銀河鉄道の夜

著者 :
  • 集英社
3.80
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  • (15)
  • (3)
本棚登録 : 1012
レビュー : 83
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520033

作品紹介・あらすじ

青や橙色に輝く星の野原を越え、白く光る銀河の岸をわたり、ジョバンニとカムパネルラを乗せた幻の列車は走る。不思議なかなしみの影をたたえた乗客たちは何者なのか?列車はどこへ向かおうとするのか?孤独な魂の旅を抒情豊かにつづる表題作ほか、「風の又三郎」「よだかの星」など、著者の代表的作品を六編収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 「宮沢賢治の彼方へ」を読むため、予習あるいは復習として読んだ。妹から贈られた図書カードで購入した。
    宮沢賢治の童話で代表的なものはおそらく一読しているはずだが、内容をあまりよく覚えていないものもあり、その中の一つが「風の又三郎」だった。
    同作は、記憶や印象の中にあるよりもかなり現実的な内容だった。解説にもある通り、例えば「銀河鉄道の夜」などと違い、一見すると現実に起こり得るような出来事しか語られていない、あるいは、子どもの思い込みや想像の一部でしかないようにも思える。しかしそのことがかえって、まったくのファンタジーよりも、大人たちからするとなんの変わり映えもないような日常の中に、子どもたちの世界で、実は不思議なことが隠れていると言ったような雰囲気をうまく作り出していたと思う。
    また「銀河鉄道の夜」については、もう何度も読んでいるはずだが、やはりまず第一の感想として、描写が美しい。宮沢賢治はやはり童話においても、詩人であり、かつやはり農学や天文学など、理系的学問の広範な知識を持つ科学者でもあるのだなと改めて感じた。銀河鉄道のどの景色や風物も、登場のたびにその美しさが強調される。想像上のそれらがどんなに美しいかを、現実の植物や鉱物を引き合いに出したりして表現しているのだが、なんとなくだが、作者賢治がそれら植物や鉱物のどれにも深い関心や愛着を持っているように思われる。そしてこの作品は、銀河の風景の光り輝く美しさと、「死」を重要なテーマにしている。死を美化しているとまでは思わないが、妹のそれを乗り越えるためには、物語が必要だったのだろうか。
    宮沢賢治の童話集は他の出版社からも出ているが、本書は、特に有名なものを数を絞って収録していて、手軽に読めるので、見つけることができてよかった。

  • 集英社文庫の「ナツイチ2020」でフェアの対象書籍を購入するとよまにゃブックバンドを貰えるということで折角なので買ってみた。名作である「銀河鉄道の夜」を含む六編が収録されている。「銀河鉄道の夜」と「よだかの星」は随分昔にちゃんと読んだ覚えはあるが他の四編はタイトルや概略を知っているだけだったのでこの機会に読めてよかったと思う。「銀河鉄道の夜」の最後の何とも言えない終わり方は今でもどんな感慨を胸に抱けばいいのかよくわからない。それでもそのわからなさこそが後世にずっと残り続けていく所以なのだと思った。

  • この本に掲載されている物語の良さを理解する想像力は私にはまだ(?)無かった…

    「ほんとうの幸いとはなにか…」を問いかける物語

    中村文昭さんの解説がおもしろかった。

    やまなし
    いちょうの実
    よだかの星
    ひかりの素足
    風の又三郎
    銀河鉄道の夜

  • 『カムパネルラ』 (創元SF文庫) 著:山田正紀
    を読んで、子供のころに読み終えることができなかった
    『風の又三郎』と『銀河鉄道の夜』が収録されている
    本書を購入。

    『風の又三郎』は当時なぜ読み終えることができなかったのだろうと疑問に思うほど、自然の中の子供の世界の幻想的な世界が詰まっている。
    一方、『銀河鉄道の夜』は、二人の少年の星座をめぐる鉄道旅の幻想の世界に、この歳(表紙イラストの作者名で『BADだねヨシオくん!』を即思い出す年代)になって理解できる味わい、死の世界。

    『ひかりの素足』なんて兄弟愛の話かとおもいきや、自然の驚異と死後の苦しみ、一方で信仰、現世の苦しみからの解放、そしてそれを深い悲しみのなか受け入れる、死後の世界に救いがあるはず、という姿勢。

    で、現在子供たちが悲しい思いをしないよう、希望に満ち溢れ能天気にみんなハッピー、なありもしない理想の世界を描くよう物語に期待されている部分があるように聞くこともあるけど、現実を見て、生きて、苦しみ、自ら、世界の幸せを求めて、もがく、人間としての弱さと強さを、幻想的な世界とともに突き付けて、自ら考え、苦しみ、乗り越える強さを与える物語も、芯のある大人になるために、子供・少年少女には必要なのではないかと思わされる。

  • やまなし、いちょうの実、よだかの星、ひかりの素足、風の又三郎、銀河鉄道の夜を収録。自然を背景にした幻想的な世界が広がります。幻想的と言っても甘いものではない面もあります。作者の死生観が出ているところはあります。はじめて読みましたが、不思議な感じがしました。

