高瀬舟 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 385
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520286

作品紹介・あらすじ

島送りの罪人を乗せ夜の川を下る高瀬舟。しかし実の弟を殺したその男の顔は晴れやかに、月を仰ぐ目は輝いていた。なぜ…。精美な日本語で鴎外で描く人間の不可思議。これは安楽死をめぐる永遠の矛盾として現代人の中にも生きている。表題作の他「阿部一族」「山椒大夫」「寒山拾得」など後期の代表作を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「何が正解かよくわからないから、この事実が正解なんだと思い込もう」
    っていう事が既にこの本の終わりに書いてあるからそれでいいんだと私も思い込もう。喜助が幸せだと言っているんだし。本当に、幸せの形なんて人それぞれですしね!

    この時代ゆえの重みがあってこその作品なのに、それが今この時代の私にも伝わるなんて鴎外すごいよ、すきよ。
    悲しいお話なのかもしれないけど、それ以上に優しくて穏やかでなんだかあんまり読んだ後に落ち込んだりはしなかった。もやもやっとは多少したけど。

    最初になんの情報も無く物語が始まって、すっごく不気味な居心地の悪い状態からお話が展開してゆくかんじとかすごく好み。島送りになる舟の中で訥々と話し始めるその雰囲気には、なんとも情緒があります。自分から語りだすんじゃなくて、聞かれてなんでもないことのように告白し始めるって言うのがこの小説のすばらしいところ。

  • 弟の自殺を手伝ったということで罪にとわれる男の話。安楽死を社会に提起した画期的な文芸作品だと思う。森鴎外は能動的な<死>を受容しているとみた。乃木希典の殉死を「興津弥五右衛門の遺書」という作品で武士道的<死>だと描いている。
    安楽死問題は<死生観>をどう持つかという問題でもある。

  • 安楽死させてあげたら殺人となるのか?
    今でも通用する議論。
    それを議論しようとせず、罪として受け入れる者。
    人の命が軽すぎた時代の話・・・

  • 阿部一族の因習相関図は悩ましく、堺事件は想像たくましいひとや刃物が苦手なひとにはお勧めできない吐き戻しそう。むごい話をポンと突き放した目線で描くお話し群。

  • 退屈だと思うこともあったが、なんだかんだといって面白かった。切腹の描写などが細かくて読むのが辛かった。

  • じいさんばあさん
    高瀬舟
    高瀬舟縁起
    山椒大夫
    寒山拾得
    寒山拾得縁起
    最後の一句
    堺事件
    阿部一族
    歴史其儘と歴史離れ
    遺言

    高瀬舟は,安楽死・尊厳死の議論をみる度に思い出す。
    でも,オーソリティーに委ねるだけというのはちょっとね。

  • 森鴎外は高校時代に読んだ舞姫で苦手意識があったのですが、こちらは舞姫より格段に読みやすいです。

  • この小説は鴎外の短編にして代表作で、短時間で読めてしまう作品だが内容的に重く数々の問題を投げかける作品だと思います。
     主人公にして罪人(罪人とされる喜助)は、人間として生きる満足のレベルが一般庶民と違うのだと感じました。
     それは喜助の生い立ちによる底辺を知っているからだろう。そのことを考える時に、たとえ遠島を申し渡されたとしても、今迄の生活より低くなることはないからだ。最低限の生活の保障を得ることが出来る現在では、一部の人たちを除いて到底考えられないかもしれない。
     弟の自死の発端は、弟の病苦から来るものではなく金銭的余裕のない兄に対する迷惑を考えた上の心の表れかもしれないが、兄喜助は弟の病苦も自分自身の生活苦の一部にしか捉えていなく、弟を邪魔者として生活してきたのではない。寧ろ弟の自死に対する気持ちを尊重している。
     だから事に及んだ弟の安楽死を、是認したのではないかと思うのです。
    それは著者鴎外自身が医師として、病に苦しみ助けられない人の生死の権利を世に問いかけたのではないか・・・。
     ネットで調べてみると、『山椒大夫』とセットの作品といわれているので続けて読んでみます。

  • 喜助の話が作り話である可能性を孕んでるというのがこの話の奥深さだと思う。そう考えるとぐんと面白い。

  • 朗読教室の課題。会話の部分の朗読が 難しい。

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著者プロフィール

1862-1922年。小説家、評論家、翻訳家。本名は森林太郎。陸軍軍医として最高位を極める一方で、旺盛な文筆活動を展開し、晩年は歴史小説、さらに史伝に転じた。1917年から没するまで帝室博物館総長兼宮内省図書頭を務め、歴代天皇の諡号(おくりな)の出典を考証した『帝謚考』(1921年)を刊行。主な著作に『舞姫』(1890年)、『高瀬舟』(1916年)など。

「2019年 『元号通覧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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