オーパ! (集英社文庫)

著者 :
制作 : 高橋 昇 
  • 集英社
3.74
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本棚登録 : 555
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087504026

感想・レビュー・書評

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  • アマゾンを舞台に、自然の神秘と脅威を始め、そこで生きる人々の営みや自然を前に感じた想いなどをカラー写真と文章で綴る、釣り中心のブラジル紀行。

    写真からも感じる蒸した空気、そこかしこに漂う生臭さ、照りつける日差し、四方から聞こえる動植物の音。まるでその場にいるような臨場感です。無茶できる時期にこの本を手に取っていたら、きっとブラジルの熱帯雨林に飛び立っていたと思います。自然への畏怖と、身体的に危険な面は重々承知の上でそれを越える好奇心に掻き立てられます。
    衝撃的だったのは見開き2ページ使ったアラクーという魚の散々たる姿。針にかけて5分ほど川に付けていざ水からあげてみると、残っているのは頭と背骨と尾びれのみ。ピラーニャ(ピラニア)によって肉はきれいにはぎ取られています。当のアラクーは自分の身に何が起こったのがまだ理解できていない様子でぴくぴくと動く始末。恐ろしい光景ですがピラーニャの神業に感動すら覚えました。

    30年以上前に書かれた本なので、当時と比べて海の生物について判明していることも多いだろうし、現地の文明も随分と進んでいるはずです。とは言え、自分の目の前に広がる世界は極々一部、世の中は未知に溢れている、という気付きとワクワクが同時に溢れてくる内容でした。

    視野が狭くなっているなぁと感じた時にこの本を手に取って、時間に囚われない大らかな心を取り戻したい。

  • どろどろの河の水や、蚊にまみれた大気、陰部を襲う蚤などの細部を通して、当時のアマゾンを無駄なく描いているエッセイ。
    自分の置かれている環境にへどが出そうな時に、1ページ1ページ噛みしめるように読み進めた。その時間だけはアマゾンにワープ出来ることが幸せだった。

  • 開高健大兄によるブラジルアマゾン釣り紀行録。
    アマゾンに生息する鳥獣虫魚の生態を剛胆でチャーミングな文体で色鮮やかに描写している。ひとつひとつの言葉にただならぬパワーとインパクトがあり、それでいて笑わせてくれる。例えば、アマゾンに生息する「ピラニア」のことを現地の正しい発音に合わせて「ピラーニャ」と書くと断っておきながら、いつのまにか、それを「ピーやん」と呼んでいたりする。etc。
    フォトジェニックな大兄の写真やアマゾンに生息する魚であるピラルクー、ピラーニャ、トラドの写真も充実していて、アマゾンの風景を想像することを容易にしてくれる。
    なんやかんやと書きましたが、素晴らしいの一言です。

  •  「オーパ!」とは「すごい!」「やった!」を意味する感嘆語。アマゾン川を訪れ、怪魚や珍魚を釣り上げるたびに「おーぱ!」と叫んでいただろう作家開高健のドキュメンタリー。釣りにとどまらず、アマゾン奥地まで踏み込んでゆく60日間の記録は、まさに冒険譚。写真もすごいけれど、開高健独特の語り口を楽しんでほしい。

     海外へ旅行した時「なんて表現したらいいのか」わからない場面に出くわすことがあるだろう。そんな時、この作家は「まさにそのとおり!」と膝をたたきたくなるような表現で語ってくれる。外国での出来事を日本人の言語で語る才能は、かれがサントリーの宣伝部でコピーライターとして鍛えられた経歴によるものだろうか。ちなみに「人間」らしく やりたいナ というオールドの名コピーは彼作。見たものを、自分に代わって説明してくれる。ブラジルで読んでこそ醍醐味がわかる本。

  • 初開高健。面白い。軽妙なテーマと雰囲気、しかし密度の濃い硬骨な文体が妙にマッチしている。

    作品のせいではないが文章と写真の構成が悪く読みづらい。また高橋曻氏の写真は迫力があり素晴らしいのだが気色の悪いエグい写真も多く、ライトな内容の本の割には喫茶店や電車など人混みのなかでは読みづらい。

  • 豪華絢爛な文章の旅行記です。あまりにも豪華な文章は合わないという個人的趣向がはっきりわかった本です。写真が沢山でそれを眺めている方が好きでした。

  • 写真がすごくて、Kindleじゃなく本で買って良かった。深夜特急的な行ってみたい感が湧く。行かないけど。
    行く人がいたらお土産はピラルクーの鱗を頼もう。
    あと文体がちょっと檀一雄風で好き

  • 30年以上前の本で、当時のアマゾン河体験記といったところ。ピラニヤやカンジェロ(肉食ドジョウ)の生々しい恐怖体験に行ってみたいような、でも行きたくないような気持ちを思い起こされる。
    ことさら、ピラニヤについての記述はリアルで、思わずピラニヤの捕食シーンを動画で見てしまったが、牛や大蛇が数分で白骨化するのは鳥肌がたつ衝撃。
    ただ、旅行記を読んでいるというだけで、本書から何かを得ようとしていた自分には肩透かしだった。

  • オヤジ臭が漂ってきそうな内容だけど、面白かった。
    今となってはすっかり有名になったアマゾンの魚たちが、未知の生物として描かれていて、当時の興奮を感じる。今から20年前当時の時代に読んだら、驚愕だっただろう。むしろこの本で有名になったのかな。
    つまらない時代になってしまったのかもしれない。

    けれど、やはり聞くのと見るのでは大違いなんだろう、という期待を感じる。
    「ピラニアは本当は臆病な魚で、人間なんか襲わない」というのがアクアリストの通説で、皆アマゾンに行ったことも無いのにドヤ顔で語る(私の事です)。でも、ここに描かれているピラニアは、恐ろしく、どこかひょうきん。カンディルとは違い愛されているのが伝わってくる。

    都会にいると具合が悪いのが、大自然の中にいると吹っ飛ぶのは、とても共感できる。

  • バクの男根は発情期になると伸びて1mにもなり、先が地面につき泥まみれになるくらい。女性器も深く肩まで入るとか。ブラジルではバクを「アンタ」と呼ぶ/カンディルはナマズの仲間でアマゾン川など熱帯地方に生息する肉食ナマズ。大型魚のエラから侵入して吸血したり、肉を食いちぎりながら体内に侵入する。アンモニアの成分に反応し人間の尿道や膣などから内部に侵入し、危害を加えることもある/河イルカ:世界に4種「ヨウスコウカワイルカ」「アマゾンカワイルカ」「ラプラタカワイルカ」「インドカワイルカ」

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著者プロフィール

開高 健(かいこう たけし、かいこう けん)
1930年12月30日 - 1989年12月9日
大阪府、天王寺区生まれの小説家。大阪市立大学法文学部法学科在学中、同人誌活動を始める。洋書輸入商、壽屋(現・サントリー)宣伝部を経て、作家活動を開始。
1958年、『裸の王様』で芥川賞、1968年『輝ける闇』で毎日出版文化賞、1979年『玉、砕ける』で川端康成文学賞、1981年菊池寛賞、1987年『耳の物語』で日本文学大賞をそれぞれ受賞。ほか、主な著書に『日本三文オペラ』『夏の闇』『私の釣魚大全』『人とこの世界』などがある。

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