- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087520217
感想・レビュー・書評
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僕はこんなに勉強を強いられると流石に出来なくなってしまうと思う。ハンスやハイルナーはよくこの先生たちの厳しさに耐えたなぁと思った。
校長クソやん -
エリートが破滅する話。「脱落」について。この結末を救いとみるかどうか……。ただ一つ。受験生は読むな!
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天才と教師の間の対立。
異端とされ社会から追放されたものが名を成し、のちに社会で賞賛される。
逃避のような死因に納得はいかないが、幼少時からエリートとして育てられてきた少年の感性が踏みにじられ、一切の苦労が徒労に終わる時の虚しさは心にぐさりとくる。 -
この作品では、大人たちによる「教育」によって、自分を見失ってゆく少年が辿る運命が描かれている。
いたるところに、大人や、とりわけ学校教育に対する痛烈な批判が見られる。
子どもの頃は違和感や反発を感じていたことに対して、気づけば何も感じず、同化している。
そして、子どもたちに対して、あの頃反発していた「大人」と同じことを言っている。
それは自分が大人になったからなのか、それとも「大人たち」によって少しずつ、しかし確実に角をそぎ落とされ、他人と同じような、言うなればただの球になってしまったからなのか。
読んでいて、心が痛んだり、はっとさせられるところがいくつもあった。
それは私自身が大人であり、そして教育者だからだ。
それにしても、多感で繊細な思春期の少年の心理を、これほど巧みに表現した作家は、未だかつて見たことがない。
訳も素晴らしい。
サガンを読んだ時も翻訳の素晴らしさに感動したが、それをはるかに上回る。
私がこの作品で最も心を揺さぶられたのは、神学校に入った後の、少年から青年へと移ってゆくハンスの心の変化だった。
周囲の大人の期待にがんじがらめになり、母親のいない厳格な少年時代を過ごしたため、友人たちと他愛ない情緒的なやりとりができず、苦悩するハンス。そこで初めて出会った、自由奔放で詩的な少年ハイルナーへの戸惑いと、初恋にも似た友情。
この、ハイルナーとの友情が築かれて、ハンスの裏切りを経て、再び築き直され、そして別れてゆく過程、二人の関係とそれぞれの心の変化、これがとにかく身悶えするほど鮮やかで繊細で素晴らしい。
ただ、これは共感できる人・・・つまり、そういった心の動きを経験した人でないと、おそらく理解できないだろう。
また、詩的で芸術的なものを愛し、ものの本質を見極める力をもつハイルナーの感覚を通した古典に関する描写は、それらをほとんど読んだことのない自分でも心が震えるほど素晴らしかった。
人や風景や物に対してはともかく、文章に対してこのような表現を使った例が、他にあるのだろうか。
心に響いた表現をあげていけば本当にきりがないほど、この物語中盤は一節一節が心を揺さぶる。
(特に印象に残った表現は、本棚の「引用」で記録しておきます)
最初に述べたとおり、「教育のあり方」は本作品のメインテーマの一つだ。
タイトルである「車輪の下」という言葉は、(私の記憶違いでなければ)p141で初めて、そして唯一登場する。
校長が、自分たちの思い描いた方向から外れだしたハンスに対し、次のように語りかける。
「へたばらないようにするんだよ、さもないと車輪の下に圧しつぶされてしまうよ」
結局、その言葉通り、ハンスは「車輪の下に圧しつぶされて」しまう。
結末を、救いがないとみるか、ハンスにとっては救いだったのかも知れないとみるか、人によって違うのかも知れないが。
最後の靴屋の「あなたもわたしも、この子にはもっとしてやることがあったのではないですかな。そうは思いませんか?」という言葉が、胸に刺さる。
教育者として、ずっと戒めにしたい。
レビュー全文→http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-446.html -
悲しかった。主人公ハンスの気持ちが痛いほどわかってつらくなった。ハンスは神学校での抑圧された環境から逃げ出して、みんなから遅れて機械工になるんだけど、結局悲劇的な最期を遂げることになる。神学校から抜け出すことは作者ヘッセと重なる部分があるんだけど、ヘッセ自身は「詩人になりたい」という夢があって、そこに向かうことができた。でもハンスはその目標みたいなものがなかったんだよね。「夢」「希望」って安っぽいほど言われているけれど、そういう命の瀬戸際みたいなところに於いてはやっぱり大切なものなのかもしれない。もう少し早く読みたかったなと思いました。
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ヘッセの体験をもとに少年期から神学校や詩人への道のりを社会と照合しながら書いた自伝的小説。洞察が鋭く、各場面における現象や事物に対する科学的で心理的で政治的な意味合いの解説が革命的にうまい。それから、体験に基づいているからゆえの言動や現象のリアリティがもはやフィクションではない。かといってノンフィクションやドキュメンタリや自伝にありがちな押し付けがましい説き伏せもない。あくまでフィクション小説を呈し、尊重しているところに神学を超えた一種の啓示が見受けられる。
ヘルマン・ヘッセの著書は初めてだったが、これはとても良い小説。彼の書籍のなかではかなり初期にあたり、太宰の「晩年」にあたるだろう。だから「人間失格」のように小説家を経たあとにも自伝的小説を書いて欲しかった。
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あらすじを知らずに読み進めたので第一章の試験からハラハラドキドキした。あれだけ周りに期待されたらプレッシャーがでかい。第一章が鬱屈した感じだったので第二章に入ったときの爽やかさが余計に際立っていた。心理描写や自然の描写が綺麗で読みやすかったし面白かったです。
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城山三郎の素直な戦士たちを彷彿とさせられた
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今さらながらに読み終えました
この作品に高校生のとき出会っていたなら、私が愛する作家は太宰治ではなくヘッセだったかも
人間が生きていく上で必ず抱えるだろう葛藤が表現されているというところが似ている気がした
今、この歳になって読むと「あぁ~若いね」で何となく終わってしまう
でも、自分も通ってきた道であるとは思うから邂逅といったかんじ
そして、高校生と決定的に違う視点は、「正しい教育って何なんだろうか?」と読み終わった後に考えさせられた
ヘッセは教師のことをかなり毛嫌いしていることが、この作品から伺い知ることができる
自分が教師だったなら「お前ら自分が絶対に正しいと言えるのか?」と、ズバリ言われる気がすると思う
挑戦的なこの作品に、回答与えられるかどうかで教師の力量は見極められるんじゃないだろうか -
10代のうちに読みたい本。叙情的な文が美しい。
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自分の原点になる本
手放せません...
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思春期の男の子の話。って簡単に言って良いのかわからないけど。
日本語訳独特の難しめの文章だったけど、それでも引き込まれた。
さすが名作。
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誰が意図したわけでもなく、彼自身も気づかぬまま、意図を滅し生きた。それを生きたと言えるのか
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神学校に通う天童はその学校生活で心を病み、夢の半ばで倒れる。
中高生に勧めて一番あげたい本。 -
学生の内に読めてよかった本。ヘッセの人柄に惚れ込んでしまったのも車輪の下を読んで。ドキドキしながらも絶望的なようで自己救済された気もしました。
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幼少期は自由に遊ぶのが一番なんだと思いました◎車輪の下に押しつぶされる☆
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表紙が萩尾なんです!内容とリンクしすぎでホント良い残酷加減なんです。