(原注より)からの黒のメイトは簡単だ。最後にビショップを使うのがミソ。
45 Rxc2 Nxc2 46 Kxc2 b1Q+ 47 Kxb1 Kd3 48 Ka1 Kc2 49 d3 Bb2#
しかし、最後のどんでん返しは手に汗握るという感じで、新訳もいいからお勧めだ(台詞の処理に関しては不満があるが)。東野圭吾の「鑑賞」と題する解説も、作家の観点から書かれていてとても興味深かった。
著作権が切れているとはいえ私も訳して張り合う気はないが、チェスに関する部分の訳を公開すればおもしろいかもしれない。その間の話はダイジェストにして?