人間失格 (集英社文庫)

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レビュー : 840
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520019

感想・レビュー・書評

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  • はじめは人間を思い切れず、人間であることを諦めていないのに、最後はその希望のようなものが全く失われていて心がギュっとなる。
    生まれた時からの日陰者という感覚は消し去りようがない。みんながごく普通に出来る人間的なことが出来ないのは苦しみでしかない。
    葉蔵が内に思っていることを少しでも外に出してみたら、また状況は変わったかもしれないと思う。逃げることしかできず幸せに立ち向かえない人間で、自分が幸せになることが分からない。でも幸せの存在を信じない者にそれは訪れない。
    あとがき、を読んだら本当にドキドキした。マダムの言葉に胸が締め付けられる。自分から見た自分は人間失格でしかなかったのだろう。でも周りの人から見たらどうだったのだろうと、もう一度読み直したくなった。

  • 21歳の誕生日、今日2017年6月4日に「人間失格」を読む私である。そういう人生なのである。
    人の目を欺いて生きているところは私にも自覚しかなくて、でも最後の「葉ちゃんは神様みたいな子でした」ってセリフが、その対称性を表してると思う。
    人からはそう言われるくらい好かれていい印象を持たれていても、葉ちゃん自身は生涯を通じてこんなにこんなに辛い。現代でいうメンヘラだろう。
    葉ちゃんもそうなんだろうけど、人から愛されることだけを生きる目標としていると同時に辛くてでも愛されなくなりたくなくてでも自分を偽りたくなくて…ってそういう人が不幸に生きているんだとおもう
    でも、最後の方で、廃人になってからが喜劇というのは、人間の社会「世間」の息苦しさを描いているようだった。
    私が葉ちゃんの環境で生まれてきていたら、無理してでも世間に溶け込むよう自分を変えていただろうけど、苦しくても自分の気持ちに向き合うことを辞めなかった彼は、人を欺き続けてたなんて言っていても、立派だと思う。
    心に残る小説で、太宰のことを少しでも知れたようでした

  • 何度も読むうちに核心を理解できているような気がしますが、それでもまだまだ奥が深いなあと感じさせらます。

  • 何年ぶりかに再読。

    臆病で不器用で、大人になれなかった主人公。
    多くの人が学校や社会の中で他人に適合する能力を身につけていくのに、それができなかったために追い詰められていく。
    一見、駄目なヒモ男がぐるぐる悩んでるだけに見えるけど、それでもこの小説が読み継がれるのは、読み手が主人公にどこか通じるもの(もしくは、昔の自分との共通点)を感じるからじゃないのかな。少なくとも、私はそうでした。同じように、捻くれた考え方を良くしてた。
    「神様みたいにいい子」と言われたとおり、すごく純心な人だったのだと思う。
    女性がこういう人に惹かれるのは、すごく良く分かる。

  • 繊細な主人公が堕落していく過程が描かれている。
    小さい頃から人とは少し違うと感じていて、それを悟られるのをおそれて道化に走る。中学の同級生に見破られるシーンがぐさっとくる。
    主人公の気持ちがわかる部分もある。ある程度折り合いをつけるよりほかないんだけど、主人公にはそれが耐えられなかったんだろうなあ。

  • 中二で読んだ時には難しすぎて断念した。
    それから数年経ち、大学に入ってから読み直したが難しいと思っていたのが嘘のようにどんどん読み進められた。
    太宰の暗さが前面に出ているような作品だが、どことなく共感というか、こんなふうな気持ちになる瞬間てあるなぁと思うこともある作品だった。
    読む前と読んだ後では、少しだけ自分の考えが変わった。本が好きな人には一度読んでもらいたいと思うような作品。

  • 夏目漱石の「こころ」を読んだときにも思ったけれど、時間が経っても名作として名を成している本には、力がある。本物の宝石のような力に輝き。それに求心力。
    太宰治の人間失格の場合は、その力が負に傾きやすいのかもしれないと思った。これを書いたあとに自殺してしまったのは有名すぎる話だけれども、その前情報でさえも、この作品の持つ不可解な磁力のせいなのかもしれない、と思う。
    決して、太宰治の力や才能を甘くみているわけではない。でも、こうした「本物」の創作に携わる作り手は、どこか「創らされている」と思うのは私だけでしょうか。なにか、作り手本人でさえもコントロール、把握できない大きなうねりに巻き込まれて、望むと望まないとに関わらず、宝石の虜になっていく。そうして出来上がった作品は、受け手である読者にとっては魅力的だけれども、作り手にとっては諸刃の刃に成りうる可能性もある。
    読んでいた最中は、理由もなく、どんどんと心が沈んでいき、明確な悩みの言葉も浮かばないまま、ため息や顔が暗くなるのを止められませんでした。しまいには、その当時ハウスシェアしていた友人たちに、心配されるほど。
    正直、あのときの気持ちは得体がしれなくて、次に読んだときはどういった症状が表れるのかと思うと、怖くて二度と読めませんが、でも、この作品が本物であることは紛うことなき事実だと思います。
    今でも、空に大勢の鳥を見たりすると、女という字を描いていないだろうか、とぼんやり不安になります。

  • 太宰治が自殺する1週間前に書いた作品。
    作者本人と言われる、苦悩に満ちる若者が描かれている。傷つかないために人前でひょうきんな自分を演じてしまい、自己嫌悪に陥る。また女や酒や薬物にのめりこみ、抜け出せなくなる。
    彼の「自分は人間失格なのではないか」という悩みは、自分の存在意義をひたすら考えてしまう、若者特有のものだろう。自分も若いときに読んだら、深く共感したはずである。
    中年になると、人生に失望する気力すらなくなる。そんなに深く考え込まなくてもいいんだよ、と若者に言ってあげたくなる。
    巻末の解説、プロの分析はさすがだなと思った。

  • 「恥の多い生涯を送ってきました。」
    この言葉に心惹かれ読み始めました。
    太宰治の遺書のようなものというのは聞いたことがあったのですが、読んでみて本当にそうだと思いました。
    日記とかではないんです、ただ淡々と自分の事を語っているんです。
    第三者目線のような文章で、少し不気味に感じる作品でした。

  • 太宰治という人が難しすぎてわからない。子供らしい笑顔で写っている写真の内面ではとても冷めた違った自分を表現している。いつも道化て本当の自分を人に見せることを恐れている。ただ、実を言えば、子供の頃の私を振り返ると、それが全くわからないでもない。私もほんの少しそれに似た面があったから。

    彼の本のファンは、彼を自分に重ね合わせているのかもしれない。でも誰も理解できないのかもしれない。もちろん私にも。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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