- 集英社 (1992年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (292ページ) / ISBN・EAN: 9784087520286
作品紹介・あらすじ
自殺に失敗し、苦しむ弟。彼を殺して島送りにされる喜助に、罪はあるのか―。人間のもつ不可思議、尊厳を見つめた表題作。他「阿部一族」「山椒太夫」「寒山拾得」など。(解説・川村 湊/鑑賞・林 望)
みんなの感想まとめ
人間の尊厳や幸福について深く考察する物語で、社会の基準に縛られた個々の幸福を問い直します。著者の文体は無駄がなく、洗練された表現が特徴で、まるで美味しいお蕎麦のように、読者を引き込む魅力があります。短...
感想・レビュー・書評
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⚫︎感想
個々人の幸福は社会の基準が決められるものではないという究極の話 -
森鴎外の文章好きだなぁと思えた一冊。
文豪と呼ばれる人たちの作品をそれなりに読んできたけど、かなり好きな部類に入ると思う(谷崎には負ける)
学生時代に教科書で「最後の一句」と「舞姫」を読んだ記憶はあるけど、その時はそんなこと全然思わなかったのにな。
何より文章に無駄がないのでずーっと楽に読んでいられる。食べ物に例えるならめちゃくちゃ美味しいお蕎麦。
無駄なものが一切入っていなくて、そのまま食べても美味しい(実際通の人は最初の一口をつゆにつけたりせず、そのまま頂いたりしますよね)
それと同じで鴎外の文章は文章そのもので魅せられるんです。おつゆ(=話の内容や展開)はもちろん大事だけど、それがないことで逆に麺のおいしさが際立ったりもする。そういうことを考えたりしながら読みました。 -
有名な本だったので読んでみました!短編だったので内容も頭に入ってきました!深く考えてみると主人公?の決断は正しかったのかな?とあらためて思いました。
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とても良かったです。現代にも似たような問題提起のあるストーリー。善悪を一つの面からでは捉えられない事を教えてくれる。短編ながら心に残る小説でした。
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朧月、罪人を運ぶ一艘の小舟の上。そんな日常世界から乖離した閉鎖空間で、人知れず行われる心のやり取り。あまりにも完璧な舞台設定。最後の情景が、自分の経験のように、脳裏に焼き付いている。
「次第にふけてゆくおぼろ夜に、沈黙の人2人を載せた高瀬舟は、黒い水の面をすべって行った。」 -
芦田愛菜ちゃんの、『まなの本棚』をきっかけに読んだ。難しそうと思ったけど、意外とすんなり読めた。読後は、なんだかスッキリしない。弟の苦しみを考えるとすぐにカミソリを抜かなければならなかった…。
島流しに合うその間、なぜ喜助は清々しい顔をしていたのだろう。色々考える余地があって面白い。 -
「何が正解かよくわからないから、この事実が正解なんだと思い込もう」
っていう事が既にこの本の終わりに書いてあるからそれでいいんだと私も思い込もう。喜助が幸せだと言っているんだし。本当に、幸せの形なんて人それぞれですしね!
この時代ゆえの重みがあってこその作品なのに、それが今この時代の私にも伝わるなんて鴎外すごいよ、すきよ。
悲しいお話なのかもしれないけど、それ以上に優しくて穏やかでなんだかあんまり読んだ後に落ち込んだりはしなかった。もやもやっとは多少したけど。
最初になんの情報も無く物語が始まって、すっごく不気味な居心地の悪い状態からお話が展開してゆくかんじとかすごく好み。島送りになる舟の中で訥々と話し始めるその雰囲気には、なんとも情緒があります。自分から語りだすんじゃなくて、聞かれてなんでもないことのように告白し始めるって言うのがこの小説のすばらしいところ。 -
厨子王、号泣した。
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この手の本で唯一手元に欲しいと思った本。教科書で読んでその品の良さとグロさが艶めかしくて「うわ好き邪な意味で」と思った反面、内容の深さにちょっと頭を抱えた。
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大好きな本
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短編で読みやすい作品。
人生に満足することについて考えさせられた。 -
安楽死させてあげたら殺人となるのか?
今でも通用する議論。
それを議論しようとせず、罪として受け入れる者。
人の命が軽すぎた時代の話・・・ -
阿部一族の因習相関図は悩ましく、堺事件は想像たくましいひとや刃物が苦手なひとにはお勧めできない吐き戻しそう。むごい話をポンと突き放した目線で描くお話し群。
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この小説は鴎外の短編にして代表作で、短時間で読めてしまう作品だが内容的に重く数々の問題を投げかける作品だと思います。
主人公にして罪人(罪人とされる喜助)は、人間として生きる満足のレベルが一般庶民と違うのだと感じました。
それは喜助の生い立ちによる底辺を知っているからだろう。そのことを考える時に、たとえ遠島を申し渡されたとしても、今迄の生活より低くなることはないからだ。最低限の生活の保障を得ることが出来る現在では、一部の人たちを除いて到底考えられないかもしれない。
弟の自死の発端は、弟の病苦から来るものではなく金銭的余裕のない兄に対する迷惑を考えた上の心の表れかもしれないが、兄喜助は弟の病苦も自分自身の生活苦の一部にしか捉えていなく、弟を邪魔者として生活してきたのではない。寧ろ弟の自死に対する気持ちを尊重している。
だから事に及んだ弟の安楽死を、是認したのではないかと思うのです。
それは著者鴎外自身が医師として、病に苦しみ助けられない人の生死の権利を世に問いかけたのではないか・・・。
ネットで調べてみると、『山椒大夫』とセットの作品といわれているので続けて読んでみます。 -
喜助の話が作り話である可能性を孕んでるというのがこの話の奥深さだと思う。そう考えるとぐんと面白い。
著者プロフィール
森鴎外の作品
