人間失格 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.62
  • (559)
  • (683)
  • (1091)
  • (160)
  • (34)
本棚登録 : 6051
レビュー : 840
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520019

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2018.10.02 再読
    小さな頃から道化を演じてきた葉蔵は、本当は「人」をとてもよく理解していたと思う。自分を卑下するように見せながら、人を見下し、自分自身の弱さには気付いていなかったのかも。

  • カール・マルクス曰く「一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」。『人間失格』は度々鬱本の代表格として挙げられるが、改めて読了すると『人間失格』は喜劇であると思う。

    主人公が道化と卑下し母性に押し流される裏側に強すぎる自己愛を感じさせ、常に責任転嫁を正当化し、自己陶酔する様が文章から滲み出る。そこには太宰治自身が抱える脆さや繊細さが文体に反映される。第一の手記までが悲劇とすれば、作中で堀木との喜劇悲劇ゲームが興じる如く、悲劇過ぎる悲劇は転じて喜劇になるのであろう。

    太宰は脱稿直後に入水自殺を遂げたが、ひとつの文学作品として捉えると『斜陽』は悲劇だが『人間失格』は純文学的喜劇作品なのである。

  • 太宰治の世界観に衝撃を受けた。
    また時間をおいてもう一度読みたい。

  • やはり葉蔵を嫌いにはなれない。
    太宰治は人によって好きか嫌いかが分かれる作家だ。
    作品に登場する「男性が皆だらしない」から嫌いだと、私の周りで言う人が、特に女性には結構いる。
    中でも葉蔵は最低な男性であり、自業自得だと切り捨てる意見が多数ある。
    しかし、私が女性であり、男性の心情を理解できない事を踏まえても、葉蔵に共感する点は多い。
    以下、列挙していくと

    ・自分の笑顔が醜くて嫌い
    ・家族に対する信頼があまりない
    ・幼少期から他人の顔色を窺う習慣が身に付いた
    ・美味しい食べ物に興味がない
    ・他人の心理に疎いが些細な言動に敏感
    ・自己否定感が強い
    ・世間との隔絶を感じる
    ・幸福になってはいけないと思い込む
    ・自分と似た不幸な人には自然な優しさが生まれる

    主にネガティブな内容ばかりだが、他にもまだあるかも知れない。
    自分が葉蔵と同じ与太者にならないとは言い切れないのではないだろうか。
    27歳で人生の落伍者の判を自ら押してしまう程悲酸な境遇に陥ってしまった葉蔵に比べれば、まだ自分は幸福な方にいる気がした。
    自堕落な人間になってしまう契機は至る所に散在し、且つそれらの誘惑に負ける場合もあると思う。
    ただし、酒や薬には気を付けようと固い自戒の念が起こった。

  • 再読。いつ読んでもじんわりとしみる。2018年積読本消化29冊目。

  • 言わずと知れた不朽の名作。太宰の生き様と照らし合わせながら読むと、面白さも倍増。

  • 内容は自伝ないしは遺書でしょうか。「人間失格」、タイトルのインパクトがすごいと思います。人間の合格、失格に思いを馳せれば、「合格」を自認すればするほど「失格」の匂いがし、「失格」と反省する度合いの強さこそ「合格」へのプロセスではないかと思うこのごろです(^-^)著者太宰治が合格か失格かは知る由もありませんが、本著を大宮は氷川神社の近くの家の二階で執筆したとか、大宮に長く住んでる私には親近感を抱かせてくれます。なお、仕事から解放され、自然や動植物に接する機会が増えるにつけ、「人間らしさ」に疑問を感じてます 

  • 21歳の誕生日、今日2017年6月4日に「人間失格」を読む私である。そういう人生なのである。
    人の目を欺いて生きているところは私にも自覚しかなくて、でも最後の「葉ちゃんは神様みたいな子でした」ってセリフが、その対称性を表してると思う。
    人からはそう言われるくらい好かれていい印象を持たれていても、葉ちゃん自身は生涯を通じてこんなにこんなに辛い。現代でいうメンヘラだろう。
    葉ちゃんもそうなんだろうけど、人から愛されることだけを生きる目標としていると同時に辛くてでも愛されなくなりたくなくてでも自分を偽りたくなくて…ってそういう人が不幸に生きているんだとおもう
    でも、最後の方で、廃人になってからが喜劇というのは、人間の社会「世間」の息苦しさを描いているようだった。
    私が葉ちゃんの環境で生まれてきていたら、無理してでも世間に溶け込むよう自分を変えていただろうけど、苦しくても自分の気持ちに向き合うことを辞めなかった彼は、人を欺き続けてたなんて言っていても、立派だと思う。
    心に残る小説で、太宰のことを少しでも知れたようでした

  • 何年ぶりかに再読。

    臆病で不器用で、大人になれなかった主人公。
    多くの人が学校や社会の中で他人に適合する能力を身につけていくのに、それができなかったために追い詰められていく。
    一見、駄目なヒモ男がぐるぐる悩んでるだけに見えるけど、それでもこの小説が読み継がれるのは、読み手が主人公にどこか通じるもの(もしくは、昔の自分との共通点)を感じるからじゃないのかな。少なくとも、私はそうでした。同じように、捻くれた考え方を良くしてた。
    「神様みたいにいい子」と言われたとおり、すごく純心な人だったのだと思う。
    女性がこういう人に惹かれるのは、すごく良く分かる。

  • 国語の教科書に「人間失格」の感想みたいなのが書かれていて、それを読んだら読みたくなった。
    今までで読んだことないジャンルで面白かった。よく分からないところもあったけど((
    個人的に終わり方が好きだと思った。

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

人間失格 (集英社文庫)のその他の作品

人間失格 (青空文庫POD(シニア版)) オンデマンド (ペーパーバック) 人間失格 (青空文庫POD(シニア版)) 太宰治
人間失格 (青空文庫POD(ポケット版)) オンデマンド (ペーパーバック) 人間失格 (青空文庫POD(ポケット版)) 太宰治

太宰治の作品

ツイートする