- 集英社 (1986年4月18日発売)
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感想 : 30件
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784087490985
作品紹介・あらすじ
失業した僕。束の間の休息をウイスキーとミステリーを楽しみながら、のんびり過ごそうと思ったが、世間はそうさせてくれない。恋人はできるし、僕ソックリの男は現われるし…。第7回すばる文学賞受賞作。(解説・佐伯彰一)
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
気だるい青年の日常を描いたこの作品は、失業から始まる一年間の出来事をコミカルに綴っています。著者のデビュー作でありながら、気取らない文章が魅力的で、読者を引き込むミステリーの要素も加わっています。ウイ...
感想・レビュー・書評
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著者のデビュー作。
何とも気取らない文章で淡々と語るのだろう。
それでいて、大きな変化もあるわけでもないが、ミステリーのような要素も重なり、引き込まれていく。
気だるい青年の一年にわたる出来事をコミカルに見せる。
村上春樹の小説のような雰囲気を感じずにはいられない。
始まり方と終わり方が後腐れなく、さらりとしていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公 田村は仕事を辞めてからずっと、競輪ばかり。女関係もはっきりしない。いい加減な男だ。
そんな田村に瓜二つという男 野口が現れ、周辺が慌ただしくなる。
いい加減なのに、変に真面目過ぎる田村の日々が描かれている。 -
月の満ち欠けを読んで面白かったので、佐藤正午さんの本をもう一冊読んだ。これがデビュー作でなにかの賞を取ってるんだけど、作家本人はあまりうまく書けてないと評している。けどあらすじを見て面白そうと思ったので選んだ。
月の満ち欠けとはだいぶ作風が違っていて、こちらは娯楽作品なんだけどどこか私小説のような空気感が漂っている。文体は今に通じるものがある。最新作とデビュー作を連続で読んだので、その対比が面白く感じられた。 -
ナチュラルにユーモアを混ぜてきてクスッとしてしまう。
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解説の中で丸谷才一の影響が指摘されていました。
確かに。
ちょっと風変わりな日常をキッチリと、しかも淡々と描きながら、どことなくユーモアがある。爆笑は無いし、オチもない。落語でも漫才でも出来ない、穏やかな笑いの世界。そんな全体の雰囲気は丸谷才一に良く似ています。もちろん文体はまったく違うのですが(丸谷さんの旧仮名遣いをまねしたら、単なる亜流になってしまいます)。
あと、女性の描き方が好きですね。主役級からチョイ役まで、存在感があります。
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デビュー作とは知らず読みましたが佐藤先生はあとがきで謙遜してますがちゃんと今の原点感じます。
登場人物全員執着がないというか流されてく退廃的な空気感。
はっきりした結末は幸せじゃない気がするけどなんか惹きつけられる。
自分に似た人いたら会ってみたいけどやっぱり怖いかもしれません。 -
「自分に似た男」というミステリー的な要素を上手く使えずに展開してしまった印象がある。ミステリー部分が動き出す後半からが面白く読めた。主人公と恋人のやり取りは全体的にもう少し短くてもよかったような気もする。
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昭和5?年、長嶋が巨人の監督を辞任した年の風俗を背景にした、28歳の無職男が主人公のちょっとくたびれた青春小説。自分とそっくりだという金にも女にもだらしない男の影に散々振り回されつつ、その男の存在はメタファーなのか、リアルなのかどっちとも分からない感じなのが面白かった。シュウジというその男の姿が徐々に明らかになり、最後、駅での邂逅は結構ドラマチック。出てくる女性がどれもいまひとつ共感を呼べないが、妙に現実感がある。ミステリ好きというのが一本底辺に流れていてその具合が感じよかった。
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佐藤正午ファンには安心安定な作品
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主人公は何をしたいんだかわからない!でもでも、20代のころはこうだったかもしれないなぁ。こうだったなぁ。少なくても、この主人公に文句を言える人じゃなかった。そういう点でリアルで、入り込むなぁ。佐藤正午のデビュー作。もうミステリとハードボイルドが味わえ、ごちそうさまでした。なんだかんだで好きです。
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「知らないということはたぶん幸福なことなのだ。何も聞かず何も見ずに生きていけたらどんなに気が楽だろう」
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第7回(1983年)すばる文学賞受賞作。九州・長崎の競輪場がある街「西海市」が舞台のヒューマン・ミステリー。27歳失業中の主人公はなんとかギャンブルで生計を立てているが、他人に間違えられるトラブルが続き、自分に酷似した人物の存在を知る。そのもうひとりの自分である謎の人物と彼を慕う女たち、彼を追う男たちとの関わりを描いた作品。
物語の構成や着想はおもしろいのだが、448Pというボリュームの割には主人公の軽薄さからくるのであろう読みごたえの無さ、”追い詰められた”感を演出するために西日本の端の地・長崎を舞台としている割には”ハードボイルド”感を出すために全く九州弁が使われていないことの不自然さなど、残念。 -
瑞々しい文体が細部まで行き渡ってて気持ちいい!たまたま主人公と同じ歳にこの作品と巡り会えたことを運命に感じる。
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時代は1980年。自分に瓜二つの男が存在することにより引き起こされるたくさんの事件。解決することなどできないが、それでもどうにかしなければ、という中でのスリリングな展開が楽しめる。ドストエフスキー的長いセリフもあり。
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旅行用にボロボロにしてもいい文庫を親から借りたので読みました。なんと自分が生まれる前に書かれた本だったなんて。
すばる文学賞受賞作品だったそうです。たしかに400ページほどのちょっと眺めの小説だったのですが、すらすら読むことが出来ました。文庫の後ろで佐伯彰一さんの解説には「軽み」を身につけた日常系ミステリーというような内容でした。
本作品は日記という体で文章が書かれています。重大な犯罪が起こる、予想もしないトリックがある、巧みな文章構成で読者をはっとさせる、というような内容ではなく、それはたしかに日記として読める少し不思議な日常といった感じでしょうか。やはり何よりの特徴はさらっとした口当たりの文章と思います。 -
執筆当時はクールでドライだったかもしれないが今読むとウェット。すばる文学賞受賞。
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佐世保などを舞台とした作品です。
著者プロフィール
佐藤正午の作品
