東京に原発を! (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087491371

作品紹介・あらすじ

そんなに安全で便利だというのなら東京に作ればいいじゃないか。新宿西口に建ててみたらどうだ!過疎の浜の人は死んでも仕方ないというのか。チェルノブイリ事故で一層はっきりした原発の危険を最新データを駆使して説く衝撃のテキスト。人類の安全と代替エネルギーの根本問題を、豊富なイラスト、写真を元に鋭く抉るノンフィクションの話題作!

感想・レビュー・書評

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  • 昭和61年発行の著書です。原発事故が起こった時のシミュレーションがマンガで分かりやすく書かれているのですが、本当にその通りのことが福島原発で起こっている。

    電気を作るために、どうして人の命を脅かすのものを作らなければいけないのでしょうか。

  • 実はずっと不思議に思ってました。そんなに安全なら、なぜ首都圏に作らないの?って。だって実は、そんなに広大な敷地、いらないんですものね?
    読む価値はあります(でも現在、事故後にもっとイイ本でているようですけど)。
    この本は実際には、科学的根拠に基づいていないという指摘もあります。しかしこの本が過去に警鐘をならした原子力発電所の事故=現在まったく同じことが起こっているという事実。
    この本をバカにして「原子力は安全です」といっていた東京電力幹部職員、科学者たちは皆、土下座するくらいの意気込みを見せて欲しいものです。
    原発推進派は「脱原発主張するくらいなら電気を使うな」とか、逆切れしている場合じゃないと思います。

  • 20年前以上前、チェルノブイリ事故直後に出版された原発の実態を告発する広瀬隆のノンフィクション。震災、福島原発事故を経て読むとここに書かれていることが規模が少しは小さいとは言え現実に起きていることに驚く。原発が無くても電力は足りているのに、なぜ原発が作られるのか。そしてなぜ原発は無茶なのか。その答えが書かれています。原発を売りたい人がいる、そして費用がかかれば掛かるほど儲かる人達がいる。そして、放射能汚染され何万年と消えない使用済み燃料や廃棄物たちを安全に処理、保管することは未だにできないしこれからも出来ない。しかし広瀬隆の文章は多少読みにくい。20年前に読んでもよくわからなかったかもしれないが、今読むとさんざん見聞きしている内容なので非常によくわかります。

  • 燃料棒の処置の方法が、不安定だった時代の作品、近年はいろんな廃棄方法があるらしく、以前より、安定した処置が出来る様になってきた様である。

  • 1986年(底本1981年)刊行。タイトルと1章2は強烈な皮肉。①核廃棄物・旧式原子力発電所の廃炉・廃棄処分の不可能さ、②地震大国日本における原子力発電所の脆弱性、③事故(特に全電力喪失)による影響など、まるで福島の事故をなぞらえる書であり、空恐ろしい。もう言い尽くされているだろうが、原子力発電所は廃炉の方法(現状、方法はない)、この手法開発・安全保障面も含め、必要経費の巨大さを念頭におかねばならないが、この点の情報も出てこない。情報が出てこない要因も説得力ある叙述で解説。意識改革のための必読の書である。

  • 平常運転の広瀬隆氏が大嫌いな原発に対するヘイトを爆発させた本。

  • 名作

  • 確かに安全と言うなら東京のど真ん中に建てればいい。広大な土地は必要ないそうだ。失業対策にも良い。東京湾もある。東北で起こした電気を東京に運ぶ手間も不要。もちろん東電の方は全員敷地内に居住する。社長もね

  • 中学の頃にペーパーバック版(スリーマイル後、チェルノブイリ前)を読んだのから、かれこれ二十ン年ぶりに文庫で再読。チェルノブイリ後に大幅に書き換えられたので、ペーパーバック版とはかなり内容が違う。内容は、まず「ロスチャイルド家による大いなる陰謀」という出オチでスタート。あとは完全に「レイチェル・カーソン教」である。自分で「生体に蓄積しなかった」と書きながら、直後に「どんどん蓄積していくのである」という矛盾が、1冊の中で何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返されるのである。
    また、拡散という概念が一切ないのに、同心円上にひろがるというのも事実誤認。東日本大震災でも、拡散と集中があったことから、「昔の常識が現実には事実でない」という典型である。
    とはいえ、いろいろと(大げさな記述ではあるが)史実も交えられており、十分に読むべき価値のある内容となっている。
    ペーパーバック版では、面白おかしくマスコミ批判や皮肉を繰り返していたのに、文庫版ではその方向性が一切なくなり、マスコミの言うとおりの悲観論が多すぎるのは食傷であった。
    この本を鵜呑みにしているのは単なるバカだけど、かといって全否定するのもマヌケである。子供には一切おすすめしない。ちゃんとわかっている大人は、「ネタ本」として、一度は目を通すべき1冊である。
    なお、関東地域ではブックオフの100円(税抜)コーナーから完全に消えましたが、関西や九州ではいまだに100円コーナーに並んでいるので、おみやげに1冊どうぞ。半額券で50円(税抜)で買わせてもらいました。文章は普通におもしろいです。SFというかなんというか。

  • 残念ながら内容はほぼ的確です…。

  • 20年前の本。旦那が高校生のころ読んだと言って実家から探し出してきた。古いけど分かりやすい、とかんじるのは自分の知識とか理解力というよりは、福島後にどこかで聞いたことのある話だからだろうか。
    外国で放射性廃棄物の汚染の実例 とか、知らなかったコワイ話が満載。

