清兵衛と瓢箪・小僧の神様 (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (1992年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784087520224

作品紹介・あらすじ

少年の無垢な心を鮮やかに写し出した表題作。他に「城の崎にて」「赤西蠣太」「網走まで」など、日本近代文学史上に確固たる地位を築いた“小説の神様"の作品集。(解説・池内輝雄/鑑賞・原田宗典)

みんなの感想まとめ

多様な短編が収められたこの作品集は、無垢な少年の心情や人間の深い感情を鮮やかに描き出しています。「菜の花と小娘」では心温まるストーリーから始まり、「城の崎にて」では生死についての深い考察が展開され、読...

感想・レビュー・書評

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  • H29.10.29 読了。

    ・菜の花と小娘、清兵衛と瓢箪、焚火は面白かった。その他の作品は終わり方がぱっとせず、いまいちだった。

  • 志賀直哉の入門書

    志賀直哉を初めて知るのがこの書籍でほんとによかった。
    小説の神様の異名が小僧の神様からきているのは言うまでもないが、ほんとに小説の神様の名にふさわしい人物であり作品の数々。小説が好きな人でこれ嫌いな人はいないってくらいに美しい。
    「城崎にて」は特に読んでほしい、どこをどう切り取って読んでも名作です。
    個人的には「城崎にて」の前に大抵は置かれている「范の犯罪」がお気に入りです。
    ここからネタバレあり

    妻を殺す支那人の范が無罪になるのですが、まるでその内容が未来を見据え描いたのではないかと思うくらいに今まさに社会問題になっている事柄のようで震えました。

    人が好きな人、文章が好きな人、小説が好きな人に贈りたい逸品揃い。その美しさに酔いしれてほしいと思います。

  • 初志賀直哉。集英社のナツイチフェアで購入。
    昔教科書で読んだことあるかもやけど、記憶にない。

    色々な種類の短編が収録していて飽きずに読めた。
    1話目の「菜の花と小娘」でほっこりしつつ読み進めていたら、「城の崎にて」でガツンときた。
    なるほどなー。コレは名作だわ。寂しい気持ち。

    「小僧の神様」は小僧が幸せだから良かったなぁ、と小並感あふれる感想(笑)

    荒絹、范の犯罪あたりが好き。清兵衛と瓢箪もいいな。

  • 印象に残ったものは『城の崎にて』、『小僧の神様』。『城の崎にて』は、作者が電車と接触した後、城の崎で療養した際の随想的小説。蜂や鼠やいもりの死に接し、生死について思いをはせる。『小僧の神様』は秀逸な話題展開にユーモラスを交えた佳品。

  • 志賀直哉の本読んだのは初めてだけど、めっちゃ読みやすかった!暗夜行路も読んでみたい!

  • 短編集なのもあるのかとても読みやすかったし、読んでいてすとんと心に落ちる話が多かった。
    菜の花と小娘が好き。

  • 内容や登場人物は素朴で、それを淡々と書いているにも関わらず、倫理観や生死などの本質的でセンシティブな事柄に対する考え方が記されているように感じた。
    『范の犯罪』は、思考から行動に至るまでの人間の営みは論理的に説明し得ないし、客観的にみて悪と判断するのが難しいというメッセージが込められていた。
    色々考えさせられ面白かった、また読みたい。

  • 「小説の神様」と呼ばれた志賀直哉の代表的短篇13篇(※)を収録。
    好きな話の1位は『小僧の神様』
    番頭の会話に聞き耳を立て、口の中に溜まってくる唾をバレないように飲み込む仙吉。想像しただけで鮪の鮨が食べたくなる。奢りは驕り。Aの気持ちが何となく分かる。
    2位は『正義派』
    生活や家庭を犠牲にしてでも正義を貫くべきか。線路工夫3人の心境変化がリアルで切ない。正直者が馬鹿を見るような社会であってはならない。
    3位は『清兵衛と瓢箪』
    大人が子供の才能を壊していく恐ろしさ。無垢な清兵衛だからこそ、瓢箪の良さに気付けたのだろう。

