絆 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 267
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087495966

作品紹介・あらすじ

"夫殺し"の起訴事実を、すべて認めた被告弓丘奈緒子。執拗に無実を主張する原島保弁護士。犯行に使われたと思われる柳刃包丁を買ったのは奈緒子だ、と認める証人。殺された夫には愛人がいた。離婚話もあって…状況は被告不利に傾むいてゆく。だが、裁判の進行につれて明らかになる秘められた意外な真実とは。人間の心の気高さを謳いあげる感動の長編法廷ミステリー。第41回推理作家協会新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ー これまでの検察側の尋問においても、被告人の犯行は浮き彫りにされたのである。さらに、被告人自身も自白している。このようなケースにおいて、なおかつ原島弁護士だけが無実の主張をしているのだ。

    事実はなにか。法廷にさらけ出されるのは、『訴訟上の事実』であって、『真実』ではない。『真実』は神にしかわからないのだ。
    冤罪事件の多くは不当な自白から起こっている。冤罪事件の弁護は、捜査側の自白強要による嘘の供述の指摘からはじまる。つまり、被告人は取調官の過酷な追及に抗し切れずに、ついにやってもいない事件を自白してしまうのだが、裁判に入って、その自白をくつがえすことから、冤罪裁判がはじまるのだ。

    ところが、この事件の被告人弓丘奈緒子は、裁判に入ってもすなおに罪をみとめている。その被告人を無実だと、原嶋弁護士は言いはなったのである。 ー

    起訴事実をすべて認めている被告人を無罪だと主張する弁護士が紐解いていく“真実”。
    後半の弁護側の冒頭陳述からの展開が面白い!
    背後にある重たいテーマも考えさせる作品。

  • 「絆」
    日本の、法廷物ミステリーの名作をご紹介。
    ミステリーでは、裁判で真実を暴く、というのが王道ですが、小杉作品は「暴いてはいけない真実もあるのではないか、真実とは何か?」が大きなテーマとなっている作品が多いですね。社会的弱者を題材にした作品を数多く発表していますが、「絆」はその中でも感動的作品です。

  • ミステリーでここまで心に沁みる話は滅多にない。裁判の過程を辿り、明らかになっていく真実・過去の因縁・強い絆。 ミステリーとしてもすごいし、心に迫ってくる力も、最大級。 すごくいい本です。

  • 内容紹介
    夫殺し!罪を認めた妻の供述に不審な点を発見。いったい何を隠そうとするのか。被告人絶対不利の状況で、法の下の真実を追求して原島弁護士が立ち上がる。法廷ミステリー

  • 夫を殺した犯人にされた妻はアリバイを主張せず、法廷でも犯行を認める証言を繰り返す
    しかし、ひとり無実を確信して、弁護士は法廷で無罪を主張する…

    法廷劇ミステリーで、濃い人間ドラマでもあり、当時の社会福祉を問う内容でもあり、さらにはどんでん返しを仕組んであるといういい本でした

  • 涙無しでは読めません!
    30/10/28

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    “夫殺し”の起訴事実を、すべて認めた被告弓丘奈緒子。執拗に無実を主張する原島保弁護士。犯行に使われたと思われる柳刃包丁を買ったのは奈緒子だ、と認める証人。殺された夫には愛人がいた。離婚話もあって…状況は被告不利に傾むいてゆく。だが、裁判の進行につれて明らかになる秘められた意外な真実とは。人間の心の気高さを謳いあげる感動の長編法廷ミステリー。第41回推理作家協会新人賞受賞作。

    ここまでして罪を背負う必要があるのか?家族愛も分かるが娘のこと考えたら実際は出来ないだろう。

  • 「殺人を自白し、法廷でも認めている容疑者を
     無実だと主張する弁護士」という「ナニかある」感が
    すごいツカミだった。

    法廷でのやり取りは小説として面白かった。

    ものすごい秘密を期待していたけど、
    オチはそこまでではなかった

    ただ、読み進めたいと思わせる文章だったし、
    障害に対する主人公の気づきなど、他の点でも
    読んでよかったと思えた

  • とてもいい作品でした。夫殺しを認めている奈緒子、無実を信じている原島弁護士。裁判を通して明らかになる過去の事件の真相と奈緒子の秘密。単なる謎解きミステリーでは無く人間の尊厳にまで切り込んだとっても感動的な作品でした。

  • 新聞記者の眼を通した法廷劇。
    被告人は罪を認めているのに、弁護士は無罪を主張。
    なぜ弁護士は無罪を確信しているのだろうか、現実問題として弁護士にそこまでの調査力はあるかと、一部覚めた目で読み進めながらも、法廷でのスリリングな展開を楽しめた。
    そして、裁判の形式を踏まえ、精神障碍者問題というたいへんなテーマを作品に昇華した著者の力量に、改めて敬意を表したい。

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著者プロフィール

小杉 健治(こすぎ けんじ)
1947年、東京生まれ。東京都立葛飾野高等学校、コンピュータ専門学校卒業を経て、プログラマーとして18年間勤務。1983年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞、1987年『絆』で日本推理作家協会賞、1990年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。
社会派推理小説や、時代小説で活躍。著書に矢尋・知坂刑事シリーズ、「風烈廻り与力・青柳剣一郎」シリーズ、「三人佐平次捕物帳」シリーズ、「栄次郎江戸暦」シリーズ他、『父からの手紙』『残り火』『曳かれ者』などがある。
1993~1994年、日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門の選考委員を務めていた。

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