汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520064

感想・レビュー・書評

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  • 月の隠れてしまった夜に、わたし重たい雫をぼろぼろ胸の真ん中に落としながら、行くあてもなくて。哀しく仄暗い感性の中に住まう美しさが目映く映ってしまうのは、傷ついたことがあるから。諦観の念を抱えながらも、襲い来る焦燥に掻き立てられ激しく言葉を殴り書いて。

  • 一度人にあげてしまい、探していた一冊。
    初版と表紙のイラストが違う気がするのは気のせいか。
    詩についてはさっぱり分からないんだが、心に残る。

  • 数のリアル中二時代を支えた詩集。
    「サーカス」と「汚れちまつた悲しみに」は有名ですよね。ゆあーん。
    暗くて怠惰でいたいたしい詩が多いですが、「夏の日の歌」みたいな情景を描写した詩が好きです。
    落ち込んだ時に読んでさらに陰鬱になって、暗い気持ちにどっぷり浸るのがいい。

  • 中也詩はリズム感が良く、声に出して口遊むのもまた味わい深い。幼少期から文学に優れ、新聞に短歌の投書もしていたというから、そのリズム感覚を引き継いでいるのだろう。少し捻くれているようでどこまでも純真な詩の数々が綴られた詩集。

  • 『汚れつちまつた悲しみに……』を初めて聞いたのは、小学生の頃。教育テレビでやっていた、"にほんごであそぼ"という番組でした。その時に、妙に耳に残る語感のよさが印象的で、もういちど、きちんと文字として読んでみたくなり、高校生になってこの本を手にしました。
    表題作の『汚れつちまつた――』は、冒頭も印象的ですが、私は後半、三連目の
    「汚れつちまつた悲しみは
     なにのぞむくねがふなく
     汚れつちまつた悲しみは
     倦怠のうちに死を夢む」
    の部分が好きです。

    他にも、『別離』『いのちの声』など、すてきな作品がたくさん載っています。
    難しい言い回しはあまり使われておらず、詩をあまり読んだことのない方にもおすすめです。

  • いつまでも鮮度が落ちない悲しみ

    悲しみがきれいなものだと思うのは、きっと中也に会ったから。悲しみには小雪が降りかかるものと知っているから。
    遠く知った気になって、私はまだまだ知らないのだと。気づいたのでまだまだ新しい中也に出会える。よろこび。

  • 自分が持っているものと表紙が違うが、出版社とタイトルが同じなのでここに書く。
    きっと内容も同じでしょう。

    『山羊の歌』『在りし日の歌』+αが載っている。
    代表作だけあってサーカスが抜きん出ているように感じたが、分かりやすいだけかもしれない。

    中原中也っていうと誰々をビール瓶で殴ったとか誰々を泣かせたとかいう破天荒なイメージがある。実際に学生時代から素行はあまり良くなかったようだし。
    そこにあのルックス。
    さらに幼少期に弟を亡くしてから詩に目覚めたいうバックボーン。
    そりゃあ人気が出るよなあ。
    不良の美青年が、詩の中では「俺は何を見ても切なく寂しいぜ」ってことを打ち明けるんだもの。

    巻末の鑑賞を秋元康が書いている。高校時代に良い感じの女の子から告白代わりに中原中也の詩集をもらったっていう話で、学ラン姿の秋元康が脳内に浮かんで気持ち悪いので読後感をぶち壊されます

  • 不誠実を嫌悪しながらも、それを拭いきれない人間らしさを感じました。とても面白かったです。

  • 大林宣彦監督作品「野のなななのか」(2014) を通してガツンと掘り起こされ、二度目のスクリーン鑑賞機会を得られることに感づくやそれに先立ってその作品の中で頻繁に引用される「山羊の歌」からの作品群を是非読みたくなって駆け込んだのが青空文庫。その当時のレビューにも「紙媒体で手にしたかったが…」と記していたがその後文庫本サイズでの本書を入手できることに。

    本書は「山羊の歌」からだけでなく「在りし日の歌」、「未刊詩編」を合わせた形をとっている。巻末の解説と年譜と(さらには秋元康によるおまけも含め)をもって何度も何度も楽しめるようなつくりになっている。

    あいにく今回も目指す「音読」の達成度は低かった。だからこそできるだけいろんなところに持ってゆき、その達成度を高める工夫を先ずは優先すべきか。

    幸い「野のなななのか」も来月にはDVD化されるとのこと。

    また読み返したくなる日もそう遠くないはず。

  • 思えば遠くに来たもんだ。

    このフレーズどこかで習った。
    中原中也さんの頑是ない歌だったのか。


    「酒場にて」と「いのちの声」が
    今の僕には印象に残った。

    ゆふがた、空の下で、身一点に感じられれば、
    万事に於いて文句はないのだ。
    P86 /いのちの声

    諸君は僕を、「ほがらか」ではないといふ。
    しかし、そんな定規みたいな「ほがらか」なんぞはおやめなさい。
    P198/酒場にて


    繊細さ故の孤独。
    それを言葉にできる天才。
    自殺ではないが、早死にする運命を詩から感じた。この感覚ははじめてだ。

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著者プロフィール

中原中也(なかはらちゅうや)
1907年4月29日、山口県生まれ。23年、山口中学を落第し、京都の立命館中学に編入。劇団女優、長谷川泰子と知り合い、翌年から同棲を始める。25年、泰子とともに上京。泰子が小林秀雄のもとに去る。26年、日本大学予科文科に入学したが、9月に中退。29年、河上徹太郎、大岡昇平らと同人誌「白痴群」を創刊。33年、東京外国語学校専修科仏語修了。遠縁の上野孝子と結婚。『ランボウ詩集《学校時代の詩》』刊行。34年長男文也が誕生。処女詩集『山羊の歌』刊行。36年、文也が小児結核により死去。次男愛雅(よしまさ)誕生。37年鎌倉に転居。『ランボオ詩集』刊行。詩集『在りし日の歌』を編集し、原稿を小林秀雄に託す。同年10月22日結核性脳膜炎により永眠。享年30歳。翌38年『在りし日の歌』が刊行された。

「2017年 『ホラホラ、これが僕の骨 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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