車輪の下 (集英社文庫)

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レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520217

感想・レビュー・書評

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  • この小説は愉快でも無ければ感動するものでもないだろう。
    周囲や近所の大人たちによって神童と呼ばれた彼の感じやすい精神が無責任な期待の積み重ねに屈し、青春の姿の断片を人生の全てと思えてしまう景色にのめり込み、社会に潰されてしまう物語。

    本来の読み方であれば、突き詰める問題やテーマは「教育制度のあり方」や「拘束からの開放、または脱走」だと思う。しかし、自分の場合は、神学校に入学してからの主人公ハンスと真逆の性格をしている少年ハイルナーとの出会いとふれあいによって育まれた友情とも愛情とも形容出来ない関係について焦点を当ててもいいと思った。
    ハンスが持った学校内の環境に対しての意識、自分が勉強すべき理由、などに対する疑問は、どちらも少年ハイルナーと関わるようになってからだ。これはある意味、考えること、生きることに気付かされた、悟らされたと言ってもいいのではないだろうか? 過去にハンスはよく釣りをしていたり、悪童とつるんだりして過ごしていた。この頃のハンスは人間らしく感じられた。しかし本書の序章のハンスはまるで自意識が無いように思えた。それは常に勉強・試験と彼の意識はそれだけであったからだ。実際試験が終われば趣味の釣りをするワケだけれど、しかし間もなくして勉強に再び取り組む。確かに「教育制度のあり方」について疑問を持ってしまうのもわかる。話しを戻して、ハイルナーと関わった後のハンスは、みるみると行動が変わっていく。学校を出て、実家に帰り、恋をして、働き、友人と飲み歩く。これらは根本からではないにしろ、ハンスの意思で選び取った行動だ。そして最後の結果も…。
    だからこそ、この物語は大半の人にとっては悲しい物語に見える―ー実際そうだと思う。それでも自分は(高校を出て働いてる身だからかもしれないが)、ハンス自身が選んだ結果をそのままに実行しているのだから、たとえそれが逃避だったとしても、本人にとっては幸せだったのではないだろうか、と思わずにはいられない。

  • 多感な青春時代に挫折と脱落という、にがく苦しく恥ずかしい思いを味わった内気な少年の物語。周囲の期待に応えようとする姿勢や、第二の人生でも見せた好奇心などから、まだ「自分」を確立する前の素直であやうい人物像が見えてくる。小説全体を通して「僕の人生なんだったんだ」という被害者的なにおいは確かにあるし、教育者への反発あるいは教育のあり方を問うているように感じられなくもないが、やはり主体は主人公である少年であり、容易に動かしがたい壁を乗り越える方法も壊す方法も見いだせなかった未熟な己からの離脱願望がああいう形となって表れたのではないかと思う。それにしても少年たちの描写の魅力的なこと……文章も読みやすくよどみないが、ヨーロッパの雰囲気をぶち壊す「骨皮筋衛門」などの言葉には脱力感が……(苦笑)。

  •  小さい時にエリートの男の子話なんだろうなあ~自分もそうなりたいな~と思いながら読みましたが、途中で断念(笑)ただ、ラストだけ見てすごくびっくりしたのを覚えています。
     そして、4年後。かなり見方が変わりました。
     ハンスの結末を知ってしまったからこそ、序盤も読むのが苦しかったです。本当の幸せなんて本人次第だけど、自分はそういうものを掴みたいな~とか・・・また何年か後で再び読みたいです。

  • 非常に読みやすかったです。
    言葉がすごくきれいで情景を思い浮かべながら、
    どんどん読み進めることができた。

    青春ってなんだろうとおもう。
    そして青春って必要なんだと思う。
    神経症になったとき、
    ハンスの名誉とは何だったのだろうかと思った。
    ハンスにとっての名誉はただ、外的名誉であり、
    誰かに褒められ認められることであった。
    彼は自分で内的名誉を得ることができなかったのだろうと思う。

    靴屋はそれを知っていたんだ。

  • エリートが破滅する話。「脱落」について。この結末を救いとみるかどうか……。ただ一つ。受験生は読むな!

  • ヘルマンヘッセによる
    教育について批判的に捉えた小説。

    主人公ハンス・ギーベンラートは、
    頭がいいことで街でも有名な少年。

    学業面において、ハンスに肩を並べられるものはおらず
    ハンス自身も勉強をして知識を蓄えることに喜びを感じていた。
    そんな秀才は、州の神学校に合格し、将来も保証され
    安定な人生のレールを踏んで行く。

    親、教師、町全体の期待を一身に受け
    全てを勉強に捧げ、結果を残し続けるハンスは
    優秀な生徒が集まる神学校でも
    頭角を表し、一躍注目を浴びる。

    しかし常に孤独に勉学に向き合ってきたハンスに
    一人の友人ができたところから、
    ハンスの人生は大きく動き出す話。

    「へたばらないようにするんだよ、さもないと車輪の下に圧し潰されてしまうよ」
    常に勉強し、社会の歯車から外れないように、
    努力し続けることこそ、正だと考える社会に
    ハンスがどのように向き合うかが注目となる。

    【学んだこと】
    結論から言うと、ハンスは決して恵まれない。
    ただその原因を考えることが重要である。
    大人が教育を押し付けたから?でもそれは立派な大人になるために必要なこと。
    加えて、ハンス自身勉強は好きであった。
    私は、多くの選択肢をハンスに与えるべきだったと考える。
    勉強は重要で大切だが、それができないから見捨てることは子供のためにならない。
    勉強以外の、友情や愛情や自然の豊かさなど感受性を高める機会をもっと与えられたら、
    ハンスの人生はもっと豊かになったのではないかと思う。

    それは各人の人生にも同じことが言える。
    仕事や受験で結果を残さなければ、
    誰かの期待に応えられる何かにならなければと
    自分を殺して必死になることがある。
    でも本当に大切なことって、
    その周辺にあるのではないかと思う。
    追い詰められた時こそ、支えてくれる人や大切な人に真摯に向き合うことで、少しリラックスできるのかなと思う。
    ハンスは追い詰められていくことが多すぎたのではなかろうか。

  • ストーリーはすっと面白い。
    解説分厚い。
    鑑賞、面白くない自分語りと主人公たちに自分を重ねてジェラシーとか言ってるところがイラっとさせる。(私だけ?)

  • 勉強しかできない(しかも本当の天才と比べれば全然大したことない)陰キャが秀才軍団の集まりで鬱になり、地元に帰り、童貞だから女の扱い方も分からず、地元の陽キャに憧れイキったら酒で酔っ払って死んだ話。

    テーマは色々あるんだろうけどこのストーリーにまとめただけで悲しくなった。ありうる。

  • 明るくはない話。
    どうなっていくんだろうと思ったら、ふいの結末。途中、たくさん勉強したのにうまくいかなかったり、だめだ〜と思ったらすごくいい成績だったり、学生時代の喜怒哀楽が懐かしくもあり。

  • 主人公に共感しながら一気に読んでしまった。
    私は主人公ほど真面目ではないからあのような結末にはならなかったが、勉強ばかりでやりたいことも見つからず悩んでいた学生時代の自分と主人公の姿が重なる。学問も大事だが、親は子供の感受性を大事にしてほしい。

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著者プロフィール

ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)
1877〜1962年。ドイツ・バーデンヴュルテンベルク州生まれ。詩人、作家。1946年ノーベル文学賞受賞。代表作に『青春彷徨』(『郷愁』)『車輪の下』『デーミアン』『シッダールタ』『荒野の狼』『ガラス玉遊戯』などがある。

「2020年 『文庫 地獄は克服できる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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