舞 姫 (集英社文庫(日本))

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  • 集英社 (1991年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (284ページ) / ISBN・EAN: 9784087520101

作品紹介・あらすじ

異郷で芽生え、引き裂かれた恋の悲劇!選ばれてドイツに留学し、踊り子のエリスと恋におちた豊太郎。だが、ふたりの仲が裂かれるときがきた…。(解説・川村 湊/鑑賞・関川夏央)

みんなの感想まとめ

異郷で芽生えた恋とその悲劇を描いた作品は、主人公の豊太郎と踊り子エリスの出会いから始まる美しくも儚い物語です。彼らの関係は、信頼できる友との繋がりと愛の間で揺れ動き、最終的には切ない結末を迎えます。こ...

感想・レビュー・書評

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  • 太田豊太郎とエリスの出会いがとても優しくて綺麗で、印象に残っています。
    主人公の持っている信頼できる友との繋がりと、愛する人との繋がりが上手く噛み合わなかったがためにあのような結末になってしまったのだと思うと惜しい気持ちがします。
    どんなに良い歯車同士を組み合わせても、それらが上手く噛み合わなければ故障してしまうのだなと思いました。

    森鴎外の作品をしっかりと読んだのはおそらく初めてですが、とても印象に残る作品でした。
    他にも森鴎外の作品を読んでみようと思います。

  • ★3点5
    うーん…当時の道徳観なんだろうけど、色々とモヤモヤしてしまう
    たぶん、文学に詳しい人の感想や、執筆背景を知ると評価は変わるかも知れない

  • 高校の時に授業で教科担任が熱く語っていた記憶があります
    娘の教科書に全文載っていたので読んでみたら当時の担任の気持ちがわかりました
    ただ異国で恋に落ちた大真面目青年の葛藤話ってだけなのになぜこんなに心打たれる作品なのか、、、

  • 若かりし主人公とエリスの運命的ともいえる切ない出会いに、胸が締め付けられる思いがこみ上げてきます。
     そして、ささやかな幸せをエリスと共に育み、清らかなる交際が始まるのです。
    朋友の忠告に心動かされつつも、寒風が肌身に沁みる・・・。
     この小説を読んで、ネタバレ覚悟で書きたい事は一杯ありますが、皆様の読書欲を阻害する危険性があるので控えさせて頂きますが、この小説のモデルになった女性が遥か彼方の独逸より船旅で来日したという後日談があるそうで、そしてその女性の写真も最近になって発見されたという事実は刺激的です。この小説の中の女性の純粋無垢な情念に心を打たれます。
     文語体で書かれている為、多少硬めな文章は否めませんが純粋な心は十二分に伝わってくる小説です。(もしかして、真実味を持たせるため敢えて文語体にしているのかもしれません。私見です)
     鴎外先生と呼ばせて頂きます。
    素晴らしい作品でした(失礼ですが・・・。)

  • いわずとしれた森鴎外の初期の代表作。学業優秀でドイツ留学中の主人公が、踊り子エリスと出会い、同棲し、妊娠させるが、最終的には自分の将来のためにエリスを捨てる物語。

     私自身が女性であることもあり、豊太郎に対して好意を持つことはできなかった。感情的に豊太郎に対する怒りが先立ってしまい、小説として客観的によむまでに少し時間を要した。
     しかし、少し時間をおいて、読み直してみると、短い文章の中で、人間の弱さが際立てられている。誰しもが抱えている人間の弱さが表現されているため、読者にいかんともしがたい感情がかきたてられる。読後感は「爽快」とは程遠い。自分の中の嫌な面に光を向けられるからである。とはいえ、その人間の弱さを小説として描き出す行為には、人間に対する深い愛情が感じられる。これが小説の醍醐味のひとつなのだろう。そこに描き出されている人間のもつ「弱さ」に対してかきたてられる感情の一方で文語体のもつリズミカルさが救いになっているようにも感じられる。
     特に、最後の松岡に対する主人公の感情の描き方は見事としか言いようがない。最後にいたるまで、小説中に松岡の言動が描かれていることはあれ、主人公の松岡に対して向けられる感情が描かれることはない。そして最後の最後に、「憎むこころ」という刺激的な単語をいきなり用い、読者のこころにずしんと重い一撃を加え、読者自身が各々抱えているときほぐれない気持ちを総体として感じさせる効果を及ぼしている。松岡に対する主人公の憎しみは、主人公自身がかかえているふがいなさに対する怒りの投影に他ならないのであるが、自分に対して怒りを向けることができず、松岡という対象に対して憎しみをなすりつけることしかできない主人公、彼の抱えているものが「憎むこころ」という一つの単語に凝縮されて、読者の心にのしかかってくるのである。

