清兵衛と瓢箪・小僧の神様 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520224

感想・レビュー・書評

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  • 印象に残ったものは『城の崎にて』、『小僧の神様』。『城の崎にて』は、作者が電車と接触した後、城の崎で療養した際の随想的小説。蜂や鼠やいもりの死に接し、生死について思いをはせる。『小僧の神様』は秀逸な話題展開にユーモラスを交えた佳品。

  • H29.10.29 読了。

    ・菜の花と小娘、清兵衛と瓢箪、焚火は面白かった。その他の作品は終わり方がぱっとせず、いまいちだった。

  • 清兵衛という小学生が、10銭で手に入れた形の良い瓢箪を丹精して磨きあげる。学校へ持ちこんでいるところを先生に見つかって、取り上げられる。先生は瓢箪を小使いの老人へ呉れてやる。老人は、それを骨董屋に50円で売る。骨董屋は、それを、600円の高値で金持ちに売る。10銭が600円!6000倍という驚異的な騰貴率があり得ることを、この小説は教えているのである。

    基本的に、原価に価値を付け加えるのは、人間の働きなのである。清兵衛の目利き的な、知的な、あるいは感性的な働きが、多くの場合、重要な役割を演じているのである。

  • 「菜の花と小娘」
    小川に流れる菜の花と、その脇に歩く娘の、小さな旅の物語
    解説には「母と子の原初的な関係さえしのばせる」としてあり
    その果ての「仕合わせ」の世界こそ
    志賀直哉はじめ、有島武郎、武者小路実篤ら「白樺派」の
    理想の頂点と言えるのではないか、と
    僕などにはそう思えるのだった

    「網走まで」
    汽車のなかで母子づれと乗り合わせになる話
    母は子供のわがままに振り回されっぱなしで
    語り手は
    「この子にいつか殺されずにいまい」
    などと空想をめぐらせる

    「荒絹」
    恋の女神が嫉妬の女神に転ずる話
    ギリシャ神話に想を得ている

    「母の死と新しい母」
    母の死後、数ヶ月たらずでやってきた新しい母に
    すっかり夢中になってしまう「私」は
    じつは母を愛していたのではなく
    観念的な理想としての「母」を愛していたのだ
    …というのは、厳しすぎる見方であろうか

    「正義派」
    電車の人身事故を目撃した三人組が
    正義感にまかせて「炎上」する話
    しかし、誰の心にも悪はあるのであって
    口から出た正義は、即、おのれにも向けられることになるのだ

    「清兵衛と瓢箪」
    大人たちには子供の才能を見抜けなかったという物語であるが
    一般的に言って、理解できないものに投資するのは
    余裕のある家庭だけだということを
    作者がどこまで意識していたかという疑念は残る

    「范の犯罪」
    たとえ自分の行為であっても
    その基になっているのが不確かな精神である以上
    一貫したストーリーによって説明できないこともある

    「城の崎にて」
    死の恐怖を踏破した作者の追憶
    おそらくは、芥川龍之介の自殺にも影響を与えたのではないか

    「赤西蠣太」
    時代小説
    マジメがとりえの不器用侍が
    じつは仙台藩をあざむく間諜だったという

    「十一月三日午後の事」
    死にかかった鴨を買い、風呂敷に包んで帰る途中
    熱中症で死にかかってる兵隊たちのわきを通りかかったもので
    なんだか食欲が失せてしまう

    「小僧の神様」
    小僧へのほどこしが
    みずからのおごりたかぶった心をうきぼりにするようで
    イヤな気分になるという話
    そうなると、小僧の純粋な感謝の心が、逆につらいものである

    「焚火」
    滞在する赤城山中にて、夜中に焚火をするという
    ただそれだけの「筋のない小説」
    芥川が絶賛した
    仲間とすごす楽しい時間に、作者の素朴な死生観が見え隠れする

    「真鶴」
    「脱線して崖を転げ落ちた列車の中から、初恋の女が生還する」
    そんな光景を夢想する少年の話
    志賀直哉の小説には、重要なモチーフとして
    汽車道・電車道、そういったものがしばしば登場する

  • 自分は文章の善し悪しとか全く分からんので眠くなる事が多かった。それでも何と無く良かった気がする。しかし、志賀直哉じゃなくて無名の誰かさんの本でも良かった気がしたかどうかは分からん。 表題作の2作は読み易い。『赤西蠣太』は日曜日を思い出す。

  • 文学の教科書として使用。
    「城の崎にて」は中学だか高校の教科書に載っていたけど比較的好きだったのに、他の数編はあんまり好きになれなかった。
    「菜の花と小娘」は好きでした。可愛い童話。

  • 「真鶴」が読みたかったのでした。
    「范の犯罪」は大学の授業でやりました…
    あの頃は(少しの少しは)読めたのに…

    「真鶴」は「他人の夏」とよく似た話だと思いました。
    「童謡」とかは、けっこうな長さがあるにも関わらず
    高校教材で先生が扱ってくださったのですが
    (しかもわざわざコピーで本文を渡して)
    「真鶴」と「他人の夏」をセットにして教材で扱うのも
    おもしろいかもしれないですよね。
    あとは「麦わら帽子」とか。

    そんなことをつれづれ思いました。

  • 米澤穂信の100冊その44

  • この2つの話は最高傑作!!!!食べ物にたとえるなら、うなぎ&くずきりってかんじ。志賀直哉だいすき!

  • 白樺派初体験。
    薄暗い感じ。奥は深いと思う。小僧の神様と菜の花と小娘が好き。

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プロフィール

志賀 直哉(しが なおや)
1883年2月20日 - 1971年10月21日
宮城県石巻生まれ、東京府育ち。白樺派を代表する小説家。「小説の神様」と称されて、多くの日本人作家に影響を与えた。代表作に「暗夜行路」「和解」「小僧の神様」「城の崎にて」など。

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