清兵衛と瓢箪・小僧の神様 (集英社文庫 し 21-1)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520224

感想・レビュー・書評

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  • H29.10.29 読了。

    ・菜の花と小娘、清兵衛と瓢箪、焚火は面白かった。その他の作品は終わり方がぱっとせず、いまいちだった。

  • 初志賀直哉。集英社のナツイチフェアで購入。
    昔教科書で読んだことあるかもやけど、記憶にない。

    色々な種類の短編が収録していて飽きずに読めた。
    1話目の「菜の花と小娘」でほっこりしつつ読み進めていたら、「城の崎にて」でガツンときた。
    なるほどなー。コレは名作だわ。寂しい気持ち。

    「小僧の神様」は小僧が幸せだから良かったなぁ、と小並感あふれる感想(笑)

    荒絹、范の犯罪あたりが好き。清兵衛と瓢箪もいいな。

  • 印象に残ったものは『城の崎にて』、『小僧の神様』。『城の崎にて』は、作者が電車と接触した後、城の崎で療養した際の随想的小説。蜂や鼠やいもりの死に接し、生死について思いをはせる。『小僧の神様』は秀逸な話題展開にユーモラスを交えた佳品。

  • 短編集なのもあるのかとても読みやすかったし、読んでいてすとんと心に落ちる話が多かった。
    菜の花と小娘が好き。

  • スーパー名作を数か月前に読んだのですが、すでに頭の中で『寿司の神様』というタイトルに塗り替えられていましたよ…。メタなラストが新しいな。

  • 白樺派。短編なので読みやすいが、物語自体は骨太。荒絹。は民俗学のような出だしなのに、おとぎ話のようで神話のようでもある。母の死と新しい母。このタイトルの付け方に志賀直哉のセンスを感じる。「取り返しのつかぬこと」を思い返す。迂闊さとか、粗忽ぶりが妙に心に残る。城の崎にて。はお噂にはかねがね。生と死。を温泉街で思う。私は、温泉地そのものに地球の「生」を、硫黄の独特な匂いがどことなく「死」を感じる。志賀直哉が感じた生死は自分の病と一匹のイモリ。人はどこに生死を感じるのかわらかぬものである。

  • ★★★★☆良かったです。清兵衛と瓢箪は、小学生の時に授業を受けた記憶が甦りました。印象的だったのは、網走まで(自分でも同じことを考えてしまいそう)、荒絹(読み終わって恐ろしさを感じた)、范の犯罪(同じ立場になったら自分ならどうするのか?と考えてしまいます。最後に裁判官が何を思ったのか?そこも私にはよくわからないところです。)、清兵衛と瓢箪でした。

  • 2021/09/19
    短編集。
    菜の花と小娘、城の崎にて、小僧の神様 の順にいいなー。さくさく読めた。

  • 生きることと死ぬことをとてもリアルに見つめている作者に共感を覚えた。
    「城の崎にて」で死にかけた動物や虫が必死に生きようとする姿に人間の姿を重ねたり、「正義派」で正義と信じた行為の後に涙を流す工夫の姿などは、現代に生きる私の心に何か感慨深いものを込み上げさせた。
    「小僧の神様」の男の子に鮨を食べさせた貴族院議員が抱く心のモヤモヤとは裏腹に、男の子はその議員を神様と思うようになっていく姿がいじらしく、敢えてその先を書くのをやめたと言う締めくくりに作者の優しさを感じた。
    「焚火」の情景描写も美しかった。

  • 清兵衛という小学生が、10銭で手に入れた形の良い瓢箪を丹精して磨きあげる。学校へ持ちこんでいるところを先生に見つかって、取り上げられる。先生は瓢箪を小使いの老人へ呉れてやる。老人は、それを骨董屋に50円で売る。骨董屋は、それを、600円の高値で金持ちに売る。10銭が600円!6000倍という驚異的な騰貴率があり得ることを、この小説は教えているのである。

    基本的に、原価に価値を付け加えるのは、人間の働きなのである。清兵衛の目利き的な、知的な、あるいは感性的な働きが、多くの場合、重要な役割を演じているのである。

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著者プロフィール

志賀直哉

一八八三(明治一六)- 一九七一(昭和四六)年。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。白樺派を代表する作家。「小説の神様」と称され多くの作家に影響を与えた。四九(昭和二四)年、文化勲章受章。主な作品に『暗夜行路』『城の崎にて』『和解』ほか。

「2021年 『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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