  • チェルノブイリ事故の数カ月後に出版された本
    挑発的な題名の通り、原発を危険と不要を訴える内容
    多くの人が集めた資料を元に書かれたということ
    一部の引用元が怪しい.特に「政府極秘文書、S報告書」ってなんだよ
    ゲームの世界かよ
    少なくとも自分で調べるまでは丸々信用は出来ない内容だった

    とりあえず信用するとして
    20年前に書かれた本だけど、内容が数年前のニュースとまるで
    同じことだった.
    一度動かした発電所について、深い部分の部品は交換ができないだとか、
    福島のそれはこの本が書かれた時には既にあったから、20年間の
    間に技術が進歩してても、それが反映されたりしないものね
    筆者は福島のそれを見学しててその時の感想として
    原発を動かす以上、放射能は漏れる、と言ってる

    強く危険を訴えたいのは分かるけれど、いちいちプルトニウムなんかを
    死の灰と表記していて、一見教科書にあるような真面目な図の中でも
    そう表記しているのが、フザケてるな、と思った.逆に反感を覚える.

    タイトルの通り、東京に原発を作ることのメリットを、数ページだけど
    割いてある.曰く、電気以外に、原発を冷やすのに出る、熱くなった
    海水を今は海に捨ててるけれど、それを家庭に送ることで、暖房が
    変わられる、とある.それなんか放射能含んでそう

    この本を最後まで読めば、そりゃあ、だれだって原発がどうしようもなく
    危ないという感想を抱くでしょう.また同様に危ないのは、利権を得よう
    とする政治家と、自分の生活を守ろうとする政治家と、科学を信用しない政治家.

  • 著者は私が学生の頃から反原発で朝生等に出てましたね。これも86年第1刷。
    東京に原発というのは、本当に安全なら東京でもいいでしょうというただの逆説で、この本の主題は、原発・核廃棄物とも常に冷却が必要で、冷却用の動力が何らかの形で途絶えると、メルトダウンを起こすということ。福島の場合はまさにそうで、著者の指摘の正しさを証明しているわけですが、本当に怖いのはこれまで原発が出した死の灰を大量にため込んでいる核廃棄物の方らしい。

  • 過去の安全神話の中なぜ原発は地方に立地しているのか、その矛盾を突く

  • 「廃棄物の問題がどうしても解決できなくなったときこそ、人類は本当に廃棄物を理解したことになる」
    すでにその状況にあるのではないかと本書を読むと痛切に思う。

    誤った、軽率な憶測の上に生命を脅かす危険エネルギーを利用し、不要となった手に負えない怪物は人々が知らない間にますます巨大化し破滅へと向かうのだろうか?

    人類と引き換えに護らなければならないモノとは果たして何なのであろう?
    権力や利権のような一握りの取るに足らない連鎖の代償は?

    客観視すれば滑稽で愚かな行為だと認識できる筈。

  • 昔、見た「東京原発」という映画のほうが、迫力というか説得力があったように思う。

  • 原子力発電所は、3分の2のエネルギーを熱として海に捨てている。しかし東京に直に原子力発電所を作れば、それでジャイアント・セントラル・ヒーティング・システムを造ることができ、捨てている膨大なエネルギーの有効利用ができる。

  • これが書かれたのは20年以上も前の事である。
    原発がもし安全ならば東京のど真ん中に作ればいい。
    チェルノブイリの原発事故を発端としたのが本書だが、これを手にした2011年の夏、これほど衝撃を受けた本はなかった。

  • 1980年代に出版された本ということで情報が古いかなと思いつつも、先日読んだ「被災地を歩きながら考えたこと」の中で本書が紹介されていたのでさっそく読んでみた。
    「原発事故が起こったらどういうことになるかのシュミレーション」が今回の福島第一原発事故とかなり似ていて預言本かよ!と衝撃を受けた。
    がしかし本書は断じて預言書などではない。原発というものはひとたび事故が起きれば似たり寄ったりの当然な結果が出るものなのだ。
    とすれば、本書では東海村第二施設に関して恐るべき事実を指摘している。条件が揃い爆発事故が起きれば当然の結果としてこの「恐るべき事実」が「恐るべき現実」となり得るだろう。我々はとんでもないものを抱え込んでいる。戦慄を覚えた。

  • 私が生まれるよりも前の本。世の中にはたとえ戦争のために発明されたものでも現在は平和利用されているものが数多くある。でも、原子力の本当の平和利用なんてきっと、人類の科学がどれほど進んだってできないだろう。一体何のために原子力という概念は生まれてきてしまったのだろう。「人々を幸せにすること」。これを科学の定義だとしたら、人類は何千年もかけて科学を発展させてきたのか、後退させてきたのか。見つけてしまった人があまりにも不憫で悲しい。一体どれほどの後悔に苛まれるんだろう。

    この本の原発推進の流れを読んでいると、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』をイメージします。二つとも、まるで悪魔に唆されるように進んできてしまった。農薬のときはまだ、私たちの手に負えた悪魔だったかも知れない。でも、放射能は例え何代かかっても決して手に負えない悪魔だろう。悪魔に耳を貸さずに生きていれば良かったのに、思ってもどうしようもないことを考えてしまう。

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著者プロフィール

京都府生まれ。1986年、京都府立大学文学部卒業。
1991年、大阪市立大学大学院臨床心理学分野後期博士課程(単位取得退学)。2006年、ISAP (International School of Analytical Psychology), Zurich修了、ユング派分析家。
現在、帝塚山学院大学人間科学部心理学科教授、北大阪こころのスペース代表、臨床心理士、公認心理師。

共著書に『キーワードコレクション カウンセリング心理学』、『現代社会と臨床心理学』、『心理療法ハンドブック』、『心理臨床大事典』ほか。共訳書に『ユングの世界』。

「2021年 『セラピーと心の変化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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