ブリキの太鼓 1 (集英社文庫)

  • 集英社
3.60
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本棚登録 : 398
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087600377

感想・レビュー・書評

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  • 第一部が終わった時点ではなんの話を読んでいるのかよくわからない。オスカルの行動範囲のなかで家の外のこと、中のこと、彼個人の思いが重みづけの違いなく語られるので、奇妙に平板な印象を受ける。今のオスカルは精神病院にいて過去を振り返っているのだから、どこか心の機能が不調でこういう一本調子になっているんだろうか。まだわからない。

    二つの大戦の頃のダンツィヒが舞台なので、ざわざわと不穏な空気に満ちているのだけれど、妙に他人事というか離人感があるというか。それともナチスの台頭やユダヤ人排斥は、当時の多くの人にとってもあんまり直視したくないことだったのか。

  • 面白いが読み辛い。著者の豊かな想像力が生み出した幻想の世界を楽しむ感じで読んだ。

  • さらっと性描写やアンモラルな描写も
    ちらほら混じってきます。
    そこのところは要注意。

    太鼓に執着し、太鼓がそばにあった
    まさに気狂いそのものの男の思い出。

    なにがなんでも太鼓を放さず
    放そうとした教師にまで太鼓の能力を
    ぶち当てた少年時代。

    そして起こりながらも彼を支えた母の
    突然の死。

    まあ本当、おかしい作品ね。

  • 3.62/337
    『3歳の時から成長のとまった小男のオスカルの半生を太鼓にのせて語る、死者のためのレクイエム。猥雑、怪奇、偏執のイメージの奔流の中で悪のビートがなり響く。ノーベル文学賞受賞作家の出世作。』(「集英社」サイトより▽)
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=4-08-760037-8

    原書名:『Die Blechtrommel』(英語版『The Tin Drum』)
    著者:ギュンター・グラス (Günter Grass)
    訳者:高本 研一
    出版社 ‏: ‎集英社
    文庫 ‏: ‎304ページ(第一巻) 全三巻

    メモ:
    ・松岡正剛の千夜千冊 153夜
    ・世界文学ベスト100冊(Norwegian Book Clubs)
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • ダメだ。名作なんだろうし、そう言われている理由も分からなくはないけど、面白くないものは面白くないし、苦痛なものは苦痛だ。この手の名作を読み込む根気も能力も無い。

  • 「ぼく」と「オスカル」の書き分けは何なのだろう…?声の代わりに太鼓を叩き、音のない歌でガラスを割る、3歳で自ら成長を止めた男の子の語り。精神病棟からの回顧録はどの程度信頼できるのやら。
    難しいやら意味が分からないやら映画がグロいやら散々な前評判(?)を念頭に怖々読んでみたが、そこまで頭がおかしい感じでもなかったかなという印象。埠頭にて死んだ馬の首から大量の鰻が出て来る場面は、文字で読む分にはインパクトもそれほどなく、その後の母親の辿る道が只々哀れ。とはいえ息子を放って従兄と関係を持ったり、夫の過去の過ちを攻め続けたりと、同情できない面ばかりだが。
    比較的安定した精神状態の主人公の軽い自己紹介から始まって、祖父母の交わり、母親の誕生と死、そして自分の生い立ちという風に、時系列は割としっかりしている。猥雑な「悪のビート」に辟易しながら行き着くは、続き物としては完璧過ぎるラスト。二つの対戦の最中のダンツィヒが舞台ということで、雰囲気は常に張り詰め、穏やかでない。障害者の視点や彼らの描く世界を期待して読むと期待外れだが、名高い世界文学たる所以は十分にあると思う。

  • 印象深いエピソードが次々とでてくる。それらがどう繋がっているのか、全体として何が伝わってくるのか、それはまだ謎である。

    字が小さく、老眼にはつらい。
    内容も癖が強い。

    さて、主人公はなぜ小さいのか。
    太鼓とは何か。言語の暗喩かと思ったが、より正確には「声」の暗喩、どうにもならない意志の暗喩ではないか、と今のところは感じる。

    第一部の終わり方は、考えさせられる。それぞれの人生の重みと軽さを同時に示している。

  • ブリキの太鼓を叩きつつ二巻へ。感想は最終巻に。

  • うーむ、こういう感じの、つまり昔の文体の、ヨーロッパの知的階級向け読み物というのはどうも合わないんですよね。確か映画もうーん、と思った記憶あり。
    その意味で、日本人が訳した小説と映像化という「変換」が同じ水準にあると、少なくとも当方には思えたのは結構興味深いかなと。

  • 思った物語と違った。勝手にもっと性格わるい小人が悪を露呈していくだけみたいなものを思っていたけど、割とこの主人公好けるな! まあ性格は良くないし、大変露悪的な物語。生まれた時に自分の人生を全て決めている、小人を自分で選んだ、と思っている、ところで精神病院いれられていて当たり前かしら。ただ、本当に文章のリズムが饒舌で、楽しくなっちゃう。これは二巻三巻になるともっともっとその勢いを増します。しかも色んなビートでそれぞれの物語のパートを聞かせてくれる。なんて妙なテーマ、タイトルの物語だろう。

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著者プロフィール

1927年ダンツィヒ生まれ。第二次大戦で最年少兵として戦い負傷して米軍の捕虜となる。その後採掘場などで働く傍ら彫刻を学び同時に詩や戯曲を創作。『ブリキの太鼓』『猫と鼠』『犬の年』他。99年ノーベル賞受賞。

「2010年 『ブリキの太鼓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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