  • 現代文の授業で読みました。主人公の太田豊太郎のモデルは森鴎外自身だったのだとか。男女の仲などこんなものなのではないかなと思った。現実的でない部分はもちろんあるが、現実味があると思った。豊太郎の「信頼している人に言われたらすぐに“はい”と言ってしまう」というのにすごく共感できた。

  •  高校時代に使っていた教科書を読み返していたら目についたので読んでみた。
     地位・名誉と愛人の板挟みになっている主人公。彼がした決断は、はっきりした自分の意志というものが感じられない。そんな主人公が嫌でたまらなかったが、ある意味リアリティがあって、完全に否定する気にはなれない。そういう意志の弱さは誰しも少なからず持っているだろうし、私としてもわかるような気がする。しかし、最後の一文がひっかかる。相沢を憎んでいるみたいだが、もとはといえば自分のせいじゃないのか。相沢がエリスに本当のことを言わなかったとしても、後々同じことになっていたのでは。
     文語体の小説はこれが初めてだったが、流れるような文体でさらっと読めた。

  • 終わり方はモヤモヤ、。でも文章はすごく綺麗

  • 国語の教科書で読んで以来、再読。
    社会人になり、豊太郎の気持ちも少しはわかるかなと思ったが、、エリスが不憫でならない。

  • 仕事を取るか女を取るかの二者択一、自身の希望と世間や周囲の望む物との間で葛藤する太田。豊太郎の選択は非情に映ると同時に、綺麗事だけではやっていけない人間の弱さを映してだしている。

  • 「舞姫」「普請中」「妄想」「雁」の4編を収録。
    日常的に文京区に再び縁が深くなったため、無縁坂で思い出した「雁」を再読したくなった。それなら、「舞姫」も久しぶりに再読したいと思い、調べていたところ、集英社版には両者が含まれていたため、こちらを求めた。というのは嘘で、以前の「人間失格」と同様、集英社版の表紙に惹かれたためである。そのような、同じ作品で、どうしてもこの文庫で、というこだわりは、あまり理解されないこともたぶん多いと思う。
    「雁」を再読したかったというのは本当で、非常に面白く読んだ。それはただ単に、無縁坂から不忍池に至る界隈の、百年近く前?が小説の舞台だから、何年か振りで実生活でも再び身近になったことで、それが興味を引いただけではない。「舞姫」と比較すると、専門家の評価などは調べずに率直に言って、「雁」のほうがやはり面白かった。「舞姫」の豊太郎の心情は全く理解できなくはないのだが、雅文体の調子や、小説全体の短さからか、どうも作り物めいた、都合主義的にも感じてしまった。「雁」はその点、女性側が主になっているという相違はあるものの、お玉の境遇やそれによって成型された内面を丁寧に描いているし、かつ、あえて最終場面では岡田の側から書いている。ただいずれにしても、女性からすると、男性の勝手な女性像を押し付けられているようにも感じるのかもしれない。豊太郎は最後、折悪しく(都合よく?)病に倒れていてエリスに直接別れを告げる場に居合わせない。岡田もその日に限ってたまたま一人の時間がなかった。女性との対決の場面を、あえて避けているようにも思われる。ただ、後者では、邂逅しないことが一種小説の余韻を残すことに奏功しているようには感じる。
    つくづく、こんな古い小説を読んでいて面白いと思っていてよいのかとも考える。明治より令和の現代のほうが、私たちを取り巻く環境はもっと複雑化しているはずである。小説の主題とか、その表現するところの、人の葛藤とか苦悩とかいうものも、本来時代に合わせて変容すべきものではないか。そうでなければ、百年前に亡くなった鴎外の小説をなぜこんなに面白く思うのか。百年前にすでにこんなに面白い(巧みに人間を表現していると思える)小説があったのなら、小説という文学は、百年間どのような発展をしてきたのか。というようなことを考えてしまった。
    私は、世間知らずなのだろうか?SNSもほとんど関わらない。世間の最先端、表舞台にもいないし、反対に、最下層にもいない。小説のお玉のような苦悩は、現代では生じることがないものだ。しかし、現代の人の内面は、明治の小説の人物たちと比較して、もっと高度なのか、あるいはもっと複雑なのか。
    「雁」を読むときに、文庫巻末の解説にあるような、明治という文脈をもちろん考慮するにしても、また、運命論的な主題の小説という見方も安易に過ぎるという意見にも同意する。ただ、それらを抜きにしても、ひとの内面の有様とか、それが日常のほんのひと場面の中でどう動くかとか、端的にそうしたことを描いている、それが上手いので、面白いということなのかもしれない。