  • 「銀河鉄道の夜」が読みたくて購入。
    すごく綺麗な作品でした。宇宙の描写がすごく好きでした。
    (2012/12/25)

  • 苦手。キラキラしてて綺麗だけど、綺麗すぎて苦しくなる。
    これで感想文書こうとする人はすごいね
    観念的過ぎて難しそうだと思うのだけど。

  • 別の出版社の本が家にあったけど、表紙のイラストがあまりに素敵だったので購入してしまいました。

    本編以外で印象に残ったのは「よだかの星」。
    一郎が弟を思いやる気持ちにじーんとなりました。
    不思議な世界感が文章だけで表わされていて、とても魅力的です。

    しかし、昔の話なので仕方ないですが、空欄があるのがすごく気になる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「表紙のイラストがあまりに素敵だったので」
      ファンの方には申し訳ありませんが、浅田弘幸は全然知りませんでした、、、
      この銀河鉄道の表紙イラス...
      「表紙のイラストがあまりに素敵だったので」
      ファンの方には申し訳ありませんが、浅田弘幸は全然知りませんでした、、、
      この銀河鉄道の表紙イラストは、とっても雰囲気伝えていて素敵ですよね。。。
      2013/03/18
    • りささん
      >nyancomaruさん
      私もイラストを描いている漫画家は知りませんでしたが、釣られて買ってしまいました…
      >nyancomaruさん
      私もイラストを描いている漫画家は知りませんでしたが、釣られて買ってしまいました…
      2013/06/06
  • 仏教に由来する自然の畏怖と美をとことん突き詰めようとしたんだろうな…読みやすいけど難しい本だった。決して嫌いではないけど、自分には合わないと感じる

  • 高校の時に電子辞書の青空文庫で夢中になって読んだが、他の話も読みたかったのもあり再読。

    「銀河鉄道の夜」は丁寧に読むと心の中で「綺麗」が容量オーバーしてしまう。宝石や金属の名前を1つ1つ画像検索すると美しすぎて卒倒しそうになる。とくに「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」は好き。
    死んだら銀河鉄道に乗っていきたい。「どちらへ?」と聞かれたら「どこまでも」と答えたい。でも(ああほんとうにどこまでもどこまでも僕といっしょに行くひとはいないだろうか。)って孤独に思い続けるのはこわい。
    「みんなの幸いのためならば僕のからだなんて百ぺん灼いてもかまわない。」は中村明日美子『薫りの継承』に引用されてたのが印象的で覚えてる。私にはまだ辿り着けない境地。ジョバンニとカンパネルラみたいな純粋無垢な子供の方がわかるんだとしたら、もう手遅れだ。

    クラムボンこと「やまなし」は私の国語の教科書にはなかったから初めて読んだ。童話の雰囲気なのに最後の文が「私の幻灯はこれでおしまいであります。」なのが不思議だった。私って誰だろ。

    「よだかの星」は銀河鉄道の蠍の火と同じテーマ。解説で賢治がベジタリアンだったのを知って腑に落ちた。生命のサイクルは残酷だけど温かい繋がりで、だからこそ生きていける。よだかは誰とも繋がれなくなったから死んだ。銀河鉄道の要素が多い『輪るピングドラム』の主人公二人もよだかだった。私は『さらざんまい』の「自己犠牲なんてダセェことすんな!」側だな。それるけど、よだかが鷹に「市蔵に改名しろ」って詰められるシーンは笑ってしまった。なんでちゃんとマシな命名してるんだよ。

    「ひかりの素足」は恐かった。宗教色が強い。足の裏を切りながらもずっと歩かされ続けるシーンはシーシュポスの神話を思い出した。でも仏教って不条理じゃなくて因果応報だからやさしいのかもな。

    「風の又三郎」は冒頭の「どっどど どどうど どどうど どどう」が耳に残る。ちょうど9月の同じ日付の頃に読んでたけどまだ風は出てなかった。

    巻末に武田鉄矢の鑑賞がのってたが、冒頭の「賢治が好きだなぁ。なんか、いい人だなぁ。」で鳥肌がたって読まなかった。教師役をした人が演じ終えても本当の教師のように振舞ってるってやっぱサイコパスだよ。

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著者プロフィール

宮沢賢治(みやざわ・けんじ、1896~1933)
岩手県花巻市出身の詩人、童話作家。幼少より鉱物採集や山歩きを好み、盛岡高等農林学校(現在の岩手大学農学部)卒業後は、教員として岩手県立花巻農学校で地学や農学を教えた。その後も近在の農家に肥料相談や稲作指導を行ったり、東北砕石工場で技師として働いたりしていたが、37歳の若さで病没。仕事のかたわら、生涯を通じて数多くの詩や童話、短歌などの文学作品を残した。

「2020年 『宮沢賢治の地学読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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