    (※)『菜の花と小娘』、『網走まで』、『荒絹』、『母の死と新しい母』、『正義派』、『清兵衛と瓢箪』、『范の犯罪』、『城の崎にて』、『赤西蠣太』、『十一月三日の午後の事』、『小僧の神様』、『焚火』、『真鶴』以上の13篇を収録。

  • スーパー名作を数か月前に読んだのですが、すでに頭の中で『寿司の神様』というタイトルに塗り替えられていましたよ…。メタなラストが新しいな。

  • 白樺派。短編なので読みやすいが、物語自体は骨太。荒絹。は民俗学のような出だしなのに、おとぎ話のようで神話のようでもある。母の死と新しい母。このタイトルの付け方に志賀直哉のセンスを感じる。「取り返しのつかぬこと」を思い返す。迂闊さとか、粗忽ぶりが妙に心に残る。城の崎にて。はお噂にはかねがね。生と死。を温泉街で思う。私は、温泉地そのものに地球の「生」を、硫黄の独特な匂いがどことなく「死」を感じる。志賀直哉が感じた生死は自分の病と一匹のイモリ。人はどこに生死を感じるのかわらかぬものである。

  • ★★★★☆良かったです。清兵衛と瓢箪は、小学生の時に授業を受けた記憶が甦りました。印象的だったのは、網走まで(自分でも同じことを考えてしまいそう)、荒絹(読み終わって恐ろしさを感じた)、范の犯罪(同じ立場になったら自分ならどうするのか?と考えてしまいます。最後に裁判官が何を思ったのか?そこも私にはよくわからないところです。)、清兵衛と瓢箪でした。

  • 2021/09/19
    短編集。
    菜の花と小娘、城の崎にて、小僧の神様 の順にいいなー。さくさく読めた。

  • 生きることと死ぬことをとてもリアルに見つめている作者に共感を覚えた。
    「城の崎にて」で死にかけた動物や虫が必死に生きようとする姿に人間の姿を重ねたり、「正義派」で正義と信じた行為の後に涙を流す工夫の姿などは、現代に生きる私の心に何か感慨深いものを込み上げさせた。
    「小僧の神様」の男の子に鮨を食べさせた貴族院議員が抱く心のモヤモヤとは裏腹に、男の子はその議員を神様と思うようになっていく姿がいじらしく、敢えてその先を書くのをやめたと言う締めくくりに作者の優しさを感じた。
    「焚火」の情景描写も美しかった。

  • 清兵衛という小学生が、10銭で手に入れた形の良い瓢箪を丹精して磨きあげる。学校へ持ちこんでいるところを先生に見つかって、取り上げられる。先生は瓢箪を小使いの老人へ呉れてやる。老人は、それを骨董屋に50円で売る。骨董屋は、それを、600円の高値で金持ちに売る。10銭が600円!6000倍という驚異的な騰貴率があり得ることを、この小説は教えているのである。

    基本的に、原価に価値を付け加えるのは、人間の働きなのである。清兵衛の目利き的な、知的な、あるいは感性的な働きが、多くの場合、重要な役割を演じているのである。

  • 「菜の花と小娘」
    小川に流れる菜の花と、その脇に歩く娘の、小さな旅の物語
    解説には「母と子の原初的な関係さえしのばせる」としてあり
    その果ての「仕合わせ」の世界こそ
    志賀直哉はじめ、有島武郎、武者小路実篤ら「白樺派」の
    理想の頂点と言えるのではないか、と
    僕などにはそう思えるのだった

    「網走まで」
    汽車のなかで母子づれと乗り合わせになる話
    母は子供のわがままに振り回されっぱなしで
    語り手は
    「この子にいつか殺されずにいまい」
    などと空想をめぐらせる