  • 高校の教科書で読んだ舞姫が面白かったのを思い出して、森鴎外を読んで行く足掛かりにと手にとった本。舞姫、普請中、雁を鴎外自身の人生になぞらえてとらえている解説が面白かった。日本の近代ってこんな感じだったのか。

    一番好きなのは妄想。憂鬱への向かい方が私だった。

  • 「石炭をば早や積み果てつ。」で始まる薫り高い作品。海外駐在中に現地妻をつくった、と現代的感覚で読んでしまうとあまり楽しめないかもしれない。主人公の葛藤をたどりつつドイツの雰囲気を感じるべき。

  • 高校の授業で現代語訳も併せて一度読み、大学の講義の中に少し出てきたので青空文庫さんにて再読。当時の社会を考えると豊太郎のとった行動は仕方がないのかもしれないが、やはり女の私の視点からすると、1人の女性の人生を駄目にし自分だけの幸せをとった彼の罪は重いと思う。『普請中』にて、実際のエリス的人物が日本まで追ってくる。併せて読むと楽しめるかもしれない。

  • 20111230読み終わった(※青空文庫。舞姫のみ)
    「独逸日記」に続けて読んだので、文語調も苦にならず読めた。留学中にその国の女性とひそかに結婚(日本大使館に知らせないまま)して子どもをもうけた人がその国で病死し、残された母子が貧困にあえいでいるというエピソードなど、作者自身がドイツ留学中に見聞きした出来事も素地になっているのだろうと感じた。日本人が欧州留学中、現地女性に子を産ませる例はこのころいくつかあったという記述が独逸日記にあり、鴎外は、同情的に言えばそういう例は不思議ではないが、養育費は送るべきだという感想を書いていた。そして物語では主人公が生活費(手切れ金か)を渡して帰国するわけだが…一人の人間を狂わせておいて金で解決か…。しかしまぁ、この主人公は見通しが甘いというか、計画性がないというか。ストーリーはともかく、明治時代当時のドイツやそこに身を置いた留学生の様子などを感じることはできる。

  • 森鴎外のドイツへの留学中における体験をもとに執筆された氏の初期の代表作。高雅な文体と浪漫的な内容の短編。いろいろの面において漱石と鴎外は比較されるが、作中の主人公のキャラクターという視点からもその相違がうかがえる。「舞姫」の主人公の豊太郎はエリートとしての描かれ方(少なくとも主人公自身の意識の中では)が漱石の作中の主人公とは好対照である。男としての夢を追求し立身出世の道をとるか、はたまた恋愛あるいは家庭の道を選ぶかの二律背反の命題は今も昔も変わらぬ議論の対象であることを考えさせる作品だと感じました。

  • 授業で取り上げ、再度自分で読み直す。

    豊太郎は悪者のような意見が多く飛び交うが、
    もし自分が同じ立場だとしたならば、どうだろうか。
    これが私が近代文学が好きな理由の一つかもしれない。

    現代語訳と合わせて読むことをお勧めします
    かなり古典の知識が深くないと原文は辛かったり。

  • ガラス細工のように美しく、脆くもあった「舞姫」エリスそのものが、豊太郎の精神を体現しているような。
    そんな気がした。

    文字を追うだけでも楽しくなる、格調高い淡々とした文体。
    そして最後の一文…笑
    いや、笑い事ではないのだけれど、思わずニヤッとしてしまう。

  • 赴任先のドイツで女に夢中になるけど最終的には自分の地位が大切になって、女を捨てて日本に戻る救いようのない外交官の話。

    彼の親友(相沢)が、「ドイツ女なんか捨てて日本に帰っちゃえよ。」って主人公に薦めるわけです。それで最後の一文が「相沢謙吉が如き良友は世にまた得がたかるべし。されど我が脳裡に一点の彼を憎む心今日までも残れりけり。

    バカボンドの最新館が350円で売られて、鴎外の名作が50円で売られる時代になったのですね

  • 高校生のときに読みました。
    ずっとエリート街道を走ってきた豊太郎は、ベルリンに留学し、封建的な制度に疑問を覚え、自我に目覚める。踊り子のエリスと恋に落ち、幸せな日々を送るが、日本での社会復帰の機会を得て、エリスを捨てて帰国する。

    読んだときは、豊太郎はなんてひどい人間だと思いました。この時代に自我に目覚め、身分違いの恋をするということは、豊太郎は革新的な人物なのでしょう。でも最後は結局エリスを捨て、社会制度に逆らうことの出来なかった旧式の人間。
    国語の先生は、豊太郎の弁護人になる、と言っていました。私にはまだそれを理解することが出来ません。仕事をするようになったら、豊太郎の気持ちが理解できるのかな。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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