アメリカよ! あめりかよ! (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087497151

感想・レビュー・書評

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  • 落合信彦(1942年~)氏は、東京都出身、都立両国高校(定時制)卒、米オルブライト大学卒、米テンプル大学大学院中退後、米国で友人と石油ビジネスを始め、エクアドルの油田を掘り当てるなど成功を収めたが、1973年に帰国し、その後作家活動を続ける。メディアアーティストの落合陽一は実子。
    本書は、信彦氏が奨学金を得てアメリカに留学し、そこで過ごした日々、ロバート・ケネディとの出会い、オイルマン時代について描いた半生記である。(フィクション的な部分も含まれているとも言われている)
    私は、30~40年前の若い頃に信彦氏の多くの作品を読んだが、その世界を舞台にしたスケールの大きい話に夢中になったし、自分が海外で仕事をすることに対するハードルを下げてくれたと感じており、その中でも、本書はとても印象深い作品で(当時は単行本で読んだ)、今般新古書店で偶々目にして入手した。
    読み終えて、個人的な懐かしさはもちろんのこと、1950~60年代のアメリカの空気感と、そこに単身留学した日本の若者の心持ち、及び、当時のアメリカ(の社会と人々)がその若者をどのように受け入れたか、を改めて感じることができたし、加えて、それから半世紀以上を経て、アメリカも日本も、その両者の関係も大きく変わったことも強く感じた。
    アメリカに関して言えば、当時は、若きジョン・F・ケネディ大統領を生んだ、強く、希望に溢れたアメリカから、ベトナム戦争が泥沼化し、ケネディ、ルーサー・キング牧師、ロバート・ケネディが相次いで暗殺され、自らの進むべき方向を見失った時代である。その後、20世紀末にかけて東西冷戦が終結し、唯一のスーパーパワーとなったものの、近年は、中国の台頭やトランプの登場により、再び転換点を迎えている。これからのアメリカ、そして世界は、どちらに向かって行くのか。。。
    また、信彦氏の半生記としては、今読んでも十分に面白いし、(陽一氏の作品を読むような)若い人が読んでも刺激を受けるのではないかと思われる。前述の通り、フィクションが多いとの議論もあるらしいが、初めから小説だと思って読んだとしても、読む意味が薄れるわけでもないだろう。その後に多数執筆された信彦氏の作品を見れば、取材者&書き手としての類稀な力は、(氏にゴーストライターがいるのでもなければ)疑いようがない。
    かつて氏の作品を読んだ世代には懐かしく、また、若い人が読んでも刺激がもらえる一冊である。
    (2023年2月了)

  • 落合先生の、少年時代から文筆家になるまでの自伝です。
    例えこの作品全部がフィクションだとしても、やはり素晴らしく
    心熱くなるストーリーです。

    私の人格形成や行動に、間違いなく影響を与えてくれた
    とても重要な作品です。

    20年位前に購入しましたが、未だに本棚の端に置いてあります。

    今回、久しぶりに手に取ってみましたが、登場人物の
    眩しいまでの純真さや、周りの人間からの思いやり、
    立ちはだかる障害に体当たりでぶつかっていく潔さ…。
    この小説にはそういったモノが溢れています。

    当時100円程度でこの本を買いましたが、20年という時間が
    流れても、変わらずかつて見たあの世界へ、私を連れて
    いってくれました。
    そういった本のもつ素晴らしさについても、今回再確認
    させてくれました。

    10代~20代前半までの男性に特にオススメです。

  • ノビー落合こと落合信彦さんが幼少期からアメリカの大学時代を回想した自叙伝です。僕がこの本の存在を知ったのは予備校の授業中のことで、大学に入ってからいの一番に読んだ本がこれでした。

    僕がこの本のことを知るきっかけになったのは、この人のことはあとで書きますが予備校時代に日本史の講師の伊達日角先生が最後の授業で自分の持ち時間90分を丸々使ってこの本のことを話してくてたのがきっかけだった。書かれていることは著者の落合信彦が日本の社会に絶望しアメリカ留学を志してオルブライト大学での大学生活、そして大学院を中退して今で言うところのベンチャー系企業でオイルマンとして働きだした頃のことを中心に書かれている自叙伝です。これは受験が終わって大学生になったときに、初めて読んだ本でした。