    「荒絹」
    恋の女神が嫉妬の女神に転ずる話
    ギリシャ神話に想を得ている

    「母の死と新しい母」
    母の死後、数ヶ月たらずでやってきた新しい母に
    すっかり夢中になってしまう「私」は
    じつは母を愛していたのではなく
    観念的な理想としての「母」を愛していたのだ
    …というのは、厳しすぎる見方であろうか

    「正義派」
    電車の人身事故を目撃した三人組が
    正義感にまかせて「炎上」する話
    しかし、誰の心にも悪はあるのであって
    口から出た正義は、即、おのれにも向けられることになるのだ

    「清兵衛と瓢箪」
    大人たちには子供の才能を見抜けなかったという物語であるが
    一般的に言って、理解できないものに投資するのは
    余裕のある家庭だけだということを
    作者がどこまで意識していたかという疑念は残る

    「范の犯罪」
    たとえ自分の行為であっても
    その基になっているのが不確かな精神である以上
    一貫したストーリーによって説明できないこともある

    「城の崎にて」
    死の恐怖を踏破した作者の追憶
    おそらくは、芥川龍之介の自殺にも影響を与えたのではないか

    「赤西蠣太」
    時代小説
    マジメがとりえの不器用侍が
    じつは仙台藩をあざむく間諜だったという

    「十一月三日午後の事」
    死にかかった鴨を買い、風呂敷に包んで帰る途中
    熱中症で死にかかってる兵隊たちのわきを通りかかったもので
    なんだか食欲が失せてしまう

    「小僧の神様」
    小僧へのほどこしが
    みずからのおごりたかぶった心をうきぼりにするようで
    イヤな気分になるという話
    そうなると、小僧の純粋な感謝の心が、逆につらいものである

    「焚火」
    滞在する赤城山中にて、夜中に焚火をするという
    ただそれだけの「筋のない小説」
    芥川が絶賛した
    仲間とすごす楽しい時間に、作者の素朴な死生観が見え隠れする

    「真鶴」
    「脱線して崖を転げ落ちた列車の中から、初恋の女が生還する」
    そんな光景を夢想する少年の話
    志賀直哉の小説には、重要なモチーフとして
    汽車道・電車道、そういったものがしばしば登場する

  • 自分は文章の善し悪しとか全く分からんので眠くなる事が多かった。それでも何と無く良かった気がする。しかし、志賀直哉じゃなくて無名の誰かさんの本でも良かった気がしたかどうかは分からん。 表題作の2作は読み易い。『赤西蠣太』は日曜日を思い出す。

  • 文学の教科書として使用。
    「城の崎にて」は中学だか高校の教科書に載っていたけど比較的好きだったのに、他の数編はあんまり好きになれなかった。
    「菜の花と小娘」は好きでした。可愛い童話。

  • 「真鶴」が読みたかったのでした。
    「范の犯罪」は大学の授業でやりました…
    あの頃は(少しの少しは)読めたのに…

    「真鶴」は「他人の夏」とよく似た話だと思いました。
    「童謡」とかは、けっこうな長さがあるにも関わらず
    高校教材で先生が扱ってくださったのですが
    (しかもわざわざコピーで本文を渡して)
    「真鶴」と「他人の夏」をセットにして教材で扱うのも
    おもしろいかもしれないですよね。
    あとは「麦わら帽子」とか。

    そんなことをつれづれ思いました。

  • 米澤穂信の100冊その44

  • この2つの話は最高傑作!!!!志賀直哉よき!

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著者プロフィール

志賀直哉

一八八三(明治一六)- 一九七一(昭和四六)年。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。白樺派を代表する作家。「小説の神様」と称され多くの作家に影響を与えた。四九(昭和二四)年、文化勲章受章。主な作品に『暗夜行路』『城の崎にて』『和解』ほか。

「2021年 『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

志賀直哉の作品

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