僧正殺人事件 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(3) (乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10) (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087488319

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  • 僧正殺人事件
     1 「だあれが殺したコック・ロビン?」
      4月2日 土曜日 正午
     2 アーチェリー練習場にて
      4月2日 土曜日 午後0時30分
     3 よみがえる予言
      4月2日 土曜日 午後1時30分
     4 謎のメモ
      4月2日 土曜日 午後2時
     5 女の叫び声
      4月2日 土曜日 午後2時30分
     6 「『それは私』とスズメが言った」
      4月2日 土曜日 午後3時
     7 ヴァンス、結論に達する
      4月2日 土曜日 午後3時30分
     8 第二幕
      4月11日 月曜日 午前11時30分
     9 テンソル公式
      4月11日 月曜日 午前11時30分
     10 望めぬ協力
      4月11日 月曜日 午後2時
     11 盗まれたピストル
      4月11日 月曜日 午後3時
     12 深夜の訪問
      4月12日 火曜日 午前10時
     13 ビショップの影に
      4月12日 火曜日 午前11時
     14 チェスの試合
      4月12日 火曜日 午前11時30分
     15 バーディーとの会見
      4月12日 火曜日 午後0時30分
     16 第三幕
      4月12日 火曜日~4月16日 土曜日
     17 眠らない窓
      4月16日 土曜日 午前9時30分
     18 公園の塀
      4月16日 土曜日 午前11時
     19 赤いノートブック
      4月16日 土曜日 正午
     20 手ごわい敵
      4月16日 土曜日 午後1時
     21 数学と殺人
      4月16日 土曜日 午後8時30分
     22 カードの家
      4月17日 日曜日 午前9時
     23 驚くべき発見
      4月25日 月曜日 午後8時30分
     24 最終幕
      4月26日 火曜日 午前9時
     25 幕引き
      4月26日 火曜日 午前11時
     26 ヒースの疑問
      4月26日 火曜日 午後4時
    Scribners「The Bishop Murder Case」 1929年

    解説 長谷部史親
    ヴァン・ダイン ”黄金時代”の完成者

    鑑賞 東野圭吾
    懐かしい街

  •  ヴァン・ダイン、なにか一言でもしゃべったか?

     ヴァンスの問いかけに答えてはいるけど、ここまで徹底的なのもすごいな。ほとんどないものとして書かれてないか? 助手ではない、記録者だ。登場人物一覧にすらいないもんよ。シリーズの途中作だからか、そもそも正確な名前すら分からなかったよ。
     翻訳ものがものすごく苦手なので、読み終わるのに時間かかった。三日くらいかかった。
     国内ミステリ、新本格を主に読んでるから、こう、なんだろう、いろいろと違和感は多いし、疑問も多い。最後の数学者の心理を推察するヴァンスの高説は必要だったのかしらとか。心理的な推察をここまで組み込むの、今の国内ミステリでやってたらちょっと鼻で笑っちゃうかもしれない。
     最後のオチは結構好きです。アーネッソンが好きだったので、「えー……」と思いながら読み進めて、結局「やっぱりね」と。
     だって、あれだけ「状況証拠しかない」みたいな感じで話が進んで、その証拠を考えたら、当てはまるの、教授とアーネッソンじゃんね。ヴァンスが事件初期からアーネッソンを容疑から外してた理由が数学者の心理状態?みたいな感じで、そこがやっぱりうーん、と首を捻らざるを得ない。
     あと冒頭からすごく「凄惨な事件」って語られてるけど、殺されたの四人、事故死一人、未遂一人で、登場人物たちが嘆いているほどの事件には見えなかった。ずっとその違和感が付きまとってて、このひとたち大袈裟だなぁと思いながら読んでたわ。たぶん、この時代にはそうだったなろうなぁとは思うけど、まだ一人目の時点で「こいつぁややこしくなるぞ」みたいなこと言い出してて、ソースは? 状態。童謡見立てでも、一番の歌詞の見立てで事件が起こって、「もしかして二番に続くんじゃあ……」だったら分かるんだけどね。
     個人的に一番どうよと思ったのはやっぱりラストだな。「万事うまくいったじゃないか」って言ってるけどさ。ヴァンス、お前……。いやそのどうよ、って思ったところが一番面白かったんだけどね。たまらなく好きですけどね。
     抜粋。
     アーネッソンさんのセリフより。


    「すぐにお供えしてあげるよ、マデラン。ハンプティ・ダンプティは、きみが忘れずにいてくれたので、お礼を言うでしょう」


     アーネッソン、超良い奴じゃん。

  • マザーグース系。ご都合主義大歓迎派なんだけど、これあまり好きじゃないやつ。やっぱりアメリカのは合わないんだなぁ。不思議。クリスティを読みたくなった。

  • 理系無双で特に終盤は読むのがしんどい。しかし事件そのものに直接関わりあるものではないので、読書自体に負担はなし。マザーグースにばかり気を取られてしまい、「僧正」という言葉がここまで事件に絡んでいくとは思わなかった。結末には、後味の悪さを感じる人もいるかもしれない。犯人の執着や怨念めいたものが真相と共にあらわになるところ、ヴァンスの犯人に対する冷酷ともとれる姿勢が強烈。

  •  チェスが出てくるミステリーの最高傑作だからいずれ読まねばとは思っていたが、こんな長編を読み切るのはしんどかった。最初の殺人が起きるストーリー初日だけで100ページを超えるのだから。これでも、作者の確立したミステリーの王道は余分な虚飾をはぎ取っている。代わりに、事件に関係あるとはいえ、ずいぶんペダンチックな説明が語られる。
     チェスはたしかに重要な要素となっており、タイトルの僧正はもちろんビショップの駒のことで、犯人が手紙の署名に使う謎の名前でもある。さらに、自分の名を冠したギャンビット定跡まで発案したパーディーという容疑者の一人がいて、彼と実在の棋士ルビンステインとのマッチまで出てくる。1敗1分後の最終第3局で白のパーディーが投了した局面(原注より)からの黒のメイトは簡単だ。最後にビショップを使うのがミソ。

    45 Rxc2 Nxc2 46 Kxc2 b1Q+ 47 Kxb1 Kd3 48 Ka1 Kc2 49 d3 Bb2#

     しかし、最後のどんでん返しは手に汗握るという感じで、新訳もいいからお勧めだ(台詞の処理に関しては不満があるが)。東野圭吾の「鑑賞」と題する解説も、作家の観点から書かれていてとても興味深かった。
     著作権が切れているとはいえ私も訳して張り合う気はないが、チェスに関する部分の訳を公開すればおもしろいかもしれない。その間の話はダイジェストにして?

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