絵のない絵本 (集英社文庫 ア 2-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520187

作品紹介・あらすじ

「さぁ、絵にしてごらん、わたしの話したことを」月はそう言った-大都会の屋根裏部屋で淋しく暮らす貧しい絵かきに、夜ごと月は自分が見てきた世界各地のできごとを語りかける。それは、ヨーロッパ各地からインド、中国、アフリカにまでおよぶ詩情豊かな美しい物語であつた。旅を愛した童話詩人アンデルセンの若き日の連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 絵のない絵本は、貧しい青年に月が教えてくれた、世界各国のある人たちの日常を綴った33個の話。ニュースにもならないような、月が空から見た人々の人生の物語。
    青年によって描かれた33枚の絵は、きっととても美しいに違いない。

    特に好きなのは、第十四夜と第十六夜。
    前者はとても微笑ましい誰しもがきっと経験したことのある物語で、後者は絵にしたらきっと異様なほどに光を放つだろう。

    話の聞き手によって色使いも変わるような、とても想像力の膨らむ本です。

  • これは表紙絵に魅かれての装幀買いでした。期間限定だったのかな?天羽間ソラノさんの切り絵の表紙の。

    絵のない絵本自体は、アンデルセンの中でそんなに好きなわけじゃないんだけども。

  • 「さぁ、絵にしてごらん、話してあげたことを」

    月が語る小さなお話の数々が、
    画家による聞き書きで記される。

    月が現れなかった、第八夜。
    画家は淋しく天空を見やり、
    友である月に思いを馳せる。

    「この世の暮らしは
     月にとってはひとつの幻想物語」

    この星、この街、この路地は、
    月からはどう見えるのだろう。
    白い光を射しながら、
    遠く遠くの出来事を、手にとるように映し取る。

    すぐ隣の路地の出来事も、遠く遠くの月を介して、
    こうして物語となって現れる。

  • 「月」がミソ。「絵がない」のがミソ。

    <2008.07.10>
    3社ともフェアの対象になってるけど、個人的には集英社のカバーがベストヒットでした。

  • 「2009年クリスマス限定・チェックのカバーで大人買い」2/3です(笑)。この表紙データの切り紙模様も素敵だけれど、緑のチェックがシックな、山野辺五十鈴訳・2009.11.14第14刷。

    漱石の『夢十夜』に雰囲気が似た物語集だと思います。アンデルセン自身が行ったこともないようなアジアの物語は、エキゾチックな雰囲気にひかれるし、デンマークやその近隣の国を描いたものは、見てきたような、街なかの一瞬が素敵。そのあたりは『夢十夜』よりも妖しさが抜けた、透明感に満ちてくっきりとした描写で、実に美しいと思いました。

    ひんやりと澄んだ月夜の空気感が、『ニルスのふしぎな旅』の夜のそれと似ているな…とも感じます。特に、第六夜の舞台・ウプサラは『ニルス』にも出てくるし、北欧共通の空気感なのかも?それに、月夜の物書きさんは実に絵になるのです!

    ことばのならびやリズムが独特で、特に導入はとけこみにくいかも。デンマーク語の並びかたに忠実な邦訳とのことで、日本語の物語としての滑らかさを求めるよりも、そのあたりの「異国感」もひっくるめて楽しむ本のように思います。1編5分くらいの、上質な映像・朗読に仕立ててもよさそう。解説も、アンデルセンの人となりを知るには簡潔で的確でした。

  • お月様が絵描きに語りかける全33話の小話。全てお月様目線で語られている。
    訳者が、詩的な物語のため英語の調子をあえて変えずに訳している、ということで読みにくい。これはもう英語で読んだ方が良いのじゃないかと思える。
    お話はどれも短いながらに情景が眼に浮かび、自分も絵描きのように表現してみようかと思ってしまうほど。幸福なもの不幸なもの面白いものなど様々で、小話の中には背景が分からないと理解できないものもあったため思ったより時間がかかってしまった。
    今度は原文を読んでみようかと思う。

  • 2018.07.06

  • 何の予備知識もないまま読み始めたので、だいぶ戸惑った。詩だと知っていたら、手に取らなかったと思う。詩の楽しみ方というものを知らないので、ほとんど何も感じなかった。巻末の解説の方が、アンデルセンの人となりが分かる内容で興味深かった。

  • インド、ドイツ、パリなど世界中の話題が盛りだくさん。
    情景が思い起こせるような描写になっています。
    例えば、第11夜。
    「「さて、ポンペイの絵をお見せしましょう」お月さまは語りました。「私は郊外の墓場通りとよばれているところにいました。そこにはすばらしい記念碑がたっていて、ずいぶん昔には陽気な若者たちが頭にバラの冠をのせレイ姉妹とおどったところです。」」

  • ○2010/07/05 
    去年の冬ごろ、クリスマスバージョンの装丁に惹かれて購入。ちょうど短編集を求めてるころだったのでぴったりかと。まあそのまま積んでたわけだけど…。
    ただ読みにくい読みにくい…。後半なんとか読むためのコツをつかむまですごく辛かった。掴んでもややこしかったけど。読みにくいし意味が頭に入ってこないし。原文と訳文のリズムは関係ないと思うよ訳者さん。アンデルセン自身が語順を変える工夫をしてるんだったらいいけどそうじゃないようだし。訳者が表現力問われたくないから逃げたようにしか見えなかった。
    でも話自体はおもしろかった。あとがきと年表読んでからのほうがもっと面白く読めたかな。月が語り手ってロマンチック。

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著者プロフィール

デンマークのオーデンセに生まれる。父親の影響で本や芝居に関心を寄せるようになる。 14歳でコペンハーゲンに出る。30歳で出版した小説『即興詩人』が出世作となり、 各国に名声が広がる。32歳で「人魚姫」を含む第三童話集を刊行し、以降は近代童話の確立者として世界で認められた。

「2023年 『アンデルセンの童話1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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