    やっぱり衝撃的でしてね。伊達日角先生のおっしゃったとおりであったと思いました。後に僕は東京でアメリカに留学していた人間に何人かであった事があるが、僕がこの本で知った
    『アメリカの大学は卒業までが非常に厳しい』
    ということをきいてみると、みな一様に口をそろえて
    「その通りだよ。それは本当の話だよ。オレのときでも卒業するときは入学したときの3分の1になっていたからね」
    とのことでした。

    この本を読んでいた当時の僕自身も、機会あれば一度海外に留学を、と思っていたのですが、それは文字通り儚い夢と消えおおせたのでした。今、この記事を書いているのは入学シーズンですが、そのときにこそ、こういう本を読んで海外への関心を持つきっかけになっていただけるとうれしいです。

  • 20世紀のアメリカを生々しく書いている自伝。

    人種差別的問題やケネディの暗殺など、アメリカの当時の雰囲気が伝わってくるような内容。

    ワクワクしながら、読めた。

  • 学生時代、アメリカ留学を夢見ていた頃に出会った本。決して恵まれていない環境下においても自分の夢を実現していく氏の姿は圧巻であり、何度も鳥肌が立った本だった。とにかくエネルギーをもらえる本である。留学するためには英語の力が必要である。本場の英語を勉強するために映画を見たい、しかしお金がない。そこで、自分の血液を売って得たお金でようやく映画を見ることができた(一日中、何度も)。「留学するためには、どんなことでもした」、という一節が頭から離れなかった。自分の夢を叶えるために氏がとった行動に共感できる若い時に是非読んでほしい一冊の本である。留学に対して淡い憧れしか抱いていなかった私に「喝」を入れてくれた本であった。

    文学部 T.A


    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000642855

  • 人生、運ゲーすぎわろたwww
    しかし、いわゆる運を引き寄せるだけの何かを発揮した人であって、こういう人がどんな人生を歩んだかというお話。

    当然、事実に基づく自伝(?)なので節々に教訓や教養が落っこちていました。そこを拾えたとき、楽しかった。
    アメリカ文化の一端を垣間みれるのも面白いです。

  • 自叙伝だが、ここまで来ると
    漫画やないのーと言いたいくらいのサクセスストーリー。

    母子家庭で兄は東大受かったのに学費が払えず就職。
    ならばと、自分は奨学金制度が充実しているアメリカの大学を目指す。

    英語を習得するため教会で聖書を読み、
    街で外国人に声をかけ道案内。
    大学合格後、アメリカに行くお金がないので
    頼みこんで皿洗いをしながら船で渡米。
    大学生活では日本人だとバカにされそうだが、
    それは得意の空手で撃破!
    卒業後も石油ビジネスで一山当てるなど、
    いやはやスゴイ人…。
    私にゃ無理と思うものの読んでてやる気が湧いてくる本でした。

  • 面白かった。

  • 1ページに最低3つの“どや”が現れる。
    もはや伝説のアメリカンドリーム体現者の自叙伝。

  • とても面白いから読めと2人の人から言われて、
    貸してもらって読みました。

    まぁ、凄く面白いというわけではないけれど、
    1人の人の体験談として、まぁつまらなくはない。

    落合信彦という今は作家をやっている人の
    生い立ちの話。というか人生の一部。
    アメリカに留学するときから作家になる日までの
    印象深い出来事を色々書いてます。

    この人が大学で政治の勉強をしてたから
    こういう内容になったんでしょう。

    「2039年の真実」も読めと言われたので、
    読む気があれば。ということで。

    ひとつ分かった事は、アメリカが好きな人と嫌いな人では
    表現の仕方が随分違うということ。


    **************************

    60年代初め、アメリカはケネディとジョン・ウエインに象徴される正義と勇気の国だった。
    限りない夢と希望に輝き、自信と活気にみちあふれていた。
    が、ゲネディ兄弟暗殺、ベトナム戦争によりその時代が幕を閉じ、そして今は…。
    自らの留学体験を通して、60年代アメリカの激動と変貌を浮き彫りにする自伝ノンフィクション。

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