青猫 萩原朔太郎詩集 (集英社文庫 は 15-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520408

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  • 「遠い遠い実在への涙ぐましいあこがれ」って朔太郎は言う。けど、彼の言葉で紡がれ広がる色と音楽と郷愁の原風景には、闇に飲まれない、揺るがない気品がある。
    あと、短歌のよう。美しい。
    また、彼に言わせれば思索的憂鬱症たる言葉も、それも艶かしい湿度を孕み、人の心の秘密のところへ、柔らかく残響を響かせる。
    鶏の鳴く声などは、ザックリ、はらわたを掻きむしり、血が流れる。
    朔太郎の慰安は、脈を打ち、しっかり生きて飢えて訴えってくる。
    そうしながらも、暗く囁く風の音に消えていく。
    「とをてくう、とをるもう、とをるもう」
    夜の沼は甘美に、青い憂鬱は整頓される。

  • すごい良かった。
    私はこちらの方が月に吠えるよりも好き。
    ヨルシカの世界観めっちゃ近いなぁ。

    表現がすごく鮮やかでエモい。
    何回か読みたい。

  • 仄暗さと艶めかしさが堪らなくツボでした。桜、およぐひとが特に印象的。虚無の鴉→我の持たざるものは一切なりの流れは鳥肌モノでした。

  • 解説を読みながら、詩を読んでいくのが面白い。短い言葉だけで感じられることには限りがあるから詩集は敬遠してきたけど、そこに作者の年表から表現したかった思いを考えてようやく身近に感じられたような。詩を純粋に楽しむのもありだろうけど、こんなに豊かな感受性に追いつけない未熟な読者なので。

  • 近代象徴詩の第1作にして、頂点を極めたのが『月に吠える』であった。朔太郎は自らの詩を「遠い遠い実在への涙ぐましいあこがれ」だというが、そうした感情を詠いあげるのは象徴詩においてこそ可能であった。6年後に朔太郎は『青猫』を世に問うが、こちらもまた同様の意味において象徴詩である。ただ、その詩的情調においては違いを見せる。再び朔太郎の言葉を借りれば、それは「思索的鬱憂性」ということになる。篇中の詩のいくつかはこれを強く表象するが、例えばそれは「鶏」で詠われる「とをてくう、とをるもう、とをるもう」の響きである。

  • 「犬は病んでゐるの?お母あさん。」
    「いいえ子供 犬は飢ゑてゐるのです。」

    のをあある とをあある
    のをあある やわあ

  • 初めて買った詩集。日本語の可能性を知る。

  • ばくてりやがおよいでゐる。
    尊敬と悪意を以って、独り善がりなあの子の世界とシンクロ。

  • 665夜

  • 日本人なのに萩原朔太郎を読んでないひと、興味ねーよってひとは確実に損をしていると思う。美しすぎてため息。薄暮の部屋がいちばんすきです。

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著者プロフィール

萩原朔太郎
1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

「2022年 『詩人はすべて宿命である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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