それから (集英社文庫)

  • 集英社 (2013年10月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (402ページ) / ISBN・EAN: 9784087520552

作品紹介・あらすじ

働きもせず、親のお金で自由きままに暮らす代助。しかし、すでに人妻になった三千代と再会して、恋心を抱くが…。漱石文学後期の代表的名作。(解説/石原千秋 鑑賞/井上荒野)

感想・レビュー・書評

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  •  ビブリア古書堂から。奥さんを取っちゃう話と紹介されていたけど、解説を読んで、見え方が変わった。明治民法の家族制度を知ってると理解がここまで深まるとは。
     序盤は30にもなって有閑貴族のように過ごす代助が、仕事をしていなければ、味わえないものを味わっているんだと言うのに、真っ向から否定できないなと思った。でも、だんだん仕事につかない・結婚もしない代助にイライラもし始めている自分もいて。今だったらもう少し周りも寛容かもしれないケド、でもいわゆるニートだから……。
     後半から一気に動き出す三千代との関係は昼ドラのよう。そして最後の赤に終わるのは良い未来が見えてこない。

  • audible 。1909年朝日新聞で連載された「それから」について、「日糖事件」が出てくるなど当時の政治や国際情勢についても取り入れられているという新聞記事を見て俄然読む気になった。
    聴きながら「青空文庫」を読むという初挑戦でもあった。口語体の文学を完成させたという漱石の作品は、いま読んでも何の障りもない、さすがである。

  • 【再読あり】

    『それから』のそれは、『三四郎』を指しているらしい。

    亡い親友の妹の面倒を見る
    貰おうと思えば貰えたのに、友に譲る

    ここらへんが、野々宮の「それから」っぽいといえば、ぽい。
    でもあまりにも前途がなさすぎて、別物としか思えず。
    三部作のくくりに、商業的なものしか感じなかった。
    『三四郎』(美禰子)がよかっただけに残念。
    『門』を読むのはとうぶん先になりそう。

    集英社文庫を選んだのは、画像付きの資料と、写真付きの年表に惹かれたから。
    語注もまあまあ読みやすかった。


    代助の考えを長々と読まされるのが、とんでもなく苦痛。
    口だけ達者なのがとにかく無理。
    行動をともなってないと、話を聞く気にもならん。

    行動を起こしたと思えば完全に二人の世界しか見えてないし、これだから頭でっかちの男って怖いんだ。

    当時の女性の目には代助がどう映っていたのかが、非常に気になる。

  • 世間を意識した小説だなあと思った。代助は知識もあって好きに生きてるようなのが周りの人が気に食わない。
    1日本を読んだり、音楽を聴きにいったりして暮らしている。わたしもそうしたい。結婚なんてめんどくさい。しかし、ダイスケの場合は時代が許さない。好きな人は他人の妻。誰にも言えない。

    それを公にしたときの世間の怖さを描くが、わたしには見せしめのように感じた。みなさん、お気をつけください!。

    好き勝手に生きることが許されない。好き勝手みな生きたいけどいろいろがんじがらめ。だからそうしている人は断罪されるのだろなぁ。

    タイミングがわるいようでいて、三千代に対する気持ちは、そうであるからこそ、彼は燃えたのだろなぁ。思い通りにいってたら3年くらいで飽きるのだろなぁ。テンション高いのって続かないもんだろなぁと思った。人の心のうごきってだいたい同じ?もん?怖い。

    それにしてもなんて恵まれた境遇。奥さんを貰うって表現、物じゃないんだよって感じる。193p
    嫂は、かなり味方してくれてたけどあんな仲いい身内も滅多にないんじゃないかなぁ。芝居に誘われた時の席からみた世間は作られててつまらなく見えた。佐川さんの令嬢もつまんなかった。

    夏目漱石の他のも読んでみたくなった。三千代の引力にはらはらした。ダイスケは門のになぜ先生と呼ばれていたのだろうか。
    僕の存在にはあなたが必要だ。かー。キザだなぁ。

    結局、ダイスケのしたことは悪戯と表現されてる。今日何のためにきょういくを受けたのだと批判されてしまうけど、教育と恋は関係あるんかいなぁ?

  • 大学の課題で読んだ
    一人で読むと難しかったけど講義で精読したら構成のすごさと面白さわかった

  • 三四郎の方が面白かったな、個人的には

  • 終盤に、代助が堪らず三千代に会いに行く場面の「静けさ」が、どこか異様で印象的でした。読みながらふと、もしかして、三千代はすでに急死していて、代助が彼女の死後に平岡に弁明しているとしたら、平岡の激しい怒りにも納得がいくなと思いました。ただの不倫に対する怒りではなく、「死者に向けて今さら何を言っているんだ」というような、どうしようもない悔しさや虚しさがあるのではと。ラストは読者の私たちに未来の考察を委ねてきたので、独自の文学的な考察しちゃいました。(『門』がこちらの作品の続編説があるというのは、存じております)
    しっかし、うちの旦那じゃないけど、告白するのおっそ!(高校時代、私が好きだった時に他の子の付き合ってたくせに数年後に、ずっと好きだったとかわけわからん告白してきた旦那…)そこだけ三千代に共感しまくり!私の旦那は結婚する前だったからセーフ。もし、仮に、形式的にそこまで好きじゃない人と結婚してから、今の旦那に告白されてたら三千代と全く同じ道を歩んでいたかもしれないなとゾッとしました。

  • 代助のことが可哀想でたまらない。人の妻を愛することで、まわりがこれだけ離れていくのは、時代の違いもあるが、あまりに悲しすぎる。代助の弱いところも共感できる。読んでよかった。

