永遠の1/2 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 216
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087490985

感想・レビュー・書評

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  • 著者のデビュー作。
    何とも気取らない文章で淡々と語るのだろう。
    それでいて、大きな変化もあるわけでもないが、ミステリーのような要素も重なり、引き込まれていく。
    気だるい青年の一年にわたる出来事をコミカルに見せる。
    村上春樹の小説のような雰囲気を感じずにはいられない。
    始まり方と終わり方が後腐れなく、さらりとしていた。

  • 主人公 田村は仕事を辞めてからずっと、競輪ばかり。女関係もはっきりしない。いい加減な男だ。
    そんな田村に瓜二つという男 野口が現れ、周辺が慌ただしくなる。
    いい加減なのに、変に真面目過ぎる田村の日々が描かれている。

  • 月の満ち欠けを読んで面白かったので、佐藤正午さんの本をもう一冊読んだ。これがデビュー作でなにかの賞を取ってるんだけど、作家本人はあまりうまく書けてないと評している。けどあらすじを見て面白そうと思ったので選んだ。
    月の満ち欠けとはだいぶ作風が違っていて、こちらは娯楽作品なんだけどどこか私小説のような空気感が漂っている。文体は今に通じるものがある。最新作とデビュー作を連続で読んだので、その対比が面白く感じられた。

  • 最初の出だしはとても印象的だった。読み終わったあとでいうと、それをツキがついていると言えるのかどうなのかのなかなかのダラっとした日常な感じはあった。競輪とかはやったことないので、そんなにも中毒性があるものなのだねーって感じ。でも顔が似ているひとに間違えられ、事件に巻き込まれるのは、ありそうで怖い。わたしも似ているひとがいるって言われたことがあるし。他人の人生を生きるってこと自体、絶対無理だなぁ。最後はまた日常に戻り、平凡な感じになっていく。休職の時間は経験があるので、その点では共感できる話だった。

  • ナチュラルにユーモアを混ぜてきてクスッとしてしまう。

  • 解説の中で丸谷才一の影響が指摘されていました。
    確かに。
    ちょっと風変わりな日常をキッチリと、しかも淡々と描きながら、どことなくユーモアがある。爆笑は無いし、オチもない。落語でも漫才でも出来ない、穏やかな笑いの世界。そんな全体の雰囲気は丸谷才一に良く似ています。もちろん文体はまったく違うのですが(丸谷さんの旧仮名遣いをまねしたら、単なる亜流になってしまいます)。
    あと、女性の描き方が好きですね。主役級からチョイ役まで、存在感があります。

  • 1987年 時任三郎主演で映画化
    昔、読んだはずだが、全く覚えていない
    著者、佐藤正午は
    2017年、『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞

    歌野正午と勘違いしていた

  • デビュー作とは知らず読みましたが佐藤先生はあとがきで謙遜してますがちゃんと今の原点感じます。
    登場人物全員執着がないというか流されてく退廃的な空気感。
    はっきりした結末は幸せじゃない気がするけどなんか惹きつけられる。
    自分に似た人いたら会ってみたいけどやっぱり怖いかもしれません。

  • 「自分に似た男」というミステリー的な要素を上手く使えずに展開してしまった印象がある。ミステリー部分が動き出す後半からが面白く読めた。主人公と恋人のやり取りは全体的にもう少し短くてもよかったような気もする。

  • 昭和5?年、長嶋が巨人の監督を辞任した年の風俗を背景にした、28歳の無職男が主人公のちょっとくたびれた青春小説。自分とそっくりだという金にも女にもだらしない男の影に散々振り回されつつ、その男の存在はメタファーなのか、リアルなのかどっちとも分からない感じなのが面白かった。シュウジというその男の姿が徐々に明らかになり、最後、駅での邂逅は結構ドラマチック。出てくる女性がどれもいまひとつ共感を呼べないが、妙に現実感がある。ミステリ好きというのが一本底辺に流れていてその具合が感じよかった。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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