女たちへのいたみうた 金子光晴詩集 (集英社文庫 か 16-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520293

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  • 金子光晴(1895〜1975)
    高橋源一郎によって編まれた金子光晴詩集「女たちへのいたみうた」

    これ、ほんとうにだいすきだ。わたしは詩のことなんてなんにもわかんないけど、ここに書いてあるものはどれもだいすきだ。戦前戦中戦後の、出鱈目で滅茶苦茶で貧しくて苦しくて、そういう日本が目に浮かぶような、泥水と土煙で鼻をつまみたくなるような気がする。飾り立てた綺麗なものなんてひとつもない。泥臭いかっこよさ。きりっとした哀切。すきにならないわけがない。こういうのが本当のものだ、と心から思う。いろんなところにメモしたり、ひとり部屋でこっそり朗読したり、歩きながらぼうっと頭のなかで暗唱してみたり、とにかくずっと心に置いておきたくなる。わたしはひとりだ、ひとりでいろいろしなければならない、と思うと足が竦んでしまうような小心者だけれども、竦むたびに「寂しさの歌」を読もう。自意識が肥大して訳がわからなくなったら、「おっとせい」を読もう。何もかも嫌になったら「南方詩集」を読もう。とにかく、今後の人生のなかで、何度でも読み返そう。そうおもった。

  • 金子光晴、この詩人の作品では東南アジアに遊ぶ随筆に惹かれるが、この詩集の雰囲気もそれに近い。色彩にたとえると彩度が高く、メリハリのついたものが多く選んである。選者の好みなのだろう。

  • 装丁が素敵。
    編者はイマイチ。

  • 二十五
    69

  • 金子光晴は得体のしれない詩人である。
    天才的な言葉のセンスを持ち、
    フランス語や漢学に精通しながらも、それを誇らない。
    インテリでありながらも、下賤と蔑まれる風俗を好み、
    ややもすると蔑視されがちな下町や色町をこそ愛する。
    永井荷風にも通じるような叛逆のこころがある。
    だが、荷風のように固陋ではない。
    80を過ぎても女学生を口説きつづけた、というような、
    そんな軽やかでありながらも、どこか猥雑で、
    しかし底知れぬほど人間くさく、温かい詩人が、金子光晴である。

    その言葉はやさしく平明で、しかし描かれる世界は海のように広い。
    くだくだと難解な言葉を並べて、レトリックで遊んでいる、
    近頃の詩壇とは一線を画している。
    また、平明ではあるが、
    ツィッターやブログの駄文をセンテンス分けしたような、
    素人の「人生訓」のようなものとも一線を画す。

    毒であり、薬であり、涙であり、怒りである。
    国語の教科書には収まりきらない、不逞の表情である。

    この詩集は文庫版で手に入る、金子光晴入門とでもいうべきもの。

  • 言葉は時に、ナイフのようにさすこともあるが、
    日の光に包み込まれるようなあたたかさを私達は知っている。

    この本で紡がれる言葉は、何故こんなにも美しいのか。

  • 選者は気に入らないが装丁がいいので(笑)

  • 金子光晴はすごい。反対のうたを読んだ時にうちのめされた。

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著者プロフィール

金子 光晴(かねこ・みつはる):詩人。1895年、愛知県生まれ。早稲田大学高等予科文科、東京美術学校(現・東京芸術大学)日本画科、慶應義塾大学文学部予科をすべて中退。1919年、初の詩集『赤土の家』を発表した後に渡欧。23年、『こがね蟲』で評価を受ける。28年、妻・森美千代とともにアジア・ヨーロッパへ。32年帰国。37年『鮫』、48年『落下傘』ほか多くの抵抗詩を書く。53年、『人間の悲劇』で読売文学賞受賞。主な作品として詩集『蛾』『女たちへのエレジー』『IL』、小説『風流尸解記』、随筆『どくろ杯』『ねむれ巴里』ほか多数。1975年没。

「2023年 『詩人/人間の悲劇 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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