  •  たぶん人生で初めてちゃんと読んだであろう、夏目漱石の本。家に『門』の文庫があったけど、買った記憶も読んだ記憶もない。そして古臭くなって変色した感じがある。たぶん高校生の時に課題として買ったものが、なぜかここにあるものなんだと思う。もしかすると高校生の時に読んだのかもしれないけど、全く記憶がない。初めての漱石だったかもしれない。
     ブクログ999冊目、ということで、本当はこれが1000冊目にふさわしい本だったのかもしれないけど、色んなタイミングとか偶然の成り行きでこの本を手に取ることになった。
     本当に明治の本というのは読みにくいし難しい。前半は本当に挫折してしまうかもしれない、と思って読んでいたが、読んでたら慣れてきた。そして特に終わりの3分の1くらいは割と早いペースで読んだ気もするし、なんか色んな表現が面白い。「社会から逐い放たるべき二人の魂は、ただ二人対い合って、互いを穴のあくほど眺めていた。そうして、すべてに逆らって、互いを一所に持ち来した力を互いと怖れ戦いた。」(p.289)とか、他にもいくつかあったけど、そういう表現するんだ、と思って何度か読み返すのも楽しいと思った。
     そして、わりと人間のイヤらしいところをよく表している部分があって、例えば「人間は熱誠を以て当ってしかるべきほどに、高尚な、真摯な、純粋な、動機や行為を常駐に有するものではない。それよりもずっと下等なものである。」(p.254)から続く部分とかは、なんか本質的に人間ってそういうものなんじゃないか、と思うおれの考えに近いと思った。わりと目の前のニンジンとか、単なる見栄とか嫉妬とか、そういう部分で生きているだけなんじゃないか、と割と思っていたりするおれには。その考えを改めてもっと「いい人」になってみたい欲望は常にあるのだけれど…。あと代助よりは平岡のような言動をおれはやってしまいそうで、気を付けないと、と思った。「暗に相手の無経験を上から見たようなこと」(p.25)を言ったりしないようにしないと、と思った。
     最後に、あとは時代の変化を悪く捉えている部分は、今の時代の変化と重なるかもしれない。放送大学の面接授業で、今の時代は価値観の多様化、大量消費、高度に発達した情報技術によって云々、という悪い方向への変化についての講義を聞いたが、明治時代も同じように悪くなってきた、と捉えることができたのだろう。「互いを腹の中で侮辱することなしには、互いに接触をあえてしえぬ、現代の社会を、二十世紀の堕落と呼んでいた。そうして、これを、近来急に膨張した生活欲の高圧力が道義欲の崩壊を促したものと解釈していた。またこれをこれら新旧両欲の衝突と見なしていた。最後に、この目醒ましい発展を、欧州から押し寄せた海嘯と心得ていた。」(p.146)のあたりは、今の時代にも当てはまりそう。
     後ろの石原千秋の解説が分かりやすくて、面白い。夏目漱石の本も読んでみたいけど石原千秋の本をさらに読んでみたい、という気にさせられる。裏表紙の紹介文によれば、『三四郎』と『門』と並ぶ三部作の2作目、ということなので、近いうちに家にある『門』を読まないわけにはいかない、と思った。(19/12/21)

  • 漱石お得意の友情の絡む三角関係もの。主人公は秘めた思いに気がつかず友人に恋人を斡旋してしまうが、このシチュエーションは現代感覚では起こりにくそうです。恋愛感は例えばこの時代は親が結婚相手を決めるのが主流だっただろうし。
    主人公が親のスネをかじり続けつつ、お手伝いさんをおいて一人暮らしをしている状況、食うために働くのは負けと嘯き、周りの人々を見下す考えなどを読み手が許せるかで共感度が変わりそうです。自分は残念ながら共感度は低かったです。
    知的な文体は読みにくいけど味わい深いです。何度も読んで楽しむ一遍と感じました。

  • 日本文学に手を出してみた。
    文章の美しさに触れたくて、あらすじをあらかじめ押さえてから読む。
    終盤にすすむにつれて、代助がだんだんと人間らしく強さと弱さを持つようになってくるのが面白い。
    解説を読んで当時の時代背景や小説の構造や用いられている暗喩を理解すると一層面白くなる。

  • 夏目漱石三部作の第2作
    仕事にもつかず、結婚もしない代助が
    友人である平岡の妻、三千代に恋をしてしまう物語。

    ラストが文学的で好きだ。

  • 主人公は坊ちゃんで高等遊民。
    しかし、友人の妻と再会したことで、気持ちは抑えられなくなる。今も昔も時代や背景は違えどこういう状況はあったのだね。
    印象的な一節は、「若い人がよく失敗というが、まったく誠実と熱心が足りないからだ。おれも多年の経験で、この年までやってきたが、どうしてもこの二つがないと成功しないね」

  • 満ち足りた世界を自分で壊して、大方捨ててしまった。それで本当によかったのかな。

  • 「もっとシャキとしたら?」とあまり好きになれない主人公です。
    でも、ストーリーを彩る文章の美しさや、秘められた意図等々、何度も何度も読み返したくなる作品です。

  • 漱石の小説は全部読みましたが、明暗に次いで好きです。

  • 登場人物みんなを馬鹿にしている代助。その彼をも見下す読者。私のことを呆れて見ている人もいるのだろう。

  • 悲劇なんだろうけどなんとも煮え切らない…!
    主人公に共感はできませんが、取り巻く環境や心象がこんなにも伝わってくる表現力にただただ圧倒。

  • 論理的理性的にしか行動できなかった主人公だが、三千代の存在によってだんだんそれが乱れて行って自然に、自分の意思に、従うようになっていく過程はおもしろい。
    でも、既婚者を愛するなんてことは、この時代、勘当されるレベルのことだったんだな、、、

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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