女人源氏物語 1 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087498486

感想・レビュー・書評

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  • 桐壺更衣自身、空蝉自身、葵上自身、六条御息所自身の語る言葉が視点を変えて読めるので面白い。葵上の藤壺女御の秘密に気がついているような言葉などはハラハラするような緊張感を覚えるほど。しかし、そもそも小説の世界だと考えれば、紫式部の原典に敵うものではないと思ってしまう。しかし、この女性同士がお互いのことを語る場面というのは立体的に理解し捉えていく上では面白い試みだと思う。

  • 『源氏物語』は現代語訳されたものですら読みにくい。
    けどこれは、物語の女性たちが光源氏のことを語ってくれるからわかりやすい。
    やはり、源氏はヒドい人!
    なんだけれども、それぞれの女性の視点で描かれているので、自分なりの源氏ができますね。

  • 「源氏物語」を登場人物(女性限定)がリレーのように語るというスタイルです。原文には書かれていない、女君たちの本音を囁くようです。受け身でしか生きるすべがない、でもプライドを持って生きようとする姿が美しいと思います。
    桐壺更衣は、光源氏の立太子を死ぬまで願っていた⁉︎ 葵の上は、光源氏の藤壺への想いを知っていた⁉︎
    私が読んだのは、1988年刊の単行本、巻末対談ゲストは、「サラダ記念日」が話題になった頃の俵万智さんです。

  • 瀬戸内寂聴さん訳の源氏物語です。
    10年以上前に読んだこの本を本棚から引っ張り出しました。

    原文に触れたのも10年以上前、かつそれほど知識もないのでこの訳がどれだけ原文に忠実であるのかはわかりません。また他の方の訳を読んでいないので比較もできません。ですが女性の視点から描かれているということもあり、登場する女性一人一人の心情がきめ細かに表現されていると思います。特に「葵」「紫炎」の章がオススメ。葵の上が好きだったので昔は「六条御息所さえいなければ…」と怒りに震えていましたが、今読んでみるとこの二つの章の対比も美しいなと思います。

  • やっぱり
    光源氏は嫌い!この色男!
    って思うんだけど、
    女たちの切ない胸のうちが書かれていて、一緒に恋をして、嫉妬してしまう一冊でした。

    今までドラマやマンガで源氏物語を読んできた(見てきた?)けど、ここまで女性の心理が描き出されているものはなかったなあ。
    いつもは紫の上にばかり感情移入してきたけど、実は六条の御息所とか葵の上の方が自分と似てるかもって思わされる一冊でした(^^)

  • 女性の心境が丁寧に語られていて、引きこまれました。
    特に、御息所と葵上の感情のリンクは良かったです。
    他の源氏物語を読んだときは、葵上って印象が残らなかったんですが、今回この本をよんで好きになりました。

  • 文庫で全五巻です。

    源氏物語を女君(源氏の愛人たちやお付きの女房とか)たちの視点から書いた作品。

    もうね、すごいのよ・・・源氏を取り巻く女性たちの感情が。。女君のモノローグって形で物語が成り立ってるから、原作(と言ってもあさきゆめみしとか古文の授業で一部を読んだだけだけど)には書かれていない女君たちの嫉妬やら不安やら競争心やら・・・愛に恋に生きる女のドロドロした部分がものすごい書かれてる。

    特に六条御息所なんかすごいっすよ。最初は源氏が一方的に惚れまくってたのに、段々六条は激しいまでに源氏に引かれていくのに、源氏は離れていって。そのあたりで六条のプライドの高さも絡んで、もう狂っちゃいそうな感じですよ・・・そらぁ生霊になる罠ってオモタ。

    全体を通して思ったのが、どの女君も他の女君の存在を認めた上で、源氏の中の自分のポジションにヤキモキしてんだよね。特に紫の上なんてそんな感じで「他の女君がいるなかでの一番」の座をめぐって、明石とか朧月夜とか朝顔とか他の女君に嫉妬したりしてんだよね。私はそんなの嫌です、君が一番好きなんて絶対嫌、私だけを好きだと言って下さい、なんて思いマスタ。まぁ時代違うし感情云々だけの問題だけじゃないんだけどさ。。

  • 2001年10月30日購入。

  • 小説源氏の中では一番好きな作品。特に三宮の語りは私の中の三宮像を覆すものだった。源氏に出てくる女人はどの人も好きになれないタイプばかり(時代が時代なのでしかたないのですが)だけれど、この小説で嫌いだった女人たちの生の声が聞こえてきたような気がした。源氏が好きな人には是非とも読んでもらいたい作品です。

  • おおおおおおおおお
    おもしろい!!!!!!
    なんという艶めかしさ!!
    瀬戸内寂聴の文章、ものすごく艶めかしい!!
    元々、源氏物語大好きだけど、これ読んで再燃しました。
    光る君がまた、ずるい男でね。

    しとやかな香が、こちらにも漂ってきそうな本でした。

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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