高瀬舟 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520286

感想・レビュー・書評

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  • 森鴎外の文章好きだなぁと思えた一冊。
    文豪と呼ばれる人たちの作品をそれなりに読んできたけど、かなり好きな部類に入ると思う(谷崎には負ける) 
    学生時代に教科書で「最後の一句」と「舞姫」を読んだ記憶はあるけど、その時はそんなこと全然思わなかったのにな。
    何より文章に無駄がないのでずーっと楽に読んでいられる。食べ物に例えるならめちゃくちゃ美味しいお蕎麦。
    無駄なものが一切入っていなくて、そのまま食べても美味しい(実際通の人は最初の一口をつゆにつけたりせず、そのまま頂いたりしますよね)
    それと同じで鴎外の文章は文章そのもので魅せられるんです。おつゆ(=話の内容や展開)はもちろん大事だけど、それがないことで逆に麺のおいしさが際立ったりもする。そういうことを考えたりしながら読みました。

  • 芦田愛菜ちゃんの、『まなの本棚』をきっかけに読んだ。難しそうと思ったけど、意外とすんなり読めた。読後は、なんだかスッキリしない。弟の苦しみを考えるとすぐにカミソリを抜かなければならなかった…。
    島流しに合うその間、なぜ喜助は清々しい顔をしていたのだろう。色々考える余地があって面白い。

  • 阿部一族の因習相関図は悩ましく、堺事件は想像たくましいひとや刃物が苦手なひとにはお勧めできない吐き戻しそう。むごい話をポンと突き放した目線で描くお話し群。

  • 喜助の話が作り話である可能性を孕んでるというのがこの話の奥深さだと思う。そう考えるとぐんと面白い。

  • 中3国語の教科書に載っている本。
    私も中3のときに読んだ。

    国語の授業時に先生が高瀬舟の朗読テープ(CDじゃなくテープって・・・歳がバレてしまう)を流したことを覚えている。なぜなら、弟の剃刀を引き抜くシーンを想像してしまったから!その後、気持ち悪くなって顔面蒼白。私は高瀬舟ならぬ担架で保健室送りになった。

    それはともかく、喜助の「足ることを知る」ということは今でもすごいと思う。いや、今だからこそすごいと思うのか。中学生のときはそんなこと思っていなかった・・・。

  • 喜作の安楽死

  • 森鴎外の短編名作をオーディオブックで聞く
    この小説はどちらかというと”安楽死を試みる弟を兄が助けた、これは殺人罪になるか”という課題を出している小説です。
    しかし私には、羽田正兵衛がつぶやく人生観
    「庄兵衛 は ただ 漠然と、 人 の 一生 という よう な 事 を 思っ て み た。 人 は 身 に 病 が ある と、 この 病 が なかっ たら と 思う。 その 日 その 日 の 食 が ない と、 食っ て ゆか れ たら と 思う。 万一 の 時 に 備える たくわえ が ない と、 少し でも たくわえ が あっ たら と 思う。 たくわえ が あっ ても、 また その たくわえ が もっと 多かっ たら と 思う。 かく の ごと くに 先 から 先 へと 考え て みれ ば、 人 は どこ まで 行っ て 踏み止まる こと が できる もの やら わから ない。 それ を 今 目 の 前 で 踏み止まっ て 見せ て くれる のが この 喜助 だ と、庄兵衛 は 気がつい た。   庄兵衛 は 今さら の よう に 驚異 の 目 を みはっ て 喜助 を 見 た。 この 時 庄 兵衛 は 空 を 仰い で いる 喜助 の 頭 から 毫光 が さす よう に 思っ た。」この部分、人は次からつぎへと欲望がでてくるが喜助はここで足りて笑顔でいること。この人生観が印象に残った。僕も今に不満はないが満ち足りてもいないという生き方ではなくこんな風に生きたい。

    <参考>書評よりコピー
    弟殺しの罪で島送りとなる喜助。彼を高瀬舟で護送する同心の羽田庄兵衛。同心は罪人である喜助の晴れやかな態度に疑問を持ち、理由を聞く。喜助は島送りに当たって二百文の銭をもらったと喜んでいる。また、弟殺しの経緯を聞くにおよんで、これが果たして殺人に当たるかどうか。同心、羽田は疑問を感じる。

  • じいさんばあさん
    高瀬舟
    高瀬舟縁起
    山椒大夫
    寒山拾得
    寒山拾得縁起
    最後の一句
    堺事件
    阿部一族
    歴史其儘と歴史離れ
    遺言

    高瀬舟は,安楽死・尊厳死の議論をみる度に思い出す。
    でも,オーソリティーに委ねるだけというのはちょっとね。

  • 朗読教室の課題。会話の部分の朗読が 難しい。

  • 夜の海の水を「黒い」と表現するのは結構好き
    藤原敏行の「住の江の岸に寄る波よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ」とか
    境遇の違いを「算盤の桁違い」と言うのもかっこいいな

著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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