野菊の墓 (集英社文庫 い 24-1)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520163

作品紹介・あらすじ

「僕は野菊がだい好き…民さんは野菊のような人だ」江戸川の矢切の渡しにほど近い明治初期の農村を舞台に、17歳の民子とふたつ年下の政夫の間に芽生えた可憐な恋。だが、悲しい別れの日がやってくる…。純愛名作「野菊の墓」ほか短篇2篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 今月の千年読書会の課題本となります、
    昔読んだような覚えもなんとなく、うろ覚えです(汗

    主人公は一組の男女、民子と政夫。
    物語の始まりは、その政夫の回想から。

    思いだすのは政夫にとっての従姉である民子、
    幼馴染として、姉弟のように育った二人ですが、

    とあることから意識しあって、恋へと発展していきます。
    この辺りがなんとも甘酸っぱく、瑞々しく描かれて。

    今の時代であれば、こちらが気恥ずかしくなるような甘さで、
    なんのかんとのありながらも大団円となるのでしょうが、、

    背景の時代は明治初期の農村、封建時代の色合いも濃く、
    まだまだ過去の因習が強い時代でもありました。

    結婚が家の事情に左右されることもある時代、
    民子が年上であることも手伝ってか、二人は引き離されます。

    恐らくは従姉弟同士という血縁の近さもあったのでしょうが、
    恋の結末は民子の死をもって終わりを迎えることになります。

    心が生き続けることを否定した、そんな風にも。
    “秘めた思い”は二人ともに、、政夫は今でも持ち続けて。

    そんな“喪失感”を追体験できるのが、
    今でも長く読み継がれている理由でもあるんですかね、なんて。

  • 美しく悲しい物語です。内容もですが、言葉がきれいです。心にすっと入って来て、洗われるような気持ちになります。最後の「幽明遥けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ。」は心にグッときました。将来誰かと結ばれても結ばれなくても、いつでも自分の心にそういう存在があるということは、その人のそれからの人生を儚くも尊いものにするに違いありません。いつ読んでも切なくなり涙がでます。今の日本では考えられませんが、ほんの少し前はこういう時代だったのですよね。それ故の純愛だと思います。

  • 今でこそ連絡も簡単にとれるし、親の価値観もだいぶ変わってきましたが、昔の恋愛には今とはまた違う温かみと切なさがあって素敵だなと思いました。

  • 図書館で。随分有名な話なのに読んだことなかったので。
    なるほど矢切りの渡しはこれで有名なのかあと恥ずかしながら初めて知ったり。恋は当事者よりも周囲が騒ぎたてることで自覚するものだなあなんてちょっと思いました。

    個人的にはもうイイ年になってから読んだので現実だったら民さんは嫁ぎ先でポコポコ子供産んでそれなりに元気で逞しく生きていくだろうなあなんて思いましたがここは儚く消えるからこそ美しいんでしょうきっと。母は多感な少女時代に読んだので涙が止まらなかったそうです。やっぱり読む時期というのは大事ですね。

    隣の嫁は野菊の墓に比べるとあまり美しくないなあ。
    野菊は幼い二人の恋が成就しないまでも楽しい時期があり、儚く消えていく所に美学がありましたが隣の嫁は不倫話としか思えない…。この差はなんでしょうね。

  • 「民さんは野菊のような人だ」明治初期の、若者たちの純愛、そして悲恋。
    思っていたよりもシンプルな話で、私はちょっと拍子抜けしてしまったけど、それだからこそ多くの人の心を捉えることができたのかな。

  • 結ばれるのことのなかった男女の悲愛を描いた一冊。民子と政夫はいとこ同士であったが互いに恋が芽生えていた。しかし、民子が年上であったがゆえに、政夫の親の干渉あるいは配慮によってその相思相愛を引き裂かれてしまい、民子は余儀ない結婚を強いられ、夭折してしまう。
    民子、政夫の二人で山に農作業に行くシーンの二人のやりとりは、まさにピュアな好意の織りなす清純な恋愛の表現と言えよう。

  • 純愛&悲恋
    とっても瑞々しい文章、かつ短めの作品なので読みやすいです。
    最後らへん涙腺が危なかったです。

    昔は時代が恋愛成就を許さなかった事も現実に多々あったのだと思います。
    読んだ後余韻に浸れる名作。

  • 20120409読み終わった(青空文庫)

  • 想像もつかない世界でショックでした。でもほんの少し前の時代の出来事なんですよね。

  • 千葉などを舞台とした作品です。

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